痛々しいほどの
朱をさらけだして
鶏頭が咲く
傷口は
季節が変わっても
じゅくじゅくと疼き
癒す言葉など
持ち合わせてはおらず
ただ唇を乞う
ツバメが
ひととき ....
線が
小さな点の集まりだと知ったのは
まだ恋なんて知らない
幼い頃のことでした
とぎれとぎれに
一つ一つの出会いがあるように思えても
振り返ればなぜか
すべてがつながっているよう ....
ばらばら つち
のど こすり
だくおん あやす
かや なびく やかい
かげぎぬ の ぎょうこう
されぬ あかみ
くずし うつす つゆたま
わけいる つきの あし
ほ ....
さび ついた そろい のそら
ぬげはじめた め
かかわらぬ
こえ
ふみこむ
ひざし
の
いってらっしゃい
いってしまって
さからえ
とべない
の なら ....
まだ幻になるには早すぎる夏
したたる汗を拭きながら
影を引きずってみる
昼下がり
気がつけば青信号は点滅し
横断歩道は白くアスファルトを削っている
そしてゆらりと
行き過ぎる ....
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた
さよなら
さよなら
さよなら
夏
駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾 ....
この世が終わっても
私は 終わらなくて
途方に暮れて
あなたを みたら
眼に涙を滲ませ
終わり と言えないでいる
どうして 他人のあなたが
私達のために 泣くの
言えば 言 ....
忙しいと言いながら
忙しそうにしている人がいた
忙しい毎日が嫌だとぼやきながら
忙しいのは何故かしらと呟きながら
忙しさから解放されそうになると
忙しく何かを探しはじめる
忙し ....
安全ピンに とめられた
近くで 鼓動が聞こえる
建てられた家の壁の 奥
にぎやかな笑も 枯れて
この 残された クサビだけが
奪われたものに対する こたえ
やがて 消えた鼓動の ....
うまく笑おうとすれば
すっかりゆがんでしまったのは
自分の心だと気づいた
小さい頃
クレヨンで描いた自画像は
まるで似ていなかったけれど
それはきっと
心で描いたからなんだ
....
薄紫の和紙に 小さなお山のように盛られた氷砂糖を
壊さないように 天辺からそっと摘まんで
可愛らしい唇に つん と付けては
何となく冷たい感触を味わうのよ あの子は。
口溶けは 冷やか ....
ああ?
ああ、ああ。
あー。
ああ。
あっあーっ!
あーあ。
あーあー。
あ、ああ。
ああっ?
あー。
ああ、ああ。
あーあああああああ!
あ。
ああ〜!!
....
ある日の夕方
ポチは神妙な顔をして
私の前におすわりをして
喋りはじめた
ねぇ。
ボクはずっと前から考えていたのだけど
どうして人は平気で人を傷つけたり
いがみ合ってみたり
....
どんなに薄めても
悲しみは消えませんでしたから
少しずつ明日を
塗り重ねてゆこうと思いました
悲しみは複雑すぎて
はじめとおわりの区別もつかないけれど
晴れわたる空に喜びは
....
ひらいた おやまの
むこうの おそらに
ちいさく てをふる
おにのこ つちのこ
とんとん とんのに
とうせん はなおに
とんから とんから
とうそう はなおに
ひらいた ....
このひと だれよ
じいちゃんの にいさんだぢだ
五人兄弟だったのも
三人は 戦争さ いって 死んだんだ
ほら もうひとりの おじさんは かえってきて
そこで 店っこやってるべ
じいちゃ ....
空から雲が生まれるのを見た
何処までも青く
海の青を吸い込んだ空は雲を産み
海の魚の夢を乗せて
一羽の鳥が
海と空の境界線をどこまでも
白馬に行った
気圧の変化で耳痛い
トンネルをくぐったらすごい雨
またトンネルをくぐったらすごい晴れ
白馬についた
涼しい〜
湿気もないし
空気もうまい
早速ニジマスつかみどり
....
かち とろう
ゆき ゆこう
ふくみ ささぐ
きはくな ほし
こい こごう
ゆめ とばそ
ぴりぴり とした
ひりひり ときた
なげく なじる
ぬいでしまえよ
こ ....
瞳の中でしか広がれない青空は
手を差し伸べてもらえないその悲しさを
今日も涙にしてしまった
空を飛びたいわけじゃない
からだいっぱい手のひら広げ
君を受けとめたいんだよ
猫の手も借りたいくらい
忙しかったりしてる時も
日溜りで遊んでいる
となりの猫を掴まえて
手をとってバンザイさせてみたり
ぷにぷにの肉球を瞼に押し当てて
和んでみたり
そんな時間はあ ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
知っている曲が 途切れて
知らない歌が とぎれとぎれに
髪の先 さわり ふれる
冷蔵庫にジュース
飲みたい けど
動きたくない
どうやってたんだっけ
時間て
なんて
数えるん ....
な をよぶ
とき が隔てた
かぜ の かいろう
打ち
うまれた のろい
すくう ゆめ
わ 火焔
走 破
白き 鼓動
水 と 灯る
2003 4 20
肩まで のびた髪を
指で とかすと
しずかな 波 の音が する
黒い
隙間 に
あお しろく
ほどけた 心は
ちいさな蝶
のぼり
はためく
海へ
....
とおくから まよなか が くる
いとまき あなた の きら の なか
せんの とおり を こえましょか
とおいひび まよなか が なく
からくり あなた の ゆめ の くち
せん ....
あなたの日常と
わたしの日常から
たった一日だけ切り取って
夢の世界で重ねましょう
それはもう
現実には存在しない
時間なのだから
何にも縛られることなく
二人のためだけに過ごしま ....
身体の自由を奪われることと引き換えに
過去の重荷をどこかへ置き忘れて
少しづつ解き放たれていく
その手を見ればわかる
長い年月を耐えて踏んばって
あなたは生きてきたのだから
ちょっ ....
ふりつづく雨の
ほんのわずかな晴れ間に
少しの希望が見えたなら
それにすがってみようと思う
生きつづけるなら
あきらめも肝心
妥協だってしてやる
けれどまだまだ
何かが ....
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