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冬に凝縮されていたものが
放散される夏
胡乱な眼で見つめていた
電線で繋がれた道も
砕かれた砂浜の突端で
選択を迫られる

歩いていれば
いつか生から解放される
轍もいつか途絶える
 ....
象が一匹いなくなった。いつも母象に寄り添
っていた子象がいなくなった。祖父の魂を斎
場から河原へと運びに行っているうちに、行
方が知れなくなった。魂の流れに誘われたの
だろうか。母象は何もなか ....
羽虫の妖精が
肩にとまっていた

指で弾いて 
空へ帰そうとしたけど
彼の眼は
地中に埋められた種を
見ていた

生も死も変わらないとしたら どうだろう?

透き通る陽気に
犯 ....
水たまりを跨いだら、一国の王になっていた。

捨て猫の声が聞こえてくる。何故、捨てられた猫であるとわかるかというと、猫の言葉がわかるわけではなく、捨てられた猫の啼き声は、激しく依頼してくるからであ ....
眠れずに
    話し続けて窓から見えた白い月
集合場所は明かされぬ森の中
    獣達は眠らない
獣のような人間も眠らない
    人間もまた獣のように目を光らせる

夜にメスを入れる ....
 青い顔をした老人は路地裏を杖をついて歩いていた。どこからか漏れてきた白い蒸気が路地全体を雨上がりの草叢のように湿らせている。
 白と茶のまだら猫が前を駆け抜けていった。人の気配はない。この辺りにも ....
速められたリズムは
濃紫の草むらへと
向かわせる

込み上げてくるものは
体内の水源

飲み込まれたものは
いつしか蒸発し
すり替わる

虫を殺してしまったら
かたつむりを踵で ....
瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ

飛ぶ鳥がいなくなっても
空 ....
逃げ惑う足首に
絡みつく春の鬱
転ばないように地面を
踏みしめているのに
白い鬱が生えてくる

小さな芽が双葉を広げようと
隣で眠る鬱に声を掛けた

まだ孤独であるうちに
秘密の儀 ....
空っぽエンプティの神様は
融通がきかない
シジフォスのように岩を
頂に押し上げる
朝から雨だと
出かける気がしないのは
小学生の頃から
変わらない

生きていることにテーマはない
 ....
瀬戸内の海辺からは
ぼんやりと霞んで
青い島々が見える
潮が満ちてくる頃には
波に防波堤が
飲まれそうになることもあるが
それでも
外海や日本海の波に比べたら
穏やかなもので
停泊す ....
積年の黒くかびた墓を
新しく建て直すために
取り出された骨壷

つるりとした陶磁の表面は
寒々しく
気を抜くと体温を吸い取られそうで
鳥肌が立つ

生きていた頃よりも
死後の青みが ....
脆く崩れた時間の跡は
黒いばかりの真空の穴で
菜の花の黄色と向日葵の黄色が
溶け始めた根雪を帰路に{ルビ誘=いざな}う

冬の残滓は降り積もり
焼却炉へ
埋立地へ
悪魔の似姿をした双子 ....
春に体は押し返され
弾みで乾いた鱗が
ばさらばさらと足元を埋める
みだりがわしい温度に
誘われるまま

感知信号に止められて
まるで自分が分銅になった気がし
もう死んでしまったのかと思 ....
ヒエラルキーに隠された怪物たちの居所。それらは唐突に王に君臨する。

彼は決して頂点に立ちたかったわけではない。異形なるもの異質なるものは一人ぼっちで頂点に立つしかなかった。キュービックのなかでむ ....
精錬された中指に
溶け落ちるクリーム
最後に残るのは苦しみ

蒸気圧がどんどん落ちて
すり替えが始まる

いつになっても
立っているだけの案山子が
ピエロのように
一粒の涙を舐める ....
ひとつの幽霊となって
ある日の透明をかえりみる
止まない雨に
裂けない雲に
青空の贖罪を聞く

