ふんわりシャボン玉
虹をちょっとの間のせ
風のごきげんに
文句もなく
パッと消える

ひらりと落ち葉
表と裏が一枚になり
風のごきげんに
文句もなく
それぞれ最期の旅

夢を追 ....
土鍋の蓋に
細い褐色
目をこらすと
かまきり
眠っているのか
脚を折りたたんだまま
じっと動かない

夕暮れに
畑から採った野菜に
紛れ込んだのか
なかまから逸れたのか

師 ....
どの手にしようか
パームか
ギミックか
ミスディレクッションか
増えていくマジックグッズ

ジョークを飛ばし
人目を盗んでは
嘘を並べて
とぼけては
裏切ることに
すっかり嵌まっ ....
晩秋の古道を上り
辿り着いたのは
兵火で埋もれた廃寺近く
青い池がひっそりと
木立に囲まれて

残された伝説は
池の竜神さまから
祝いの膳椀を借りた者が
ある時 規範を怠り
きちん ....
早朝の境内
石畳の禅堂
立ち並ぶ柱

坐る

山鳥の声
僧の歩み
香のゆらぎ
背筋を正し
心の内を見つめる

まぶたが重くなる
警策が肩に鳴る
飛び出るものはなにか
甘え ....
早朝の境内に
落葉を掃く音が
吸い込まれていく

重なり合っている葉
お堂から鳥居へ
石段を掃き清めていく

捨てようともしなかった
振り払おうともしなかった
いつの間にか積もって ....
冷気の下
殻を閉じたまま
ゆらりゆられてどこへ
重なり合う
箱の中

昨日までは
海の底
敵に襲われ
潮に流されても
二枚殻を武器にして
なかまと共に生きてきた
のに

今 ....
メロディーが流れ
幕が上がるステージに
黒いコスチュームで立つ
私はマジシャン
ウォンドを振って
メランコリーなあなたに
扉を開け
微風を通して
銀のゾンビボールが
ファンティンシル ....
土間に転がる
わたしはじゃが芋
眠っているようにも
死んでいるようにも見えても
頃合いを待っている

話し声が通り過ぎていく

ある朝
蓄えた力で
にょっきっと
芽を出す
やが ....
山寺の宵
庭と向き合い
和尚とふたり並んで
座禅を組む

拍子木が鳴る
鎮まり返った境内
前方の山が霞んでいき
ひっそりと夜の帳が下りる

庭風がなで
蚊が飛んでくる
一匹目  ....
お釈迦様の弟子
おびんずるさんは
体の悪いところを撫でると
治してくれるという

寺の外陣へ
人々が押し寄せ触ってゆく
老いた仏像の
頭は光り
肩は丸くなり
袈裟は擦れても
坐っ ....
澄んだ眼の秋刀魚を
団扇で煙を飛ばしながら
七輪の炭で焼く
一文字のまま
黄金色に

皿にのる
香ばしい皮の下には
柔らかな身を支え
小骨をたくさんつけた
背骨が真横に走っている
 ....
風渡るせせらぎ
岩の割れ目から這い出て
木陰を気ままに歩く
わたしは沢蟹

のびる手

捕えられ
器に入れられ
なかまとどこかへ連れられ
いつしか明るい照明の下
隠れることがで ....
ひっそりとした
裏庭を
歩く

真昼でさえ
陽の届かない所で
苔は石垣にへばり付き
雪の下はそこここに生え
南天や藪柑子は上へ伸びる
そして
辺りを地の神が見張っている

冷え ....
一匹の金魚が
ヒレをゆっくりあおいでいる

 ポイに捕まった
 アタシは運が悪い
 みんなはどうしたかな
 どこへ連れられていくやら

 どのみち売られた身
 受け身ばかりでは
  ....
ハリーは
ゴールデン・レトリバー
僕に寄り添うように歩き
大きな身を揺らして
逆らうこともなく
鼻を鳴らすこともない

