ストローの紙袋を
できるだけ遠く
白く、吹いて
氷の空へ飛ばす

コツンとあたった
かすかな点から
ぱきぱき、と
空はひび割れて
肝油ドロップがふりそそぐ
雪乞いの
甘い甘い、 ....
ああ
かみさまはいるのだ、と
思った
そんな夜の話をしてあげる

雲をつんざく、青
無尽に動く、光
まっすぐ、
ひたすらまっすぐな、光
それから逃れるため
走った

(まっすぐ ....
きみ
図鑑にのってるよ
知ってるかい

きみだけじゃない
ぼくも
きみの、
ぼくの、
おとうさんも
おかあさんも
きみの赤ちゃんも

さっき
赤ちゃんの手の甲をペロリとなめた ....
小さな頃
引っ込み思案なぼくに、と
ママが与えてくれた図鑑は
表紙をひらくたんびに
こんにちは
こんにちは

語りかけたので
ぼくはひとりぼっちではなかった

ぼくの図鑑は
そ ....
グレープフルーツを半分に
ぱっさり、と
切ってごらん
まんなかにはいつも
記号



ぎゅう、

しぼったら
記号のしずくが
溜まるから
飲んでごらん
沈殿するのは
 ....
かつて
わたくしは
花、だったのですよ
よろしければ
咲いてみせましょうか


言うと
水、のようなそのおかたは
しなしなとゆびを左右に
ゆらして
ていねいに
それをこばむ
 ....
ぼくの投げた、ダーツ
海沿いカーブで 急ブレーキ
壁に貼られた
ロックスターのポスターに
ささって


ぼくの投げた、ダーツ
あそこは風が通るから
早く起こさないと、って
ロックス ....
ねえ、
こんなふうに光る
赤信号の交差点でも
きみは 
遠い場所へはせるの

さっきまで
胸をかげらせていたニュースも
アドバルーンの空気といっしょに
ぷすぷすと
消えてしまった
 ....
たったひとつも
あなたを連想させるもの

のこさないまま
あなたは
去っていった


流砂にかざす
わたしの左手
の皮膚に
規則正しい、起伏
風、止んでなお
砂は散り
水 ....
一日の終わりに
シャワーの蛇口をひねると
十二時のひずみから
しずくが落ちる
窓枠の
カタカタ
と鳴くのもよそに
通り過ぎたのは
秒針で


洗いながしたのは
遠い遠い
約束 ....
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、

ねぇ
そこの、おにいさん

要らないものを別の誰かが
要るもの、
要らないもの、
要るもの、
要らないもの、

ね ....
星砂の夕べ
ファクスからでてきた
きみが
あんまりうすっぺらで
それはそれは
過日の約束ほどに
ぺらぺらだったので
ぼくは


受信エラー。


とだけ 書いて
南の窓から ....
こうやって、ね
もちあげたら
そうしたら、ね
おっこちてきたんだよ
ぽた、ぽた、
って
おっこちてきたんだよ


ぼくが
うちゅう、みたいな
まっくらで
つめたいところ、
り ....
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね


と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
あの日 
しゃがんで拾った貝殻は
引き戸の奥
ひしめきあいながら
眠っている。
波に濡らしてしまった、
と泣いた
スカートのすそで
今なお
夕暮れは踊る


あの日
目の前を ....
とおくへいってはいけません

うん ママ 
    わかったよ ママ


あしかドン、あそぼう
    うん。あしかゴン、なみをとんでね
あしかドンはじょうずだなぁ
    あしかゴ ....
笑って笑って

笑ってますか
いとしいわが子

見えてますか
いとしいわが子
の笑顔
つぎだした右手のPEACE

その指のあいだの
無邪気な笑顔
の裏側
の後頭部

そ ....
無数ともいえる
ボタン

ひとつずつ、かける
かけ終えたそのとき
もっと別の
なにか
きらりと光るような、に
心をうばわれて
せっかくかけ終えたそれ

一気にはずす
そんな ....
まるみをおびたふち
から
足をすべらせて
フラスコの中に落ちた
としても
意気消沈する必要は
ない

そこでなにかできることを
さがせばよい

そこにも
陽はさす
屈折さえし ....
メリーゴーランドに
ふたりで乗ったあのとき
ふさがった右手のことばかり
気にしていたあなたは
左手でにぎる
わたしの右手をふいに忘れた


