疑わしい春
A道化




アスファルトは
小雨ひとつに濡れ終えました
小石を蹴った靴底の生まれつき湿った摩擦音は
生まれつき消えてしまいます


仄明るいカルシウムのような冬においては
鈴の疲労骨折のようだった、微音



古い傘の表皮にて生気の無い雨の跡に変わる頃のことを
嗚呼、どうして、どうしてあなた方
春、と、呼ぶの



2005.3.29.


自由詩 疑わしい春 Copyright A道化 2005-03-29 18:40:57
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