お前は
あんなに話したことを忘れたか
楽しかった日々も忘れたか
用心深い俺は
なかなか人とうまく関われなかった
お前とは
すぐ
打ち解けたのに
お前は自 ....
俺は
弱虫なんかじゃないけれど
涙が出そうなことはあるぜ
こらえることしか出来ない
あなたのことを想い出し
なぜ結ばれなかったのか
悲しく思う
帰りたいけれど ....
風が歩いていきます
夏の薫りを身にまとい
森の上を歩いていきます
風が歩いていきます
雨の匂いをひきつれて
海の上を歩いていきます
時に涙をかわかし
時に私の敵として
時に私の ....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる
新しい言 ....
生きているのがつらい
お前はそう言って
涙を一粒流した
俺だって
生きているのはつらいぜ
だけど
花をみて綺麗だと思う
月をみて心安らぐ
星をみて願いを ....
宵に待つ 一条の恋 春の路
窓を拭く 指の無言に 促され
アクセルを 優しく吹かす 恋心
ブレーキを 踏めば夕闇 追いすがる
遠ざかる テールランプは 赤い糸
ど ....
今までにどれ位の人達が
私の前を通り過ぎて行っただろう
何かを与えてくれる者もいれば
何かを奪い去って行くだけの者もいた
でも今となってしまっては
そんなことはどうでもいいこと
さっさ ....
あちこちに月がひそむ夜
銀を一粒ずつ踏みしめて
雲をあおぎ歩みゆくひと
月の手は風
月の火は雨
ただなごむ
死のように
いのるひと いるりひと
いるり ....
クローバーの海に沈みながら
流れてゆく雲を見た
雲がちぎれ また別の雲に繋がり 空の色に染まり 風に操られる
疲れ果て
クローバーの海に身を任せ
四葉を探すついでに
忘れていた涙を地球にあ ....
鳥のように空を飛び
羽を広げ雲に身を捧げて
月の光に染まり
夜を夜と感じ
一日を一日と感じ
全てが自己責任である自由を手に
広い世界へと解き放つの
黒い羽は闇に染まり
逆さまの世界が私 ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく
花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
非現実世界と現実世界
狭間に捕われの身
いたい
頭から脳を吐き出して
腸をしっぽみたいに引きずって
サルになる
人間にない苦しみに目を瞑って
不恰好なサルもどきになる
人間にはなれない ....
スミレの花の砂糖漬けを一つ口に
舌先で触れる
とろりと甘い
真っ暗な静寂の世界で孤独な二人が音を作る
朝になれば羽が体に滑り込み軽くなる
見えない羽が元気をくれる
誰でも持ってるふわふわの羽
眠ると白い獏が届けてくれるよ
朝、色とりどりの見えない羽が舞う駅のホーム
夜、千切れた羽が星空に吸い ....
都会の夕方は
人の波だよ
みんな無表情だ
悲しいことも
つらいこともあるはずなのに
あなたも
この人の波にいるのか
俺に
あなたの心の傷を見せて欲しい
....
きんいろだねすべてがうつくしいね
もちろんきみもだよ
ほんとだよ
たまにしかこんなこといわないからね
ちゃんときいといてね
うそはなるべくつかないからね
たまにささいなくだらないことをかく ....
吸うほどに 浮いて沈んだ 青い筋
折からに 鎖骨を越えた 雲の影
桜散り 耳にも息を 吹きかける
唇は 何が詰まって 見つめたい
水玉は うぶ毛で触れて 熱さます
糸 ....
恋人に 戻って祝う 受話器越し
嵩む文 覚えた文字も 褪せぬまま
愛の名で 伝えられない 夜もある
その顔を 見知らぬ人に 重ね抱く
一年の 長さが知れる 人の生
祝杯は ....
立ち尽くす
波のしずくは
指からこぼれて
あの人の命
永い別れを
私に告げる
見えなかった
思い出
聞こえなかった
風
けれど消えない
指先の感覚
窓の外
首をかしげ ....
張り裂けそうなこの心を
必死に抱えて歩き続けた
誰もが安息の地を求めているのに
どこにも止まることを許されはしない
地下鉄の風に吹き上げられて
薄っぺらい仮面など剥がされた
ただ立ち尽 ....
僕は君を諦めてしまった
諦めなかったら
同じことだろうね
君が離れて行っただろう
思い通りに行かなくて
願ったように進まなくて
君はイライラしてきた
僕は自分の中 ....
田舎の小さな駅に
僕と君の靴音だけが響く
君は今にも泣きそうに言ったね
もう少しいられないの
東京に帰るのは明日でいいでしょ
そういうわけにはいかなかった
まとまっ ....
キミが嘘をついた
キミが嘘をついた
キミがまた嘘をついた
ボクはキミが嫌いだ
ボクはもうキミを嫌いになったから
何度もキミを捨て去ろうとした
なのに どうしてキミは
....
君に借りた
えんじ色のマフラー
返さないまま
春になってしまったね
君に借りた
えんじ色の傘も
返さないままだね
今日は雨降りだよ
君はこの
えん ....
ビルの非常階段の裏に
人影がみえた
また
ぶっそうなことかと見ると
青い瞳の
美しいサイボーグが
瞬きもせず
捨てられていた
俺は
白いシーツを彼 ....
上手な言葉は使えない
綺麗な言葉も使えない
ただ
誰かにこの心が
伝わればいいナ、と
こうして{ルビ詩=ウタ}をつづるンだ
幻の終わりと塩の光を抱き
鳥はひとり 海にたたずむ
波に重なり ゆらめく陰
待つもののない午後の陰
船を終えた船の列が
小さな声に照らされている
空をゆく声 落ちる ....
ジャブジャブ歩いていける
砂浜から続く海
うすい砂色の皿に
浅い海の色のスープをそそぐ
(鶴は飲めない狐のスープ)
ふかい空から
ひたむきに
飛び込む姿勢で
(ウミネコの視線で)
....
「はじめまして よろしく」と
「さようなら」の数は
イコールじゃないぜ
「幸せ」と「不幸せ」の数も
イコールじゃない
どちらが多いか少ないか
それは
運 不運 ....
その女性は美しい言葉を使う女性だった
私のようにありふれたストレートな言葉ではなく
詩のようなお伽話のようなあんず色の言葉を使う女性だった
それが私の想像力を掻き立て私を苦しめる
その ....
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