孤独の輪郭をなぞる
深い峡谷の故郷にて
何処までも透明な湖に沈んでいくように
分離していく、
昼間の震えが嘘のように
ナイフを肉に刺し貫く
ナイフを身に刺し貫く
走る激痛に
深く潜 ....
ちいさな
ちいさないのち
ちりはて
遠いみ空を
かけてゆく
境界線を越えたなら
きっと合図するからと
しろくはかなくそう言った
ちいさないのちにあふれる涙
あめがふり ....
雨降る夜に
裸体を曝し
けぶる地平へと
走っていく
滾る思いを
冷雨に濡らし
逃れられないと分かっていながら
夜闇のなかを走っていく
ひたすらに、ただひたすらに
無数のヘッドラ ....
旗が揺れている
静かに
朝を迎え
微かな北風、吹き
通り過ぎる人々
眠りの世界から
頭をもたげ
たましいを現に
投げ入れる
見目麗しい
一日の始まり
....
ああ
初々しい顔して
夜が来た
ひんやり涼しい
風も吹く
向かいの家では橙の
灯りが点り
人影が
それは忙しく動いている
わたしは独り寝の床を整え
さっきからじっと座っている
昼 ....
たおやかな街並みに
天空は青く広がり
わたしの腹底の不安の核を
渦巻く宇宙へ投げ入れる
何処までも、何時でも
つきまとう漠たる不安ならば
この青き街並みに歯軋りし
道行く人の歩速とな ....
日々がどよめいている
宇宙が波打っている
『遠い遠い』と手を振る君
何かが湧き起こり
何かが爆発して
すべてが終わり
すべてが始まろうとしている
名状しがたい何物かが流動し ....
穴を穿つ
深く冷たい穴を穿つ
在ることを真っ二つに裂く
穴を穿つ
存在の不安に鳥肌立ちながら
存在の不安に恐怖しながら
独りの魂に穴を穿つ
爆発を繰り返す宇宙
遠去かる銀河
たま ....
存在の孤独が
冷たく露わになるこの夕べ
雨滴は石を穿ち
震える胸奥を
抉るように流れ落ちる
ぽっかり深淵が口を開く
ぽっかり深淵が口を開く
遠くふるさとの木霊が響き
わたし ....
雨が上がった街に
人が通り過ぎる、車が通り過ぎる
僕は窓辺で見ている
にわかに大地が割れるのを
見果てながら
彼らは何処に向かうのだろうかと
遥かな地平に虹がかかる
俺は ....
遠い道が続く
震えながら、剥き出しで
長い道程を歩いていく
魂が愛に届くのなら
お前の脚を洗う覚悟は出来ている
この街に永住する家は無い
進む先は行き止まり
行く末三畳間に落ちぶれて ....
あめいろの
時が過ぎ行く
この夕べ
わたしの孤独は身一点に溶け
一閃する光の海
瑪瑙の渦は天を駆け
静かさだけが降って来る
気の遠くなるよなこの時に
静かさだけが降って来る
....
安定して
安堵して
朝の風を浴びる
行き交う人々は足早に
留まる人々は優雅に
待ち受ける一日の重み
待ち望む異界からの風
風は吹いている
折しも燕が鋭角に舞い
待ち受ける ....
銀輪に
跳ね返る
光の束
眩しくて
ガクンと揺れた
視界の先
道行く人の
後ろ背に
未知悠久の
時、踊る
あゝ何もかも
渦巻き
異郷となって
迫り来る
この懐かしい
....
かなしみの
青が降る
透明、
ただ透明に
なっていく
己の体
幾億もの幾兆もの者達が通った道
途、未知、溢れ
枯れ果て、移行する
闇の奥の
ふるふる震え揺れ
時の間隙縫い
開く ....
昨日はザンザン降りで
今日は晴れ間がひろがった
閉めの緩い蛇口の水がポタリポタリ
わたしはそのわきを通りながら
青い青い空を仰ぎ見た
梅雨入り前の青空だ
梅雨入り前の大空だ
....
空は灰色、
街行く私の背は屈み
あてどなくさ迷いながら
灰色空から雨、ザァザァ
ザァザァザァザァ降って来て
視界はかすみ歩は鈍り
(今ごろ森では紫陽花の
青白く光る群落が
ゆらんゆ ....
日射しがやって来て
人通り過ぎ
金の色した風が吹く
ぼくのあたまはガランドウ
からだは熱く火照り
うでは鳥肌が立ち
空から青が降って来る
厳めしい顔した青が
ばらばらと降って来る
....
時は夕暮れ、涼風吹き
身は一点に凝集し
言うことのない心持ち
これ以上ない均衡に
やがてわたしは
寂寞の谷に落ちる
震える肉身を透徹と
貫く哀しみありありと
今、底無しの天を仰ぎ見 ....
風は凪いで
静かな涼やかなこの夕暮れ時
わたしはここに寛いで
至福の一時と一体化する
あゝわたしはここにいる、
あゝわたしは生きている、
長らくの物語を引きずりながら
規則正しい呼吸 ....
それは遠くで待っている
遠くで手を振り待っている
おれは此処を離れない
それは遠くで待ってるから
おれは此処を離れない
プロセスを生きてプロセスを生きて
それは此処で歓喜を爆発 ....
どんな言葉も無力な淵で
わたしはなにをすればいいのだろう?
魂の忍耐、それだけが試されるその場所で。
*この詩は、すぐ前にアップした『風見鶏の歌』と一セットです。
のんびり呑気な春の午後、
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた
虚しい色の風見鶏
誰かそれを呼んだのか
昨夜は本当に惨かった
疼痛宿痾の眼底痛
狂う、も自 ....
逃れ去っていく
逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
失われた薔薇の花と団欒
終わった関係と更地
虚脱の時を刻む秒針
静まっていく
....
宇宙に咲く花のように
秘かに青白い、
紫陽花の花房濡れる頃
神の手が伸びて来る
雨降る季節を進めるために
無限を響かせ、無限が響き
鮮やかな紫陽花の、微かな揺れに
一つの憧憬、ど ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する
胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる
振動する大地 、脈打つ心臓
終わることのない命
終 ....
在ることの
謎に触れたとき
Waterと
手のひらに
書いてみる
初めて地球を生きた日のように
その鮮烈な霊気に貫かれ
Waterを
感じて、
独り大地を
舞い踊る
....
遠去かっていく
生きて在ることの不安が恐怖が
宇宙の気流に洗い流され
つかの間
姿を消す
わたしの背中のなかへ
わたしの脳髄のなかへ
わたしの心臓のなかへ
そうしてわたしは再び ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
体が冷えると
空も冷たい
この夏日に不安が渦巻く
対象を欠いて、原因を欠いて
緑風を浴び
正気を保つ
鳩はつがいで餌を啄み
草地は青い、青白い
背筋に悪寒が走り
....
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