どうだっていいの
あなたの唇のかたちだとか
声のトーンだとか
くしゃみの仕方だとか
どうだっていいって
思わせてよ
静けさが残り
(何故か見上げれば
見下ろしている)
さまよいながら求めるもの
宇宙を識るのとおなじくらい 「
人間を知るのはむずかしい 」
(意味に手をあわせ
ただ) ....
びいどろの中に
浮かぶ泡
気泡があるのは
不良品なのか
値下げの札がつけてあった
かなしい音が
とこしえに
びいどろに
刻まれた
唐草文様
ふるさとの野辺に咲く
名も ....
僕は病んでる自分を疎ましく思ったり
でもいとおしくもある
診察券にはだいぶ慣れてきたし
人間て病んでて当たり前なのかも知れない
検査着に着替えて腹部CTをとる
さ ....
心のどこかで
私には君がいるって
思ってたんだね
あの人を想いながらも
どこかで
君に甘えて
君にすがって
そのうち
また
やっぱりお前が好きだ
って
言 ....
海が
めくれてゆく
いくつもの
いくつもの
海が
めくれて
岸壁から
追い縋って
宙を泳ぐ指先に
紫貝のように
閉じる音楽
(母は海に還ったのだ
街が
たわ ....
詩を口の中で転がしながら
飲まないように過ごす
紙もない
携帯もないとき
忘れないように
いいフレーズが浮かんでる
なんてね
書き出してみると
なんてことない
掻き出してみると
ど ....
小柄な人なら入ってしまうような
大きなコインロッカーを
開ける時
必ず怖くなる
屍体を隠しておくには
ちょうどいいと
どこからか
声が聞こえて
息をとめて
扉を開く
{引用 ....
君に微笑まない女の子
君はどんどん離れていってしまう
もう腕もなくなったし
足もなくなってしまった
身体の中にはホースが一本
いつもうるさい機械
ああ どんどん離れていってしまう
君はど ....
梅
梅の花
冬を割って一番乗り
梅
梅干し
丹精こめて辛口ひそめ
梅
梅酒
あなたを酔わせる
梅の古木
かたくてしなやか
梅の赤は決意の色のよう
梅が咲くころ
....
すきをひとさじほおばると
苦味が走るのはなぜ
甘い香りがするのに
君の言葉がいつか
カラダじゅうにまわって
まるで毒のように私を
狂わせてゆく
いけないと知ってて
道を間違えて ....
さよならと
手をふる時は
指と指の間を
すこし開けて
すきまを作る
かなしみが
そこから
上手に
逃げていくように
美しい水を
手にためる時は
指と指の間を
ぴたりと閉 ....
新聞を旅して
自分に出会う
出られない領域は
私の住まい
悲しみ
前向き
ドラマはあって
私の今をまた照らす
たむろする自意識に飲まれ自暴自棄自爆寸前
シラナイシラナイアンタナンテシラナイ
シラナイシラナイアンタナンテシラナイ
ついついトリガー弾いちゃって
腐乱する死体にさっそく虫が湧 ....
毒のない棘
蜜のない花
種のない実
は
罪ですか
咎のない嘘
咎がない故
咎でない
のは
悪なのか
情状酌量
情状酌量
情を量るにゃ
何が要る
....
両の窓から見えるものはみな不確かで
ぼんやりと光に融け出しているようだ
心は焦げ付いた鍋のように
そのまま冷たく放置されていた
杖をついて
時が行き来する
昭和 ....
すこしの雪に戸惑うほど
世界が不安にまみれていた
春の切実
3月なのに春が見あたらない
夏のばくだん
夏がしずかだ
メロンに煙草がばくだんだった
秋の煙だ ....
ママの手は
てんごくのにおいがすると
五つの子が
うっとりとして
わたしの手を離さない
てんごくも
じごくも
絵本のなかに
出てきたね
てんごくに
匂いがあるなんて
知ら ....
磨り硝子を差して40Wの淡い灯りが漏れてくる
丸テーブルの端、薄く影を二分する未熟さ
それは、艶光りを放つ滑らかな感触
(一瞬)柿だと思った
柿ではなかった
この時期 ....
色とりどりの砂嵐
水に潜ったまま
わらう男に脳味噌を掴まれる……。
桜の木は
こっそりとばんざいをしている
みなが不安がる空いっぱいに
枝を伸ばして
切り裂いて くうを
咲いてやる
桜はきっと
その命を燃やすのだろう
私はまたすきになる
桜の花を ....
小学生の弟が
怒って泣きながら帰ってきた
友達と喧嘩して
自分のものを壊されたらしい
そんなことで…
って呆れた顔で彼を見ていたけど
そういえば
私は最近
泣くほど ....
魔法が解ける言葉 ソツギョウ #poem24
惚れた女の夢占いは「アンタ卒業したら死ぬ」 #poem24
校長の悪趣味な桜の木を切った #poem24
おっぱいを卒 ....
逆境のとき
いつも傍にいて
慰めてくれるのが
猫だ
名前すら付けて貰えない
猫だ
おい 猫よ
おまえは
すぐ忘れ去られるのに ....
家を出る時に
ちらほらと
降り出した雪が
そう時間をおかないうちに
吹雪いてきた
三月もなかばだというのに
フロントガラスに
積もってゆく雪を
ワイパーでどける
ラジオか ....
わたしは縄文の舟を漕いでいる
トチノキを刳り貫いた
粗末な舟だ
赤い犬をいっぴき乗せていた
これが最後の猟だと
わたしは思った
子どもたちは
夏の来なかった時代を知らない
もう ....
祈る人はそっと目をつぶる
瞳に映るものは有限であっても
瞼に浮かぶものは無限だ
祈る人は無言である
言葉はいくら重ねても
心のかなしみには追いつかない
祈る人はみじろぎせず ....
地面におちてはじけて消える雨粒は幸せである
夜が明ければ溶けて消える雪だるまは幸せである
では、溶けて消えることができない、このわたしは……?
ああ、はじけて消えることもできない ....
昼には新幹線のなかにいた
各駅停車の新幹線だった
固くて煙草くさい客室だった
掲示板に流れるニュースを見つめていた
一夜明けても
首相から被災地へのメッセージはなかった
....
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
理不尽なほど大きな音がする
暗い
地上
力の
行進
高い
運命
とぼとぼ歩く人間の足もとに
耳をつける
....
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