うらぶれた仕事がえり
なんだか日も長く夜7時
微笑んでくれたのは
群青の空と
人工の光だった
否、色に名前をつけ
空をその名で形容したしゅんかん
空は人工そのものだったのだ
家路とはなんであろう
物 ....
だしぬいて
宇宙が空にせり出していた
影絵とは宇宙のこと
シンプルな微熱が続いてゆく
いつの日か宇宙の一隅で
孤独な嘘を吐き出している
だしぬいて
宇宙が空にせり出していた
愛しいとは悲しみの轍のよ ....
出張さきで夕方マクドナルド
夜は飲むなのにマクドナルド
巣づくりだけの夢を後にして
きみの白い蛇肌を調べている
人生の影絵が宇宙のようにも思えて
フィルムをまわす音しかしないのだ
宇宙いがいの光をい ....
背筋だけ 伸びきった
お兄さんに ローズマリー
髪の毛だけ フェアリーな
お姉さんに マグノリア
私を捜して
私を探して
すみれの花びらの中に
林檎の根の下に
私を ....
微かに発泡する空気の後味と
聞き覚えのない鳥のさえずりが
夢の波打際を漂う意識の
頼りない輪郭をなぞっていった
縺れ合った昨日までの経緯が
きれいに解けたような錯覚を
心地良く引き ....
よるにふあんがとかされている
椅子のかげ カーテンのうら 天井のすみ 流し台のした クロークの扉 絨毯の毛のなか
ふあんが少しずつ まんべんなく とかされている
しめった寝息 ざらついた黒 空っぽの皿 ....
ぼんやりと浮腫んだ月が
夜空の底から覗いていた
見透かしたような月光が
書きかけの溜息を嘲っていた
出かけたっきり帰ってこない
セツナサを待ちあぐねていたら
黙りこくったキーボードを
飼い猫が悠々 ....
生きていく事がひどく
滑稽に思えてきたのです
紡いでいく朝
邪な思いを甘やかす小部屋
この道の先にあるものは
高が知れているだろうに
私は今日も滑稽な光に
身を委ねる
怒声が聞こえない
クラ ....
この道を通るとぼくはいっぽんのペニスになるようだった
あなたにペニスを入れてゆくとき陥る懐かしさ
ひんやりとうるさいこの道を
肉の温もりと快楽のため息にたとえるとは
ぼくはいったいどういう淋し ....
クサマヤヨイの絵が好きだ
とくにカボチャのが好きだ
死班のようにも
病んだ精神の血痕のようにも
見える
クサマヤヨイの水玉が
クサマヤヨイのドットが
カボチャのかたちをして居心地よく座っ ....
ひとには必ず一羽の鳩がいる
人口と鳩の数はおんなじだそうだ
第二次世界大戦のころは鳩の数も激減した
ぼくもなんどかじぶんの鳩を見たことがある
もちろんこれは、たぶん、の話だ
....
その道はたぶんちがうと思うんだけど
おまえのことは諦めているから
いや、諦めてるんじゃなくて諦めてないから
ときどきつまらなそうな顔をしているけれど
おれは祈って送りだしてやるよ
おれも誰か ....
買い忘れたブロッコリーと
目覚まし時計の乾電池と
読みもしないベストセラー本と
成猫用のカリカリと
寂れた商店街の福引券と
安物のロゼのワインと
醤油ジミのとれたワイシャツと
即席麺の5個パックと
....
他人の顔の
僕を真似して
語り合うのは
いつものことだ
明日に転がる
数字次第で
どこに進むか
任せてみるさ
空に両手を
広げてみても
雲にこぼれた
夕日みたいだ
ありきたりだと
思えた1日も
実は違ったんだ
そこに気づいた時に
次の日が待ち遠しく
なったのです
愛してると言っても
形にはならない
ただ愛しい時間は降り積もって
吸い殻のように名残を残す
ちいさな風に
吹き飛んでしまうとしても
この光に
届くためにこの光になろう
この光に届くには
この光になればいい
この光になるには
じぶん本位ではだめだ
この光本位でなければだめだ
この光ならどうするのか
この光と対話しなが ....
どういう夜のふきまわしだったんだろう
その外灯は宇宙からきて
まえから待っていたように
ほんとうに駄目なオレ様に
微笑んでくれていたんだ
いったいどういう夜のふきまわしだったんだろう
どんなそらでも
もう
怖くない
ひとりじゃないことに
気づけたから
だから
ゆっくりと
すべりおちる
一瞬に永遠をしのばせて
一滴の水分に
ふくまれたはずの生命をおもって
一杯のつめたい水をくれ
ぼくに
一杯の水をくれ
氷の粒で描かれた
白い真一文字は
いつかの憧れに
まっすぐ向けられた
誰かの眼差しに似ていた
すぐに解れてしまう
白い真一文字は
いつかの過ちに
未練たらしく絡みついた
誰かの言い訳に似ていた
....
おそれる キミ の手をひいて
すすむ 夕闇のそばに
虚ろな記憶と
快感に似た
くろい 何か
きこえてくる
歌声
彼方より
誘うよに
愛しむよに 魅了す ....
あたしは ひとり
故郷には ふつりあいな
未来都市にいた
もう 10年
この未来都市は
発展を止めない
ホテルに泊まるのは
初めて
ラウンジからは
晴れた日には 富士が見える
同時に
派手なイ ....
十年まえ
ぼくらは帰り道ひとりごとを抱えていた
いまケイタイにひとりごとを奪われている
ひとりごとが減るとどうなるのだろうか
その答えはよく分からない
ゆとり教育の結果を
当時はだれも分かっちゃいな ....
藤の花ぶさが
紫の光を垂らしている
ささない蜂が
黒い尻を浮かせている
遠目に見ていた
奇跡のような幸福に
実は包まれていることを知ったのは
こんな日のことだ
藤の花ぶさが
紫の ....
白い天井を見つめている
黄金週間の夕暮れどき
一日のさいごの光を見つめている
壁にはパンプキンの絵画
胸にかぶさる世の戯れごと
天井のもう少しさきを見つめよう
少し向こうには
希望のふり ....
回線は切らずに
口を閉じた
私信は返さずに
目を瞑った
耳にはイヤホンを
捻じ込んであるから
君の声は椎名林檎だ
鼻は塞ぎようがないから
自分の愛しい臭いを
嗅ぎ過ぎて吐いた
誤解を解こうと ....
新緑はどうしようもなくさやかに
その繁を濃くしてゆく
往来の音が木々を揺らす風のようだ
どんな死に方になるだろう
どんな生き方を不動とするだろう
唇をよこに引っ張って上げてみる
往来の景色 ....
出口は
何処だ
痛いほど清潔で
正確すぎる石段の先に
出口はない
光合成を忘れかけた
従順な街路樹の陰に
出口はない
濾過された光を孕んだ
まがい物のガレリアの果てに
出口はない
小綺麗なラ ....
手を洗って でかけよう
東小金井にある森さんの家に
靴をぬいで家にあがったら
マリファナ茶をのんで
空色のハンカチを洗たくする
でもその日は結局
ぼくは一人で部屋にいた
....
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