あ、熱


の予感に
振り返れば、白、白、白い、強い
ビニルハウスの、輝き


緑、の匂いに振り返れば
畑の若い夏野菜の、足々の、美しい美しい強い
濃厚な土への、浸り

 ....
帰り道は
ひとつの
冷たい時代でした


足音ひとつのアスファルトを、両側から
音も無く包んでいた夏野菜の畑
あ、それならば、と


或る母の或るひとつの手に
直 ....
たったひとつの日没で
子供の左の手の中の
逆さの野の草の束からすんなりと
午後の初夏は落ちてしまい
子供の左の手は
無数の落胆のうちのひとつとして
野の草の束を、用水路 ....
戸外の夜
の射し染む方角
の窓
の四角
の、薄く
薄く
映写された壁



爪が
物欲しげに引っ掻けば
聞こえるのは
爪が引っ掻いたその通りの
かり、 ....
淡い色の
薄絹の
蕾の、開くのと
同じ音の
朝が開いて


アスファルトの
日向には、金の時が
日陰には、銀の時が
満ちて


ああ
もう
これ以上幸福には
 ....
日々、日々、そして日々
直立の過ぎた或る身体が
正しい姿勢というものを失念してしまう主な原因は
目にした花弁の、茎の、色彩を、質感を、暗記し反芻することで
一時的に和らぐことができます
 ....
 只今2:18a.m.、数分前に嫌な夢を見て目覚めてしまった。
 肌寒い為かその夢の為か、身体が、ベッドの上で震えている気がした。本当は震えてなんかいないのかもしれなかった、ただ、強張っているだ ....
あ、


ああ、
陽光が、
陽光が、
私を、
する、


陽光で、
飽和してゆく、
ひとつのわたしの肺胞、
ひとつひとつのわたしの肺胞が、
春を、
春を、吹き ....
母から、私の野菜過食の罪を告げられた瞬間
木製の食卓は突然老成してしまった
木製の食卓は突然老成してしまった
だから私どうしてもアルコールせざるを得ないの
だからどうしてもアルコールせ ....
 22:20。ジョッキでの赤ワイン、干し、真夜中近いのに、次には珈琲を淹れようと思っている。明日は昼からの出勤だもの、少しくらい眠れなくったって!


 晴天の、光をよく含んだ空 ....
 眠れない。
 昨夜23時の就寝時にこれから読もうと思っていた本が見当たらないことに気がついたがそのまま眠ったせいか、まず、1:00a.m.に覚醒。真夜中の家の中を探すも見つからず、諦めてまた横 ....
 この近くの木蓮と何処か遠くの木蓮が通じ合ったことがあった。見る眼球の違いにより感じ方も異なっていたけれども、それでも木蓮に目を留めた、という一点、それで充分、強い強い糸がその一点を通った、少なくとも .... アスファルトは
小雨ひとつに濡れ終えました
小石を蹴った靴底の生まれつき湿った摩擦音は
生まれつき消えてしまいます


仄明るいカルシウムのような冬においては
鈴の疲労骨折の ....
 朝を待つ時間は長いけれども、朝が近くなれば飛び起きて走り出さんばかりに活動を始める、…実際、走ってしまう。階段を駆け下りて、最後の数段の階段と天井をつなぐ数本の柱のうちの最後の一本を右手でつ .... S…、という
微かな子音
の、雨の群れ
の、中


鼓膜に触れるそれ以外は幻聴だと
どこかで知っていたのに
この視線が向かってしまうのは
桃、という発音の


 ....
煙る空の
灰の深く
空は、どこか深くに
航空機を押し殺している
その、灰色の腸の痛みが
低音部に、轟く


その下で
タンポポを
想像妊娠した人たちの衣服だけが
黄色 ....
優しく濡れていた
公園の池が凍りわたるという法則を
冬だから寒いのは当たり前でしょうと片付けた母の
手の平の保温性が
今も強く、わたしの身体へと、わたしの眼へと
柔らかいままの金 ....
厳しく枯れたアスファルトへ
刺さり損ね
刺さり損ね続ける、冬枯れの枝葉の
その陰、から
密かな微かな摩擦、それは残像です


かつて彼らは節足動物でした
密かなのは、そ ....
蛾か何かの最後尾が
視界の斜め上をかすめ逃げ去る場面、に似た
或いは、目尻の痒みにも似た
地下鉄の、蛍光灯の、黄緑色の、光芒の
消える寸前の瞬間と消えた直後の瞬間、との
交互 ....
地へ
冷たい雨として
雪終えた空が
地へ
雪終えた空が
冷たい雨として