遠心力のそとがわ
こぼれて飛び散った
カ ....
わるいことがあった日は
たまごを100個
ゆでたそれの殻を
むく
そうなさい、と
むかし誰かに言われたのだ
けれど
誰だったかは
わすれた

殻をむくのは
夜じゃなくっちゃいけな ....
その中に落とされたとき
から
ぼくは羽につつまれていた
するするとした感触のそれの
色を知ることもなく
カタチを知ることもなく
いつも
その中でまるくなって
ねむった


何万回 ....
今日という一日を
どう過ごしたか
なにを し、
なにを感じたか、

今日が
今まさに終わって逝くときに
さて、
おもいだしてみよう
などと
試みているうちに
それはもう
昨日 ....
はっきりと見えない
セロハンのような
それ 一枚が
へだてている
ような
わたしたちは
角度によって
ときどき 見える
それ のせいで
近づけずにいた

沈黙に見とれてしまいそう ....
サキとは昔から似てなかった
サキは母親似で
それがずっとうらやましかった
サキは生まれたときから妹だった

サキは小学校のころから
勉強が苦手だった
勉強が得意だったわたしは
いつもど ....
たとえば 
わたしが沈むとき
くるくるとつむじをなでる
てのひら
がほしいのです

たとえば
わたしがつまづくとき
ついとおでこを押える
てのひら
がほしいのです

たとえば
 ....
目がさめると
遮光カーテンのすそから
光がななめにすべりこんでいた
朝が
きたのだろう


ダイニングの白はつめたく
まぶたはひとりでにふるえる
カップを2つならべ
コーヒーマシン ....
わたしたちは「生きている」
のでは、なく
わたしたちは「生かされている」
のです

と、駅に向かう途中にある
十字架が屋根にのった
幼稚園の
せんせいは、言った

意味はわからなか ....
わけもなく
涙がでてきたんだよ、
って
さっき言ったけど
たぶん
うそ、で

たしかに
わけはあったんだ
ポケットの底
ひも靴の裏
そんな、とこに
たぶん

道ならば
す ....
二十年ぶりに訪れたその町は
すっかり変わり果てていた
とはいえ
うるおぼえながらに車を走らせる
と道路沿いに赤い自販機が目にとまる
そういえば喉が渇いた
車をとめて自販機の前に立つ
する ....
望月 ゆき(308)
タイトル カテゴリ Point 日付
肝油ドロップ自由詩16*05/1/8 0:40
夜の欄干自由詩9*04/12/29 22:13
こんにちは図鑑Ⅱ自由詩9*04/12/29 14:21
こんにちは図鑑自由詩3*04/12/29 14:09
*自由詩12*04/12/19 17:22
刹那い自由詩1104/12/16 23:25
ホームワーク進行形自由詩204/12/11 12:17
フルスピードの、Tokyo自由詩404/12/10 19:34
砂紋自由詩6*04/12/3 1:39
十二時のしずく自由詩17*04/11/27 1:06
フリーマーケット自由詩4*04/11/26 21:35
迷い星自由詩8*04/11/23 10:40
ぽたぽた自由詩10*04/11/13 17:37
秋冬自由詩8*04/11/9 0:52
はての浜自由詩6*04/11/7 16:57
再生自由詩5*04/11/2 1:05
裏側の、PEACE自由詩2*04/11/2 0:29
カーディガン自由詩4*04/11/1 1:23
フラスコ自由詩3*04/10/25 11:14
散る、カケラ自由詩3*04/10/22 2:27
たまご自由詩9*04/10/21 22:54
ブラックボックス自由詩2*04/10/17 23:48
一日の終わりに自由詩1*04/10/8 21:37
夜の、きりん自由詩304/10/7 12:14
サキ自由詩304/10/7 10:52
てのひら、そのとなり自由詩1104/10/6 1:33
たたずむ、朝自由詩204/10/4 22:50
生かされる、自由自由詩204/10/2 22:50
感傷歩行[group]自由詩4*04/10/2 13:00
忘れられた女自由詩1*04/9/27 12:56

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