朝の河原は
鎖につながれた仲間が
あちこちからやって来る
自 ....
朝の空気に
ほのかに香る
ひときわ白い花

その淵に佇んでいると
葉の茂み深くから
あの 蜘蛛の糸 の話
耳をすましていると

一本の竿が近づき
上からお釈迦様のことば
「悪いこ ....
朝の山
露の草むらから
ぬっと 雉

蹴爪が
近付いてくる

深い新緑の塊
深紅の顔
すくっとした首
獲物を狙う目と嘴が
迫る



光沢の羽を広げ
僕をきっと視
 ....
畦草を揺らして
蛙の声がうねっている
 鳴けるのは
 今だけ
 この青田だけ

頑固者は
喚くだけ喚き
生まれたちに拘り
季節に身を任せ
素潜りする

土の中で考える
肩書も ....
岩に立つ木
わずかな土へ
根を張り巡らして

風が揺さぶっても
雨が叩きのめしても
根は岩まで食い込み
倒れまいと踏ん張っている

あの木だけではない
生きている限り
どの木も
 ....
ここはサファリ―パーク
鉄格子のバスがゆっくり走る

ライオンたちが
しなやかな動きで
毛並みを揺るがせながら
あちらからもこちらからも現れる 

猛々しい唸り声

嘗ては
サバ ....
すっと
鞘から出し
慣れた剣をきりりと見て
「この歳になると
 斬りたい人の
 一人や二人はいる」
いつもは穏やかな
友の眼が光る

真新しい剣をじっと見る
ぼやっと浮かぶ影
さ ....
寺に鎮座する
アンドロイドの観音様
むき出しのコンピュータが
お釈迦様の教えを伝えている

まいったなー
珍しそうに見上げ
試しに話しかけてみる
 「僕は若いままでいたいけれど…」
 ....
今朝も歩いて
一キロ先の氏神さんを
ひとりでお参りする

石段を上り
小さなお堂の前で
鈴を緒でガラガラ鳴らし
気持ちをチャリンと投げて
手をぴったり合わせて
住所と名前を言い
あ ....
暇なぼくは
柔らかな土を掘る
面白くなって
掘りまくる

やがて
土深くから微風が
もっと下には青空が
頭を突っ込むと
引っ張られるように
落っこちた

草の上に転がる
ぼく ....
テーブルをはさみ
仲良く話しながら食べ
じゃぁまたと手を振っても
あなたは見えない

藤の花を愛で
ウイルスを怖がっても
連休はたいくつねと言っても
近くで笑顔を見せたのに
あなたは ....
天上の下
長い棒の先で
赤い皿をくるくる回す

バランスを取りながら
回る力のある限り
右から左へ
開いた扇にも
人さし指にものせて
終わりに気が済むまでトスをする
のが
会話の ....
夜空に
でっかい月が
ぽっかり浮かんでいる
こんな時だもの
コロナを忘れ
じっくり眺めよう
かぐや姫みたいにさ

地球に近づいたから
何かメッセージが
きこえるかもかもしれない
 ....
山の中腹に
本堂が鎮座する
その床下の
戒壇を
 独り
  降りる

   ひんやりとした
   そこは真っ暗
   右手は壁を伝い
   左手は闇を泳いで
   目を見開いても ....
無理して
硬いものから
尖ったものまで
皿にあるすべてを
のみこんでいた

ある時
喉を通らなくなった
我慢をやめよう
選ぶこと忘れている
いったい何を欲しいのか
勇気を奮い立た ....
もちはる(41)
タイトル カテゴリ Point 日付
仕来りのように自由詩220/12/16 13:16
かまきり自由詩5*20/12/7 20:52
マリオネット自由詩1*20/11/30 13:55
椀貸し伝説自由詩5*20/11/22 13:49
空の上自由詩1*20/11/15 20:40
落ち葉自由詩5*20/11/9 10:17
帆立貝自由詩1*20/11/6 9:16
ウォンドを振って自由詩3*20/10/25 21:45
刻々と自由詩3*20/10/18 19:59
問答自由詩2*20/10/12 11:11
ご利益自由詩1*20/10/8 20:33
一本芯自由詩3*20/9/29 20:57
沢蟹の脱出自由詩5*20/9/21 9:46
裏庭自由詩2*20/9/10 19:58
袋の中自由詩1*20/8/31 9:28
ハリー自由詩1*20/8/24 10:19
蓮の池自由詩0*20/8/17 8:34
自由詩1*20/8/13 20:47
自由詩2*20/8/4 8:17
岩に立つ木自由詩0*20/7/27 16:18
ライオン自由詩0*20/7/23 16:23
自由詩1*20/7/15 22:04
新・観音様自由詩2*20/5/26 9:47
お参り自由詩3*20/5/18 9:01
もぐら自由詩0*20/5/5 10:23
おあいこ自由詩120/4/30 19:35
くるくると自由詩3*20/4/22 11:08
スーパームーン自由詩1*20/4/13 9:55
よみがえる自由詩2*20/4/6 21:25
ろ過自由詩2*20/3/31 15:35

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