仰角
within
瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ
飛ぶ鳥がいなくなっても
空は今でも青い
雲がなくなっても空は青い
舗装された畑にもう花は咲かない
公園に集まる人々は
どこか土の匂いを 肌触りを
求めている
何かを変えるつもりはなかったのに
周りに合わせていたら
譜面が変わっていた
重ね合わせた演奏は
微塵のズレもなく、世界は完璧なのに
言葉はいつも不完全だ
抱き合う音に
塞がれていく気孔
緑が生まれる
青い空を目指して
虫を運ぶために
枝を伸ばそうと樹々が鳴き始める