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ふたりでひとつの贈り物をもらって帰る帰りみち
手のひらに乗る
きちんとつめたく切り立ったセラミックの三角柱をみて
(くさびですね)
(くさびですね)、
口にした言葉は同じだっ ....
街を飛び出して
草原に連れて行って欲しい
排気ガスのない場所だから
どのみち眠れない
夢を見ろという
夢なんて持ってない奴らが
手本は今朝のミルクに溶けた
それは帰さなければ ....
雨編む朝は天邪鬼
いま忌む意味を遺書にして
嘘に倦んでは海に埋め
えにし選べず益を得ず
恩は怨へと惜しみなく
春は華やか白知の波乱
昼の日中に日照りの蛭か
古き深井戸腐の吹き溜ま ....
母子手帳で突く
またややこしい客が来た
生まれた時から軋みを聴いている
トンネルばかり走る列車の足音だ
時々思いがけない景色が見えて
映した窓を切り出しては
懐かしい無人の駅に送る
随分と乗り換えないでここまで ....
そらがきちんと黒くなるのを待ち
肌をみがいて 髪をととのえ
それからすかすかの入れものを二十一個ならべる
そしていつもの手順できれいに切り分けた黒を
(それは上等の羊羹みたいにしっかりと重 ....
晴れた日
鎖骨に落ちる影の正しさよ
いかようにも描かれる放物線をめぐって
大人たちは議論するけれども
ボンネットにかくれて性交する少年少女
瞬間を味わっておいで
うま ....
なにもしなかった一日の締め括りを
ピーナッツサンドに熱い珈琲で終わらせてしまうだけ。
配送される
朝はもうそこまできているのに
言葉たちは僕の眠りを妨げる。
裏切りもしない反面
厚く盛 ....
▽
につめられてたのがさっきまで
ちゃんとパックされておいてたのに
チューブの構造とりきんだこぶしの関係性で
もうどうにもとまらないみたい
泣くのはからだにいいんだよってちょっとなげやりな医 ....
春の日
下り坂で
防波堤を拾った
アメリカと
日本の反対側に
それを置いておいたら
それだけで戦争になってしまった
悔やんだぼくは
左手首に▼の
入れ墨をいれたかったが断 ....
薔薇の蕾をなぞる指先で
あなたは
わたしの静脈の中の
青い花びらを
一枚一枚
ていねいに燃やす
薄く伸ばされた
午後のページをめくる
白い重なりは
丸みを帯びた雨の切っ先 ....
前略 くりちゃん
相変わらず人々が、散っていく桜のことばかり
気に留めて、嘆いたりしている春でしたね。
あなたが濡れてカワイソウだとドライヤーを
あてた綿毛は小さなタ ....
しののめ
泣きやんだ雨と別れて
焦げ目のついたトーストの耳を
甘噛みする
(余韻だけの部屋)
逆さまに沈む 朝の底辺に
ひっそり と
しがみついている
(ちいさく おどる ひか ....
春の三時は直角 直角チョコレート 食べると飛ぶ猫 まる三角は頂点 ちょっと折れたチョコレート食べると青い 冷蔵庫 草原のかたまり 驚いた 三時は直角 踊った三角は頂点ちょっと滑る 男の子 草原は ....
吐き出した言葉が
気泡になって
無人のブランコを揺らす
目を瞑ると
魚たちが
瞼を触りにやってくる
部品を捨てながら
自転車は走る
ただ一つの
点になるために ....
縦や斜めや裏返しにわたしの体がぎっこんばったんやられているあのときに決意しました。わたしはたぶんわたしではなかったです。黄色いのや赤いのは好いです、青いのも緑のも好いです、白と黒も好いです。ただし ....
薫風に
似つかわしい歌を思いつけなくて
だんまりのまま歩いている
視界が明るくなっていくのに
人影は色濃さを増す早朝を
のどかな光景が
電車の窓を塗りつぶす
その平穏な生活は ....
花が一気に咲いて
それが一気に枯れるのはもう嫌だね
真夜中に鳴く鶏がいてもいいじゃない
朝!?と暗闇に目覚めてもいいじゃないか
いつか自分でもわからずにセットした目覚まし時計が
....
ドングリをひとつ見つけて
友達のポケットにいれた
そいつがあるとき
ポケットからドングリを見つけて
不思議がるだろうから
人のいない午後の住宅街って
人それぞれって微笑んでおい ....
こういうの書いてなかったら
おれはたぶんヒトゴロシになってたさ
気に入らねえやつらみんな
徹底的にヤッちまうヒトゴロシになってたさ
おまえがおれと目を合わせれば
....
頭痛の種を咲かせるんじゃない
信号機と足場を失った人の念のこもった言葉が
裏口近くの腐葉土に
どんよりと吸い込まれていく
禍々しい太陽を天に見届ける
目にいれるものは選べる
動けば ....
肺の中は毒が回り、血液はもっと忙しそうに体内を回る。
口の中の黄色い泥は、ペットボトルの水に流されて何処かへ消えていく。
ついこないだまで浅黒く煤けていたウッドデッキは、
いつ間にかとこ ....
ま白にぬられた
ぬかるみに
私、
私は私を横たえる
差込む光も影も無い
360度ちょうどに
脈拍をならべ
赤はいつまでも
赤だった
たとえ色褪せても
嘘でも本当でも ....
またそういうこと言うもんだから
誰かがいろんな勘違いを始める
もともと夜行性なもんだから
朝が待ち遠しいのを知っている
端が凍った水たまり
ガスマスク着用が義務付けられた極彩色の ....
枯れ急ぐ葉が、視界を埋める
踏みにじる赤い葉
流れないイヤホンを外さない
電柱を揺らす、紫の鳥
街から秋が消えた
降ってきた白い朝
黒ずんだ部屋の窓
....
ソファのない部屋にいる
立体をこじ開けて時間を差し込んだ戦車が通る
石蹴りに夢中で影を置いてきてしまった
からんころんと遮断機の警報が鳴って
舌の長い子供たちが低いビルに手 ....
今日は素晴らしき日曜だ
嵐に弄られる街路樹と
無意味に転がる棒切れが
呼吸のように入れ替わる
ペテンのような日曜だ
あなたの瞳の奈落に潜む
鬼火のような問いかけは
閃くごとに ....
そろそろ悲しくなってきて
隣の世界へ行きたいのに小銭しか持っていなかった
ホームに張り巡らされた電飾からは
コンビニで手に入る情報しかなかったのだが
それだけでなんとなく満ち足りるような気 ....
全国指名手配者が捕まった
自分が衝撃を受けたのは
全国指名手配になっていても
仕事を求めて
雇われていたということ
何も望まなければ
望まれるということか
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