ずっとそばにいるよ
と
耳たぶをふるわす
午後のビーチでは
ねそべる
しらないオンナノコと
たのしくおしゃべりしてた
ただ
それだけの
あなたがささやく
フロリダの夕べ
....
ねむれる場所
見つけたからって
窓は
あけたままにしては
いけない
カシオペアの夜など
なおさら
イマスグアイタイ、
とか
コエガキキタイ、
とか
が
入りこんで
困る ....
消しゴムは
あの日
机のひきだしから
転げ落ちたまま
ぼくの過去だけを
見つけられずに
ねえ、知ってるかい。
ゆうううつ、
ゆうううつ、
「あんた、それ間違っとるよ」
いいや、
いいや、かあちゃん
ぼくは間違ってなんか、ない
間違ってなんか。
だっ ....
陸橋の上では
なにもかも、音色だ
誰かの哀しみも
誰かの嘆きも
低く、
低く、
艶やか、に
奏でて
奏でて
陸橋の下に
五線譜、のレール
行き交う列車たちはアレグロ
速 ....
気づかれないように
水面を そそ、と
歩いていたのに
さっき拾った
オシロイバナのたね、を
うっかり落としてしまった
ひろがる波紋
幾重もの水輪の先、に
あなた
....
むかし むかし
パイロットのきみ は
大きくなったら
ひこうき になりたかった
運転士さんのきみ は
大きくなったら
でんしゃ になりたかった
宇宙飛行士のきみ は
....
宵闇、
五線譜の電線 で
輪郭のぼやけた影だけの鳥たちが奏でるのは
誰かの
失くしてしまった、声
あるいは、足音
にも 似て
道しるべにするには あまりにも
不たしかな
風通しの ....
やがて来る、終わり、に向かって
ぼくたちはひた走る
ともすると
くずれて、皮膚さえも通り抜けてしまいそうな
微粒子たち、
さらら、さらら、な
透明、な
前ばかり見ていたら
追い ....
おや、河をめざしていたのではなかったのですか
はい、ここは河です
どうにも、ここは海、のようですが
その証拠に、
こんなにも広く、青い
....
耳をふさいで、いた
宇宙の、すみっこ、で
その間も
朝と夜と砂時計、は転がりつづける
なにもかも、と
言えるほどの、なにか、
が
ふたりに、あったか
しれない
耳をふ ....
いつからか部屋は
水槽、で
ガラス越しに燃えている
赤、また、赤
近寄るとそれは窓で、
背伸びしたそのとき
窓枠は壊れ
緑色、流れて、
流れて、
緑色をのぞきこむもの
も、 ....
夜半の網戸に
数回、アブラゼミは体当たりをし
ジジジッと最期を知らせた
アブラゼミも網戸もぼくも
誰も悪くはないよ
かなしみは 今、
いつかの記念日の時計
いつかの8時を告げた ....
「あれだけは、あたし大嫌いだから。」
ヨシ君のお母さんはダイニングで
ひよこ豆をクチャクチャやりながら
ぐにゃりと頬をゆがめた
さっきからの話の流れだと
茶飲み話の主役は蚊のようだ
あれは ....
あなたは水玉のような言葉を発し
わたしをとてつもなく
自由にした
解き放たれてわたしは
見上げるべき空を見失い
夏の果て
なにもかも忘れないように
呼吸をとめて
なにも ....
ねぇ、明日は海曜日だけど
どこに連れてってくれるの。
早起きじゃなきゃ、いやよ
海曜日はわたし、忙しいわ。
ゴミを出して水着に着替えて
お皿を洗ってタオルを詰めて
洗濯機回して帽子 ....
四角四面なこのぼく。
どうぞ
その 皺の波間を
どうか
存分に転がしてやって
ください。
ならば まぁるく
やがて まぁるく。
じゃんけん、
負けたからぼくが去ればいいの?
きみは勝ったのにどこかにいっちゃった
そういうのって、
最初に決めとけばよかったんだ
たぶん
ケンケンパーだったら
もっとちがったのかもしれ ....
けらけらと笑いあい
手をつないで
かけぬけた
日々
わたしはいつでも
ひとりでした
ほろほろと溶けて
くずれてゆく
角砂糖はキライ
シャカシャカと音のもれ ....
なにかを知るはずもないのに
海はそこにいて
呼んでいる
なにかを知るはずもないので
海はいつもそこで
呼んでいる
誰を
誰を
誰か を
きみとはどこから
どんなふう ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
退屈をにぎりしめて
おもてへ出た
そぞろ歩きのアーケード
レモンの駅のホーム
まわるバスターミナル
あと3日で実が落ちるびわの木
ドアの前についた時
にぎりしめていた退屈は
ど ....
チョコリットも積んだし
燃料も じゅうぶんだ
さて。
火星へ行くことにしたよ
彼女があんまりうるさく
ぼくをがんじがらめにするから
もう、ぼくは
火星ならタコ(みたい ....
風が見たいの、と
きみが言ったから
縁側に座っててごらん、と
言ったんだよ
本当はそこじゃなくたって
いいんだ
吊るされた青銅は
お寺の鐘にも似て
思わずぼくは
しあわせ、とかを ....
いっそ
流せばよかったんだ
流せたなら。
溜めすぎて
ココロにカビがはえました
霧の森をぬけると
朝朱の陽が射し
湖はゼリーで
きらきらと波打っていた
向こう側へ行きたいの
今がたぶんその時だって わかるから
手をつないでね
ほら、
標識だって あるわ
....
夕暮れの熱を
ポリエチレン越しに感じながら
運び込まれたボク
「急患です」とは
誰も(もちろんボクも)
叫ばなかったので
薄暗いベッドの上に放置される
意識もうすら遠のいて
そのま ....
右曲がりの坂道を
30歩のぼったところ
雨上がりには
アジサイが
酸性やアルカリ性に色づくので
それならば涙は、と
通りすがりのにわか雨を
ふたたび
つま先に
ひと ....
うだうだ うだってんなよ
うだ うだだ。
水、やりすぎてやしないかい?
根腐れには
注意しろよな、おい。
自分。
四角い出窓にひじをついて
わたしは お空をみてました
ときどき 桃色の雪が
紛れこんではちらついたりして
世界は彩られたりしましたが
わたしは お空をみてました
ひじをついたまま
....
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