四月 灰色の午後
湿った雪が舞っている
人生で何度目のことだろう
心は鉛の錨となり
失望の海に深く下ろされてい ....
仲間たちの家族の声がこだました
このこだまを体を張って守ろう
強い集中と前進する覚悟だけだった
なにかに重ねるように想うことで
なにかに包まれているような感覚があった
....
私たちが
毎日利用していたO駅は
すっかり様変わりし
駅ビルが隣接
広々と立派になっていた
女子高時代の友らと
改札口で待ち合わせる
あの頃
ここには
伝言板があって
「00ち ....
頬の中に
餌つめるだけつめて
ハムスターのほっぺ
でこぼこのほっぺ
あとであじわう
さみしくなったら
君の言葉をおもいだして
まえむきだけが
ゆるされるから
心だけこっそり
....
彼は弟子とグランドツアーに出掛けた
行く先々で詩を調え
彼の自我はそのあいだ
宇宙の奥へと追いやられた
詩を調えるたび
彼の自我は宇宙の奥へと旅をしていたのである
....
桜が降ってくる
雪が降ってくるように
その時
人は
空を見上げずには
いられない
人は
命の終わりに
気づかないふりなど
出来はしないから
空から降ってくる
ひらひらと
....
男を見る目がないね、と、天使たちが囁く
本当にね、と、私が笑う
季節外れの風花
切り取ったような空は白く濁って
青い空を覆い隠す
天使たちがざわめく
嘲笑の中に温もりを ....
南へ向かう鳥達が
薄色の空に溶けて行った
きみは衣装棚から
厚い上着を出してきて
胸元に飾った小さな憧れを
そっと隠した
子犬が地層の匂いを嗅いでいる
鳥の化石に恋をしたんだ
....
摘まれるのならあなたの指先で摘まれたいとささやく、
生まれたばかりの黄緑色の新芽は、ニンフの羽のよう
にやわらかいけれど、たちまち老化する残酷な御伽話
を内包して ....
屋根瓦は濡れ色で
雉の音と喧嘩する
遠く電光に溶ける頃
時折冷ややかに鐘の音が重なる
もうまもなく 沈んでしまうわ
月まで誘う鉄橋をご覧なさい
ほらごらんなさいよ
叙景 蠢き ....
目に見える光を求めて、
街を彷徨って居たら、
何時の間にか此処に来てしまったんだ。
左目隠した僕は、
街灯の下、君の影が伸びているのに気が付かなかった。
人形抱いた君の冷たい目が、
何か言 ....
主人公はいつもの脇役に戻り
四月初旬の苦味を噛締める
午前九時 窓の外 雨音はバスドラム
僕は憂鬱を声にしてただ吹き飛ばす
色彩などとうの昔に失ったという
無色透明の夢を ....
力のない言葉が、
交差点をそそくさと横切っている
赤茶けた右眼だけで
あたしがいるのにと囁いている
通りがかりの猫に惚れ、
町の禍々しさに背を丸めてしまう
さ ....
期待してしまうから
疑うのか
それとも明日の訪れを信じられなくて
疑ってしまうのか
その何れでもあるんだろうけど
※
今年の冬はことのほか寒かったはずなのに
疑い知ら ....
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いつの間にか
遠くまで来てしまったと
振り返ってみたら
――そこは知らない街だった
懐かしい駄菓子屋さんがあった
買ったばかりのお ....
あなたの細いその指が
鍵盤に触れる時
弾きだされる旋律
わたしの躯を包む
この胸に愛が充ちてきたら
心の琴線が震えだす
ねぇ愛してるといって……
こんなに想っていても
掴め ....
ちらほらと
街に桃色が見え始めましたね
毎日のように
話をしてはいるけれど
もうずいぶんと長い間
あなたの腕にくっついていない気がします
話をするたび
元気だと聞いても
....
突風が春の入城を告げ知らせ
冬の残党は最果ての地へと追われて行く
変わることなく季節の車輪は廻る
時のレールを 一方向に
樹木もまだ裸のころ
花よりも先に咲く少女たちは明るい色の服を纏い ....
そのことばかり考えていた
雨に煙るよ
曇り日の
午前のひかり
ありふれた春の嵐
土曜日の東京
買い物に出掛ける
帰宅してから
ひとりで
生きてゆく ....
期待に応えようとして
どんな事でもプロセスの合間の笑いに生きた
(ナルシスと詩作についてのテクニック。)
少しだけ無理をして
(真面目過ぎると言われたり。)
純粋な気持ちで心から ....
Q.いま歩いているこの道は目的地まで続くのか
A.部分的にイエス(真逆に歩いてます)
Q.タクシーは使えますか?
A.部分的にノー(あなたは歩きたがっている)
Q.この女性はあ ....
烏龍茶の泡が残っているグラスの中で
蛍光灯から降ってきた羽虫が一匹
玉乗りを披露する
懐中電灯のスポットライトを当ててやると
灯りめがけて飛んでいってサーカスは
終わってしまった
ノミ ....
瞳が映すのは 姿
瞳に見えるは 心
手に伝わるのは 温もり
手で伝えるのは 確かさ
過ぎてゆくのは 時間
立ち止まるのは 瞬間
すべてが2人だから
すべてが2人ゆえに
咲き誇れない午前4時の顔
朝
昼
晩
と俯くだけの日々
天井を仰ぐだけの日々
視線をそらす日々
寝起きで浮腫む午後4時の顔
沈む太陽
輝く星
誰もが眠るのを
息を殺して待つ日 ....
ふるさと
ボロい屋敷に住んでいた
トイレは暗くきしんでいた
兄弟は男ばかりで遊んでくれず
ふくれっ面の幼年期
母さん亡くなり
通夜をした
皆で囲って語り合う
....
愚昧な仲間意識とその利害関係からの脱出
車窓から薫る柔らかい春風の予知夢
自閉的な時間こそが平和だ
(雑踏の片隅で忘却した世界観。)
テレパシーでは嘘はつけないよ
愛は全てを解決 ....
近道しようと
裏道に入って迷い
結局遠回り
落とした鉛筆を
足で拾おうとしたら
余計遠くに転がって
結局二度手間
近道とは
特別な道ではなく
基本の道を真っ直 ....
{画像=120330035310.jpg}
夢が骨折する街で
そこは夢が白く枯れて行く場所
夢は乾燥して白くなっていく
夢はポキポキ鳴りながら乾燥して行く
夢は乾燥す ....
母親はいつも日曜日の朝には目玉焼きを焼いてくれた
コールスローの刻みキャベツに
マヨネーズと正油が混じった
しあわせなあさげ
主食はだいたいヤマザキのダブルソフトだった
お気に入 ....
巡り来る日々と
ぼくらの幼い憧れとの隙間から
木洩れ日のように降り注ぐ光
聴こえて来るだろう?
光の後ろ側の国から
あの/弾む息が
リズミカルなステップが/
国境線で
少女 ....
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