黄色く丸く
眺める
ショーウィンドウの
ウールの子供服の



の方角、の ....
風上に立つ冬が
耳に届くすべての海を
耳鳴りに
します


遠く
遠くに
此処には無い海が
あるとして
それは遠くの
ずっと遠くに
此処には無い海が
あるとしても ....
薄曇りから
薄く、射す、朝
射す、薄く、朝
灰汁のような、擦り硝子
カーテンの、微細なファイバーの乱反射も、吃り
秩序が溜まってゆく食卓は
ピルケースのように正しく
グラニ ....
アスファルトへ積もる
冬の薄日は、果てる灰のような、諦め切った
沈黙だ


枯れ枝とその影の
黒い交錯は、解答の無い、冷めるスチールウールのような
沈黙だ


嗚呼、真 ....
公園が
冬のアスファルトに落ちている
黒く、その輪郭が切り立っている
黒く、切り立つ枯れ木立が鉄条網に混じり
黒く、その輪郭が主張されている


けれど
空は、白濁した眼球 ....
 明日こそ、と、思えない夜の後には、今日こそは、と、思えない朝がきっと来る、きっと来る、そうとしか思えないまま、お休みなさいを念じる1:08am。

   *   *   *   *   *
 ....
上ったら、下る、上っては、
下る、彼らが散らかっている、彼らの街で
折れてひざまずいた巨人が、ほろほろと朽ちてゆく


それは、もうずっと歩道橋に見えている
或いはそれは、もう ....
愚かにも駅の天井を何故
消化器官に似せてしまったのでしょう
そこでは、羽音震わす蛍光灯
その仄青い痙攣から逃れ切れず
静かに分裂した影の群れが
仄青く集う硝子、地下鉄のドア

 ....
 昨夜、車で、人を轢き殺す夢を見た。昨夜の夢ではなかったかもしれない、一昨夜の夢であった気もする。男なのか女なのか、子供か大人かお年寄りか、そういえば何も覚えていない、どうしてそれを人間だと思ったのか .... 砂塵に覆われたコンクリート
目を凝らせば
ほつれ落ちた枯れ枝、その向こう
目を凝らせば
灰皿代わりだった冷たい赤い一斗缶、その向こう
公園を閉じ込め続ける鉄条網、その向こう
澄 ....
余りにもあどけなく捨てられた
紙屑 に
余りにもあどけなく捨てた
指 に
同じように宿るものを
冬と 呼ぼう


乾いたマンホールの薄い模様を通り過ぎたあと
歩道の段 ....
A道化(290)
タイトル カテゴリ Point 日付
初夏の、恍惚自由詩405/5/30 3:40
独裁自由詩1205/5/21 20:38
単なる夕刻自由詩905/5/21 20:37
シネマ自由詩205/5/11 7:04
自由詩405/5/3 10:52
ポピーの眠気自由詩205/4/27 2:37
日々の垂れ流し20050425.真夜中の、洗濯物由来の幸福散文(批評 ...205/4/25 3:17
春浴自由詩805/4/18 2:12
食卓での罪自由詩505/4/13 6:59
日々の垂れ流し050406. 美味しい真夜中散文(批評 ...205/4/6 23:13
日々の垂れ流し050404、快くて正しい眠気散文(批評 ...805/4/4 4:14
日々の垂れ流し050402、木蓮に連なる散文(批評 ...605/4/3 10:07
疑わしい春自由詩505/3/29 18:40
日々の垂れ流し050319おはよう散文(批評 ...405/3/19 9:19
幻想的な発芽自由詩805/3/3 0:57
色彩冷戦[group]自由詩705/2/26 16:59
冬の履歴書自由詩6*05/2/24 2:05
枯れ比べ自由詩405/2/22 18:56
擬態の森自由詩1005/2/15 10:20
黄、丸、釦、春自由詩7*05/2/12 23:57
滅びる海自由詩905/2/8 0:08
保存上の不注意自由詩505/2/1 8:36
白々しい独り自由詩405/1/18 17:21
鬼の行方自由詩705/1/8 22:11
日々の垂れ流し041217散文(批評 ...504/12/18 3:44
白い崩落自由詩604/12/14 2:44
地下鉄の花占い自由詩804/12/2 15:09
日々の垂れ流し041125散文(批評 ...204/11/27 11:22
その吐息のほどき方自由詩1004/11/25 15:06
宿る自由詩404/11/21 17:16

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