ハリー
もちはる

ハリーは
ゴールデン・レトリバー
僕に寄り添うように歩き
大きな身を揺らして
逆らうこともなく
鼻を鳴らすこともない

朝の河原は
鎖につながれた仲間が
あちこちからやって来る
自分に似た子を
息子とは知らないまま
尾を振り付いて行く

自分の年も
人間のわがままも
わからないまま
木陰に寝そべって
昨日を忘れ
明日を気にせず
今日を生きている

嘘のない澄んだ瞳は
あれこれ心配する僕を
不思議そうに映している

老いた友に
いつしか僕は
寄り添って歩いている


自由詩 ハリー Copyright もちはる 2020-08-24 10:19:18
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