母の手帳をめくっては
白いページに引かれた座標を見つめる
そこにある数字を
眺めている日曜日に
染み付いた家族を
過去として忘れ
移ろいゆく春に
薔薇のわきたつ香りをかいでいる
....
目黒駅から押し出されると
長い坂道を下り 目黒川を渡った
チケットの半券を握りしめた 僕は
汗まみれで 一言も口にしない花粉症だった
桜が咲くにはまだ 冷たすぎる
緑色の水面に チケット ....
母の声が聞こえてくる
なだらかな通りの上で 小指の先を
色々な流れとしてはにかむ 体のバロメーター
そこにリボンをつけていく
流れる風の 外側へと
弟に会いたいと つぶやいている
水の ....
死にそうだけどああ
祈っているだけなのだろう この僕という人が人なのかもしれないと
生かされていることとして この僕という人が人なのかもしれない心で
微笑んで そして考えこんでいる
死ぬこ ....
自分をなくしかけたような記憶の中
渡しかけて返されてしまったラブレターに反芻している
夜のすさんだ雨を降りしきる苦悩に立たっていた
そんな世界の中に忘れた彩りのような
ぼんやりとしたスモッ ....
工業地帯は
白い煙が巻いている 僕の
思いは 黒い壁に塗り込んだ塗料
何も語らない口が
その口が
赤く開いた寂しさに
群青色のトラックが走る
僕の思った 焦げ茶色になびいた布が切れる ....
母のチョコレートを
一口づつ食べて横たわり
ふとんに寝ころびタオルを引っ張る
心だけが少し温度を纏う
ふろしきに近い紫で
女の子が差し出す緑色をした
男の子が受け取る汗ばんだ手の
パ ....
手にビー玉が転がる
赤や黄色をした
玉たちが
爆発する世界に
ビー玉がひとつ転がっていく
赤や黄色をした玉たちと一緒になって
砂やガラスとなって散らばっていく床の上に
真っ黒な石が佇んで ....
何かですらもなくなった風が
何でもなくなった笑顔をほころぶ
釣り船は沈んでしまうような
魚たちを海中に残している
泳ぎ続けたような魚たちが
考え続ける日に流れていく
流れこんだ竿の先を ....
道を森へと歩けば
湖畔に立っているのだと知る
白色を彩った水面を眺めれば
土をゆく石ころでなぞっていく
枝の草葉を歩くほど
母に会おうとする
どこかで思いを抱いた鏡が輝く
手足の指で ....
反射が渦巻く
砂地に煙れば霞み
動揺し続ける息だった
滴に弾けて染まる紙や
母の傍らに触れる
縁側はじっとりと香り
ねじまく起伏にちらついた
布をちらちらと奏でる旋律だった
シルエ ....
私は何も知らなくて
人に泣きつく人間か
私はビールに愛情を感じて生き
私はカウンターにビールを注文し続ける
私のいる日々に思う
私は女を知り行く 私は
風が流れ砂漠に 私が
倒れ砂漠 ....
ひとつの声を追う風に生きてきた気がする、ほのかにそんなものが流れる貝殻にかすむここに流れ着いた
海賊船の話し声に耳にすることがあるだろうか
海にぼんやりとかすかに広がり、書き捨てたノートブ ....
水平さを眺めた森林は
上下をなすことで目眩がする目だ
緑色なのは 工業地域としての体裁か
空は灰色 器を吐き出すことで
悲しげな夕暮れを歩いていくみたい
何もかもを同情する神秘的な心持ち ....
母がやってきた風として
彼方を風が流れていた時だった
父が手を振っていたような気がする思いの
岸辺は砕けたようなボートが横付けされていた木だった
冬の日の河原に遠い日を描いた夕ぐれに
体 ....
とても読みづらい書物なので
捨て去ろうとして踏み出すと 神々は
描いていたみたいだ 空を
目印にして歩く
角砂糖を溶けていく強化ガラスに
虹色をした男たち さすらえばいいのかと
胸がき ....
母がいない生活に
ほんの少し微かな疲れが渦巻いている
週末に少しだけわがままを
聞いてくれる人がいてくれたらと
国道をぼんやりと立ったまま
飛んでいく紙飛行機にじっと立つ日
体は旋回し ....
航空機はシャルルドゴールと呼ばれているフランスの空港に降り立つ。座席の向こうに広がる風景に目をやると、明らかに日本とは違う光の風景に目を奪われた。座席は定期的にクリーニングにかけられているのだろう。そ ....
何もない日々に思うことは
カルカッタのチャーチルオルガン
そんな気がするな
トランペッターたちが
そんなふうに思えるというのも たぶん今日のうちだろうか
どうやらヒ ....
誰もいない
夜にライターで 流れる
立ち止まる木に 波が立って
流れる
僕は体だけの存在だろうかと
川を見ていた 僕として
描きたいと 水彩の絵の具を買った
僕は画家だろうと そのと ....
リゾートホテルのカラーは
誰もいない風に
ほのかなひらめきが浮かぶ
ベンチャーズの二枚目のアルバムを手に
何もかも楽しまされたみたいに
微笑ませてくれる
サファイアブルーの光沢に沈み続 ....
シャツの向こうに
妹が誘い込んでいる
くれたものを
浸しに出かけた
そこかしこに千切って
散らばるのだろう
道路の中に
向こうにあるものを忘れたまま
赤ん坊のよだれになってみたかっ ....
ミッドタウンのクラブに思える
カメラマンや
青いライブハウスの壁として見つめれば
サファイヤ色の海をバックに
走り回る
生息している生物たちに誰かは憧れるわけでもなく
チュッパチャップスを ....
何もわからない心で歩いていくと本屋に立ち寄った。入ったことのない喫茶店でコーヒーを頼むと高い料金を支払わされて、そこからはい出そうとしていた。受験に失敗した僕は、特に向かおうとする場所もなく歩いていく ....
インターネットでチケットの予約をすると
やがてキャバレーがあったというボードウォークで、
やってくるネジを待っていると
やがて持ち合わせのリュックをしょって
沖縄に向かう船に乗りながら
....
太陽が照りつける下
浜辺を歩いている
水着姿の女性の姿が集う
カラフルなビキニのラインが行き交っていて
沖縄にはさとうきびに
椰子の実が生えている
ハワイなら
ルイビトンのブティック ....
雷鳴だけが轟音となる
神々は声ひとつとして告げはしないだろう
いてつく稲光
彼方では群青色の森林が中央を切り裂く
谷間からは溶岩をわき上がらせてはがれ落ちる山河
幾たびもの曲がり角を墜落 ....
何もない 噴水のまわりを
子供たちが 走り回っている
人との約束もなく行き交う カラーボールを
放っては なんとなく空に
投げあっている
本当に疲れた 僕は
自分すらない 暗い夜が ....
人間の思考ー立場、非回答得る
フランスのどこかで暴行をうけている心持ちとしての世界観など今では笑いの種にぶちまけられていく微かな挙動としての反動にしてはただされていくどこかで ガットギターを弾こうとしている白さを眺め茶色の便せんへ ....
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