春の雨
within
ひとつの幽霊となって
ある日の透明をかえりみる
止まない雨に
裂けない雲に
青空の贖罪を聞く
糸を編む蚕の
たゆまない運動の
底の磨り減った靴の
歩いてきた時間を告げる
再会の約束は
甲殻類の水色の器
ぷかぷかと
浮かんでいるだけの
海藻の端くれに
手に入れた通行手形を切らせる
巡り続ける海流が
辿り着く最果てに
藻屑となるために産まれたのか
途切れる呼吸は
出逢いと別れを
繰り返す
自由詩
春の雨
Copyright
within
2010-03-28 23:53:23
縦