水槽のどじょうが
ピチャン、とはねて
しぶきは周辺を濡らす

それが 開始の合図。

眠らないモノの、
眠れないモノたち



するすると糸を吐き出しては
せっせと罠をしかけ ....
うたた寝から覚めると
下校時刻のチャイム
開け放った窓から
笹の葉が

通りの向こうを
はしゃぎながら遠ざかる
金銀砂子

はるか頭上を
セスナが横切った
ような気がして
空を ....
公園の噴水脇に座ると
知らず知らずのうちに
あたり一面真っ青がひろがる。

*

ちょっと、ヨウタ。
あんた私のウサハナのスタンプ、
勝手に持ってったでしょ。どこやったのよ。

  ....
五感をはたらかせて
すれすれ を
歩いてゆく


波が薄く寄せるので
バランスを崩しながら
逃げよう


追いつかれたら
もうそこは恋で
出たり入ったり は


さくら貝 ....
夜の手のひらに
背中を押されて
チラチラと散らばる
港の明かりを見下ろしに
いつもここへ来る


デパートの裏の階段にすわり
わたしたちは
寄り添ったり
ときどき 無口になったりし ....
ここのところの暑さは
かなわんね、と
足元で声。

室外機のうしろ
干からび寸前の
トカゲが
ペラリペラリとにじる

爬虫類系、得意じゃないけど
手のひらにのせてやった。

こ ....
路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。

その間にもわたしは
あなたのことを見ている

アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
 ....
ここに来るまでずっと
つま先だけ
見ていた

たどりついたとき
誰かが待っていて
ほめてくれたりする
どこかはどこ

軒下に避難した朝顔も
こうべを垂れるので
昨夜から宿っていた ....
見上げると
空は昼寝をしていて
そのすきに
雲は氷になっていた

このごろは
どうにも喉がかわくんだよ、
と手を伸ばしても


涼しいかたまりが
つるんと通りすぎて
ぼくはま ....
前も後ろも
音はなく
深く深く まで
たどりつきそうになる

手や足や
髪の一本一本が
光る砂を撒き散らしては
まぼろし

忘れたように見えることと
忘れたこととは
ちがった
 ....
はかりしれないほど
白い カール
次の瞬間にはもう散り散りに



退屈だから
ゲームでもしよう
三角波を数えて
せーの、で
ライド


今ならまだ
右にも左にも
踏み ....
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。


列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く


 ....
洋ナシをひとつ
手にとって、
戻した


わたしは今
シアワセです と
伝えたくなる
たとえ
嘘だとしても


洋ナシは嫌い、と
言った
あのひと 


伝えるすべも ....
秒針がふるえて
ぼくは ただ
青くなってゆくばかりだ


深みが光を吸収し
かわりに
無数の粒子が
まとわりつく


探してた言葉は
どこにも見えず
たえなまく


 ....
どこから夢で
どこまで夢だったのか
わからない
という 朝


さざ波がたっていたので
ただ 
風をさがした



前に進むための
1オンス



やがて
なにもか ....
気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした


望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る


セロハ ....
その時のぼくには
どんな光も
光 だった


高層ビルのあちこちでは
松明が焚かれ
人はそれを
空から眺めては
都会などと
よぶ


灯台ならば
向かうべき先を
教えてく ....
呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた


海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる

海はまた
それをまるごと
く ....
重たい表紙を開くと
『夏の項』だった


限りなく続く
かのような 草っぱらの
ずっとずっと向こうから
薫風に押されて
あるいは 乗って

バラ色に染められる
その足跡


 ....
傾きはじめた太陽が
ボンネットで屈折し
ぼくを射す

さよならを言い出したのは
ぼくで
結局のところ
決めたのは きみだから
ぼくは フラれたのだろう

車は無駄に走り続け
困り ....
四方の壁に
お気に入りのタペストリーを
隙間なく 
貼っつけて

自由と
孤独は
いつでも紙一重だ。
などと つぶやいている

地下室では
いつも
ひとりぼっちだ

薄い天 ....
階段の 途中、
上から5段目あたりに
背筋をのばして座っていると
傘を忘れてしまったことなど
どうでもいい
と、いった気分だった


昨日洗ったスニーカーは
乾いただろうか


 ....
しゃがみこんでいたら
かたつむりが横切ったので
雨はどうして降るの?
と、問いかけてみた。

かたつむりは
にょきにょきとツノを出しただけで
何も言わずに
つるりと通り過ぎた。
目玉 ....
雨降りが続くと 
そこいらじゅう軒下に 
てるてる坊主がぶらさがっていた
あの頃

昇降口から振り返った校庭は
ところどころ
コーヒー牛乳の水溜りで
少しだけ、おいしそう

なぜだ ....
水路に打ちつけた

あるいは カラダ


案内いたしましょう。


永遠の少し手前 
果てのない海の
目印に


鳥や魚たちの旅は
今この時もなお続いている
なにを目印 ....
今から
向かいます。



彼方からの発信を受けて
待ちきれずに
窓枠から
片目をのぞかせる


目の中に飛び込んできたのは
方向音痴の雨粒だけだった


そういえば
 ....
すきま風に押され
宙を舞い
テーブルの上

こっちが裏だ。
こっちが表だ。
裏だ。
表だ。
裏、表、裏、表、裏

小競り合い

すると
いらついたように
はらりと飛ぶと
 ....
ふりかえると きみは
ひどく仏頂面で

左右のほっぺたに
大福をひとつずつ
ぎゅうぎゅうと 
おしこんでいた


空にはみかんが浮かび
足元にはコーラの水溜り
シャツには飴玉。
 ....
顔に
魅かれました


あなたの顔。


あなたは
二つも 三つも
三つも 四つも

もしかすると
四つも 五つも
顔を持っている

そんなところに。



わた ....
水曜日はどうにも暇だった


すきま風になって
きみのふくらはぎを
なでなで なでなで
したり

ソーダ水の泡になって
ぷちぷち ぷちぷち と
浮かんでは はじけ
浮かんでは は ....
望月 ゆき(308)
タイトル カテゴリ Point 日付
全日本夜更かし選手権大会自由詩1*04/7/5 19:48
追憶自由詩2*04/7/4 18:19
ストーン・サークル自由詩3*04/7/2 2:09
みぎわ自由詩5*04/7/1 20:23
跡白波自由詩15*04/6/28 9:21
シリンジ自由詩2*04/6/27 18:06
こときり自由詩6*04/6/25 8:06
そのもの自由詩7*04/6/24 1:29
キヲク自由詩6*04/6/22 13:57
夜光虫自由詩2*04/6/21 23:08
108自由詩2*04/6/21 0:27
朱夏自由詩9*04/6/18 0:45
花信自由詩3*04/6/17 8:16
ブルーホール自由詩5*04/6/17 0:49
自由詩5*04/6/16 8:54
飛沫自由詩18*04/6/16 2:01
漁火自由詩8*04/6/14 22:45
ストロマトライト自由詩8*04/6/14 0:47
架空少女事典自由詩4*04/6/13 9:13
斜陽自由詩2*04/6/12 0:02
地下室症候群自由詩2*04/6/11 22:36
スペクトル自由詩2*04/6/10 20:23
水溜まり自由詩3*04/6/9 21:59
てるてる坊主の六月自由詩1*04/6/9 0:37
澪標(みおつくし)自由詩5*04/6/8 23:00
風来坊自由詩9*04/6/8 0:42
ぺら自由詩2*04/6/4 21:58
雨上がり自由詩1*04/6/3 21:16
かお自由詩2*04/6/3 14:26
気化自由詩5*04/6/3 0:33

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