欲しかった
黒の楽茶碗が一万円
形良く 手に馴染みそう
オークションの画像を
あちこちから見入る

さあ 開始
値がカチカチ
一万五千円 一万八千円 二万円
「まだ上げられますか?」 ....
世界中に
菌を飛ばす新型ウイルス

子どもから年寄りまで
マスクを付けた顔は
目はぎろぎろ
口はむっつりと
知り合いでも疑い合う

品薄に並ぶ長い列
答えの出ない話し合い
中止に ....
田舎道でつまずく
膝をなでながら
石を睨む
あれ?
前にはなかった
土が持ち上げたのか

掘ってみると
尖って掌にのる
じっと待って
狙っていたのか
こんな小石に
負けるとは
 ....
わたしは
壁にかかる
白いデスマスク
しがらみをすて
見せたくない
600年前の顔を
さらけ出している
ただのオブジェ
けれど
閉じた目でも
辺りが見えます
息はなくても
ふか ....
あっ
腰の骨が
ポッキッと折れた
神経が暴れる
立つことも這うことも
激痛が走る

大混乱に
つぶれた骨が怒鳴る
「愚か者!
 粗末にするな
 言い訳は聞かぬ
 折れた骨は 戻 ....
猫は
年の瀬も
明日の天気も
知らない

柔らかな毛は
小さな穴でも抜け出し
低く飛ぶ虫とあそび
羽が舞い上がると
あっさりあきらめて
ふらりと出かけては
いつの間にか帰り
自 ....
富山からの
産直クール便
白い箱いっぱいに
紅ズワイガニが二杯

ハサミをおとなしく組み
脚をきれいに畳んで
小さな目はうつろ
見事ね ほめて
夕方には食卓へ

甲羅から味噌を
 ....
秋風に
風鈴の音が
舞う

おしまい♪

その音は
室をするりと抜け
高僧のように
無になって
消えた
風呂上りに
歌舞伎フェイスパック
ほてる顔にぴたっと貼る
冷たいシート

目と口をそっと出す
鏡に現れたのは
赤い熊取の入った顔
この顔で表を歩けたら
「暫らく」と声をかけ
ポーズ ....
早朝の寺
禅堂の前で
太鼓の横に立つ

齢も性も捨て
バチを握りしめる
息を吐き切り
気合を入れて
鹿の皮の
裏側まで打ち抜く
どん どん どん…
と 六つ

空気を通るその ....
真夜中に音がする
引き出しからだ
起きてそっと確かめる
羅紗バサミの刃が開いている
力を持て余していたのか
鈍く光り出番を待っている
シャキリシャキリと
衰えていない音

亡き父は
 ....
もちはる(41)
タイトル カテゴリ Point 日付
嵌まる自由詩3*20/3/26 16:47
異変自由詩120/3/10 15:18
小石自由詩2*20/3/2 20:28
デスマスク自由詩220/2/5 10:01
骨の説教自由詩120/1/20 14:43
足音もなく自由詩119/12/31 20:48
ズワイガニ自由詩119/10/18 19:02
その音は自由詩119/9/26 21:24
すっぴん自由詩219/9/16 8:38
太鼓を打つ自由詩319/9/10 15:56
羅紗バサミ自由詩219/9/2 19:28

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