斜めから射す光
within
脆く崩れた時間の跡は
黒いばかりの真空の穴で
菜の花の黄色と向日葵の黄色が
溶け始めた根雪を帰路に誘う
冬の残滓は降り積もり
焼却炉へ
埋立地へ
悪魔の似姿をした双子とともに
渦巻く海へと散ってゆく
春に降る雪は沈みゆく日を掬い上げ
河瀬から見える魚たちもまたどこかへ放たれる
加速することに飽いた少年は
立ち止まり、太陽に正対するが
空気が薄い
空気が薄い
と、森に逃げ込み
帰ってこない
明日の太陽は今日の眼の残像で
眼前に広がる夕日は
昨日憑りつかれた夢魔である
薄暗がりの中に現れた女の乳房を
探り当てる夢を見て
ベランダから朝日に飛び込もうと
爪先を浮かす
夏の
暁の斜光は酸素を生み続ける