もちはる

朝の山
露の草むらから
ぬっと 雉

蹴爪が
近付いてくる

深い新緑の塊
深紅の顔
すくっとした首
獲物を狙う目と嘴が
迫る



光沢の羽を広げ
僕をきっと視
一鳴きもしないで
背を向けた

縄張りは超えない
何物にも縋らない
野を生きる鳥

引き締まった身は
僕をのこして
風の中へ
羽音高く
颯爽と
舞い上がった


自由詩Copyright もちはる 2020-08-13 20:47:12
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