かまきり
もちはる

土鍋の蓋に
細い褐色
目をこらすと
かまきり
眠っているのか
脚を折りたたんだまま
じっと動かない

夕暮れに
畑から採った野菜に
紛れ込んだのか
なかまから逸れたのか

師走も半ば
小さないのちは
生き延びるつもりか
覚悟をしているのか
果てるのを

草むらからの
素泊まりのお客さま
ゆうべは固いベッドで
ごゆっくり眠れましたか

手にのせ
植え込みにそっと
一対の羽があっても
もう 飛ぶこともできない
さようならも言わずに
みどりの中へ
まっすぐに
消えた


自由詩 かまきり Copyright もちはる 2020-12-07 20:52:06
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