糸を編む蚕の
たゆまない運動の
底の磨り減った靴の
歩いてきた時間を告げる

再会 ....
いっこの点
ぐいるぐいる
切断面
にぃぃつやと
喉仏を動かして
ありったけを
跨ぐ

道と道が交差する
信号機は
滑舌よく
大人たちは
お囃子に合わせて
黒い眼を回しだす
 ....
床にグラスを叩きつけると
飛び散った破片が
キラキラと光っていた
光っていたものは
ガラスだけではなくて
僕の透明な内臓も
砂浜に打ち上げられた
海月のように
日に照らされて
光って ....
虻が一匹
蛍光灯に
絡みつく
飛び回る
明滅する光に
狂乱しているのか
落ち着くことなく
重くなったり
軽くなったり
僕の周りの重力は
気まぐれに変わる

差し伸べられた眠りに ....
チョコレートを頬張って
寝る前の歯磨きをさぼったら
真夜中に
頭がうなり始めた

甘い甘いチョコレートの逆襲だ
虐げられたカカオ豆農奴の
怨念だ

うなる頭を抱えながら
積み重ねた ....
 ふくれる。頭をかきむしる。悪くない。これは悪くない。何をしてもどこまでも許される。母さんはそう言っていた。空腹。水ばかり飲んで、血の通っていない胃袋。越えてしまう。越境。満たしたい。頂点を迎える午前 .... 少年は向かい風に負けず
自転車を漕ぐ
徒労とは思わず
ひたすら前に進む

そんな彼も吐くことを覚えた
空腹に身をよじりながら耐え
むさぼった
それでも痩せほそる身体を
重く感じながら ....
二声鳥が 埋め尽くす
     公園

幻は幻でなく
現実は現実でない あいまいとした 抱擁

 潮曇りのような ぼんやりとした {ルビ核=コア} ― 中心

しえや、あらん
と発し ....
僕は僕を見ている
正気ではいられない
本当に宇宙は振動する紐か?
僕は目の前にある神秘に問う
狂気に触れたくない
触れたくないのに
それはやってくる 近付いてくる
じぃっとこちらを見てい ....
書く
泳ぐ
消す
打つ
飛ぶ
読む
走る
思う
有る
死ぬ
蹴る
射る
居る
着る
似る
干る
見る
強いる
悔いる
起きる
過ぎる
恥じる
落ちる
帯び ....
始まりは
小さなひとりぼっちの細胞だったけど
音も立てずに分裂し
手と手をつなぎ
大きな心の器になった
それを魂というなら
魂はひとつの原点だ
踏み出した一歩は
おぼつかない足取りだっ ....
お日様が
頬を撫でる
午後一時
隣の庭先に咲く
梅の花がほころび
花の裡に蜂がとまる
虫たちのざわめきが
夏に実を結ぶ
黙々と続けられてきた営みに
僕は言葉を失い
ただ注視すること ....
二番目の器の中で
笑っている子供たち
悠久の久しさは 星と星の小径のように
細く 遠い
それでもきっと声は届く
道を横切れば
そこは尖端
けれども進む
未開の道標を踏みしめ

膨ら ....
僕は月だから
太陽がないと輝けない
けれども
どうして世界は回っているのだろう
ならば
蛇行する時計に日射しを与えよう

黙殺するな、今
黙殺すれば、過去
限りなく未来を{ルビ労=ね ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
初夏夕景- within自由詩5*10-6-21
私と子象- within自由詩4*10-6-10
行き先- within自由詩3*10-6-4
蘇生- within自由詩9*10-5-29
知覚する嬰児- within自由詩13*10-5-11
薄暮- within散文(批評 ...3*10-5-6
睡蓮- within自由詩12*10-5-4
仰角- within自由詩17*10-4-30
春のウツ- within自由詩5*10-4-29
空っぽエンプティ- within自由詩5*10-4-27
内海の道- within自由詩15*10-4-16
骨壷- within自由詩7*10-4-14
斜めから射す光- within自由詩2*10-4-13
春の入り口- within自由詩8*10-4-9
怪物- within自由詩5*10-4-7
最後に残るのは苦しみ- within自由詩6*10-4-4
春の雨- within自由詩6*10-3-28
路傍- within自由詩6*10-3-25
染み- within自由詩3*10-3-24
深い夜2- within自由詩4*10-3-23
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殉死- within自由詩7*10-3-21
I_never_dance- within自由詩5*10-3-20
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二番目の夜にスクロール- within自由詩6*10-3-10
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