すべてのおすすめ
「ばかものよ!」
なんて言い切れるなら良いのだけどね
「もしかして」
そんな枕ことばで思いの丈をごまかしたり
まるで何事も無かったかのように
飼いはじめたばかりの小鳥の世話を焼い ....
「へそ」
夕立とともに雷が落ちる音がして
少年ははっと目覚める
もしかしてへそが盗られていないか
あわててシャツをめくり
お腹にちいさな穴が残っているのを
確認して
ほっとしながら ....
{引用=
体積土から
掘り出した
熱を持たない小鳥
かつて生えていた羽
骨のような形
突き出して愛し
摩擦して
励まし
静かな森にだけいた
生きにくい獣
水晶で出来た舟の材質 ....
そのまま東へ進めば
青春時代を過ごした街まで
たどり着くのだろうけど
特急が進行方向を変えたら
あの北の雲の先に
私の帰る場所がある
中途半端に古ぼけた駅舎の
売店はもう閉まっている ....
辺境を目指して隊商は
何も遮蔽物の無い太陽の炎の先を歩く
必要以上に熱い砂の上を
ただひたすら駱駝とともに
テクテクのテクテクのてくてく
歩いて歩いて歩いて歩いた
目的地はバスラ
ロ ....
泣きじゃくりながら
坂道を登っていた
気がつくと
そこは
深い森
森の中だった
緑 緑 緑の渦
苔むした木々
鳥の声
時折さす
きらめく太陽の光・・・
声 ....
この世のうわずみを
あらかた舐めてしまった
僕は
もう
面白がらなければ
何も面白くないし
欲しがらなければ
何も欲しくない
この世のうわずみは
どれも同じような ....
セブンイレブンに買い物に出る
夜の旧国道はひっそりとして
思い出したように車が行き交うだけ
秋の虫がてんでに声を競う
聞こえてくるのはそればかり
淡い闇を纏う街を見ていると
何だか現実 ....
女を抱きたい気分でもなく
ただ、見ていたい
風がセピア色
入道雲の思い出
「バニラスカイ」を見て
あなたはどう思った?
彼女の言葉を思い出す
力を失った男が
荒野をさすらう時
相棒は ....
家にはじめてテレビジョンがはいったのは
ぼくが八歳のときだ
十二月の寒い午後
第九交響曲を唄う白いブラウスの女性たちが
画面に映る
カメラは三人くらいずつを順番に写していく
近くにだれ ....
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ
すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
ろうそくの明かりに
手をかざしながら
彼女の詩を聞いていた
途方もなく遠くへ
来てしまったけれど
あの時あの熱の中で
自分の手は自由に生きていた
熱を求めては
焼かれて弾かれる
炎は ....
100927
いやらしいことを言ってはいけません
するなんてもってのほかです
くだらないことが大好きなB介くん
自分のことを言っているのだ ....
{引用=
月が星を
睨んでいるうちはよかった
警告は三声で描かれ
そのために海が割れた
稚拙な頭が
季節から流れ込む空気を食らう
お椀の中に肉声を閉じこめ
黒人霊歌のようにして ....
沼田城址公園の猫
その猫はチャトラ
顔は大きいが痩せていて
バランスが無い。
愛想が頗る良いが、下品ではない。
飼い猫にしては痩せている。
野良であろうか がっついてる。
のっそ ....
突然
ばっさりと
胸から斜めにやられた
ぱっくりと開いた
傷口
血は出ていない
だか
奥の奥が
深々痛い
痛い 痛い 痛い
痛む 痛む 胸
このまま
雷雲にさら ....
光りをなくした
名もない星たちが
うつむいては 化石のように
眠っている
ちゃんと笑ってあげたら
隙間に触れることだって できたのに
平穏という残酷な家の灯りに
夜の積み木を ....
俺は始発駅の長いホームに立って、列車を待
っていた。それがその日の最終で、もう後は
ないのだった。それを逃がすと、もう帰れな
くなるのだった。始まりの場で最終を待つ。
その不思議にうたれて、俺 ....
「貴女はご自分に酔っていらっしゃるのです」
思いがけない言葉に顔を上げた
彼は静かに私を見つめて煙草に火をつけた
(どういうこと?)
いぶかしげな眼差しの私に彼 ....
京成金町の駅看板
その間のアーケード
寂れた一角に
金モールの看板
ケバイ電飾に縁取られた
ストリップ小屋
ケイトさんの薄汚れた
衣装とすらりと伸びた両足の間に
はげかかったおやじ ....
<スクリュー・ドライバー>
時間のネジを緩めたら
傷ついた過去が星空になる
空間のネジを緩めたら
縺れた風景が花園になる
無色透明のネジ回しで
日常の窓枠を ....
立ち止まるひと
立ち止まらないひと
その違いってなんなんだろうね
わたしなんか立ち止まらないひとだと思ってたのに
こんなとこに5年間も立ち止まってしまっていて
指先器用でギターと ....
秋の空に
突き刺さる
ほそい針金が
風に揺れている
揺れているのは
黄金色の穂
だけではない
帰り道なのだった
その角を曲がれば
たどり着くだろう
その家が
....
僕は今両手を差し出して
広い大きな空を掴もうとしている
それがとても滑稽に見えても
そうしなければ
自分が消えてしまいそうな気がして
僕は今両腕を空に向かって突き上げ
広い大きな空に飛 ....
過ぎてゆく時間に
恨みさえ覚えて
「焦らないで」
君の言葉に耳も貸さずに
駅のプラットホームから
飛び降りるチャンスを伺っていた
こんな夜空が
あったんだ
月の出る
星の夜が
....
君は、手にしたハンマーで
今迄何度も、壊して来た
目の前に架かる幸福への橋を
そこへ詩人がやって来て
橋の消えた、川の濁流を
ぶざまな犬掻きで渡り
向こう岸で、ハンマ ....
耳の奥で聴こえる
パンキッシュなガールズソング
なぜだか
涙が出て
止まらない
十五夜
白い月
草のチクチク
土の匂い
流れていく雲
秋の風
君が僕を見守ってくれてるって ....
波は打ち寄せ
白泡をたてているというのに
水面は
まっ平らだ
波は打ち寄せ
白泡をたてながら
防波堤に砂を積み上げているというのに
水面は
やっぱり
まっ平らだ
浜の向こうで
....
靖国通りを東へ 東へ
ずんずんと 歩く
もう 近くには
新宿御苑
しずかな
新宿のダウンタウン
あたしのあたらしい
隠れ家は
そこにあった
定期的に
家族と離れ
ひと ....
遠いものたちが
ばらばらになって
散らばり
それぞれに互いがわからなくなると
世界はいったん
完成されたような
そぶりを見せる
燃えたあとの灰のように
のこったまま
離れを保って
....
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