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夜明け前の街に出ようと
ドアを開けると
遠くでクラクションが
冷え切った空気をカサカサにします
なにかに溶けていく夢を
見終わる前に目覚めたようです
夜明け前の街に出ようと思ったのは
こ ....
110108
乗っていったオート三輪車は実在していた
探しに行くなら今だ
悟りの足りない賢者が叫ぶ!
ひらひらと雪が舞い散る前に
腹ごしらえ ....
もろみの香りが狭い台所をかい潜ってきて私を酔わせる。悩ましい容姿に、私は見とれてしまって動けないでいる。老いた思考の欠片を、もろみの香りの柔らかな手で探られると、昔の元気な男になって、もう少し頑張 ....
吹きすさぶ風に
みがかれて
凍てつく水に
すすがれて
透き通ってしまった
哀しみは真冬の
背骨に宿った
遠ざかる空に
みはなされて
優しすぎる光は
とどかなくて
行先すら ....
うすい羽のはえた夜行バスにのって
月あかりにかがやくいくつもの雲をこえて
あいした理由も
あいされた理由も
すべてあなただったから
いつもの街角、いつものバス停
やわらかな猫の手に夜の ....
夜にさまようノマド
夢に似た旅路
くらやみの中へ
伸びていく根毛
黒髪の思い出は
満月の丸み
汲み上げられて
つきあげるよろこび
歌うことばすべてに
ひとしく炎、やどれ
こ ....
「実数」最大公約数でも最小公倍数でも共通
項は言葉ひとつ。そして、僕らは無
限大の幻想に迷い込み、実態の無い
虚の世界で戯れる。愛を確かめ合お
うと指折り数えた ....
破線をだまして
進んでいく
なおもそれを記して
立ち止まりながら
何度も歩き直してきた歴史を反芻する
そうやって忘れてきたのだ
そうやって自らの
泥を隅に追いやっては
何もなかったよう ....
{引用=
あなたはそこに座り込んでいる
水のような
やわらかくどろっとしたものの真下に
あなたの頭の上では
戦闘機が飛行し
小さな爆弾を
投下していく
あなたの歌う歌が
万人の心 ....
とにかく
兎に角
せっかく真っ新なのに
相変わらず後ろ向きだけど
お粗末な背面跳びで
何かを飛び越えていこう
とにかく
兎に角
せっかく明けたのに
相変わらず手探りだけど
....
{引用=ひとりでは淋しすぎていられない
震えて眠る私はうさぎ}
抱いて欲しいって言えたらいいのに
もわもわの毛皮をまとっていても
寒くて寒くて震えてる
{引用=耳を立て周りの音を ....
ひきだしのおくから
あなごりょうりのみせの
チラシをみつけた
いつかちちを
つれていきたくてとっていた
チラシだった
あなごが
すきかきらいかなんて
かまわなかった ....
地中深くに根差した
大きな球根のような欲望と
その真上の中空に漂う
ふわふわふわふわした
空中クラゲのような希望
地上に生えた剥き出しの古木の幹に
粘菌のようにへばり付いた渇望が
すべて ....
写真とは
干乾びた
製造工場の正門の
錆びたポストに居つく手紙の重さで
天を劈く煙突の
かたちを得たけむりが笑っているようなもの
めくれば
白い鍵穴もかすむ季節に
「どこにもいけない」 ....
花々もなく、人生を折り曲げるほどの歓喜の思い出もなく、ただ学生として生きることが自然な網でもって捕えていく雑草のような物資だけのある部屋から、私は引っ越そうとしていた。引っ越すことの目的や理由、理想 ....
二十数年ぶりに見た
人の骨は
白く
しっかりとしていた
ついさっきまで
人として
形をなしていたものが
手術台の半分くらいの
てらてらした
金属板の上にある
寿命 ....
草食系だと
もてはやされたり
馬鹿にされたり
その度に
膨らんで青空を目指したり
萎んで地面に貼りついたり
そんな僕は
サヨナラも言わずに
強制終了された恋を
いつまでも ....
110103
プレート損失40ワットでは
寿命1850時間
うーむと唸りながら
真空管アンプに
電源を入れる
微かなノイズのあ ....
泣きやんだ空のゆううつ
雲のまにまに
トタン葺きの屋根屋根からとびたった
まっしろい小鳥たちのまっくろい足、足、
鎮守の丘をみあげては
向こうがわを夢見る
臥せりがちの少年の
履きつ ....
年が改め 日常の
また、人との関わりで
いやでも心を開いてゆく
で
改めて心を開き
また心に思うところを語り、
心に暖かな気持ちを抱き
また今年も生きて行く
で
何度でも心を ....
キミは書き 続ける
日記のように
独白するように
日々のキモチを
日々の痛みを
悦びを
切なさを
あたしも
書き 続ける
この命
果てるまで
続ける
続ける ....
吹き荒ぶ呼吸と
高鳴る鼓動を
つなぐ
乱れ打つ靴音と
待ち焦がれる指先を
つなぐ
縋りつく汗と
呼び寄せる声を
つなぐ
欠け落ちそうな意識と
託された背中を
つな ....
{引用=
先が尖っているので
さらに研ぎ澄ませて
接続しろ
差込口は
広げておけ
僕たちは
友達だ
だから
君の肌が冷たくないように
心まで閉じてしまわぬように
先は
氷に浸し ....
やせることにしました
夜も昼も
私の体は、重たい気がします
持っているものも これから
持とうとするものも 少しばかり多すぎるから
知らぬ間に
体にたまった/たまる澱は、いつまでも ....
コンテンポラリーダンスの舞台で描かれた
ゴーギャンの半生
鮮やかな身体表現で再現された彼の代表作
われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか
鬼気迫るダンス ....
太陽が沈みゆく頃
丘の上を列車が走るよ
車窓は連なる光の隊列
キラキラと一筋に流れ
まるで夕暮れジッパー
閉じ合わせてゆくのは
夕照りの橙と大地の黒
きっとあの車掌さんは
....
耳をながあく描くだけで
なんでもうさぎになってしまう
うさぎは月のシンボルだ
まあるく明るいまん月は
まえあしみじかく描くだけで
なんでもうさぎになってしまう
....
先の見えないトンネルを抜けると
そこは渓谷に面した崖で
数十段の階段が川辺まで
雨で光り流れ危険な美しさを見せていた。
階段の先には
溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがんWelded tuff ....
開けた窓から
今朝も差し込む
眩い輝き
静かなささやきに
手を伸せば
置きっ放しの夢の種
芽がちょっぴり顔を出し
出合い頭で鼻をつつかれる
通りすがりの薫りが ....
友達とビールを飲む
突然そこにいるのがいやになる
話していて楽しかったけれど
話題がぼくからそれると
組になって話す人達のなかで
ぼくだけ話し相手がなくなり
夜空に
七分咲きの花の群の
....
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