音へと変わる木の影の道
風がそのまま過ぎ去る道
やわらかく目をふせ
空あおぐ道
遠さと遠さの間は濡れて
縦の緑は震えている
北の星と朝焼けは消え
光はかすかにたどり ....
おれだけならばあの塔までも行く
がおまえが
いて
ああ見てみろ青あおく明けそめの空
がひとすじの月
に切れる
うなだれた影たちが行く
塔へ
(動くな)
影をおさえ
て低 ....
右曲がりの坂道を
30歩のぼったところ
雨上がりには
アジサイが
酸性やアルカリ性に色づくので
それならば涙は、と
通りすがりのにわか雨を
ふたたび
つま先に
ひと ....
みんなが意味が 必要だというから
私も意味をさがして とぼとぼと
下を向いて歩いてみたけど
あれこれと拾ってみても
大切な意味なんて ひとつもない。
だから意味なんて い ....
木漏れ日が眩しくて
僕は手をかざす
良い天気だね
ひとりの散歩は
風が心地良いよ
君と僕がだめになった理由なんて
沢山あるようで
1つしかないんだ
僕の ....
(おはよう朝帰りの魔女が音を立てずに箒を立て掛ける)
昨日の名残は夜行列車でとっくに旅立った
無人駅のサルビアとソーダファウンテンの間には
寝相の悪いちっちゃな神 寝過ごした金星
....
2004年7月、暑い夏がきて、
僕らはまた汚れる。
あれほど焦がれた思いもいつか日常になる、
そういう事は
誰も止められないんだ。
川沿いをずっと二人で歩いていく。
何もしゃべる事 ....
強く光る
そして逃げる
光はわたしに残像を見せ
ここを去る
弱く光る
すぐに追う
光はわたしに根を下ろし
うねって
きえて
ついて
わたしを白くする
新しい音が鳴り出すと
見上げてしまう癖がついた
国道沿いの滲んだ校舎の上
スピーカーが漏らす
ひずんだ音
ずっとずっと変わらない
ひとつ
呼吸のように響いては
震えている何か
....
まつげ の隙間
に からから
閉じた 指
そっと 痛いくらい ひろげて
輝く どんな 言葉 よりも
たゆとう どんな 海よりも
この 指 の谷間 に吹く 風よ
....
エントランスを抜けると
私はいつも空を見上げる
たった今
日本が沈没すればいい
唐突に
私は願う
病院の
窓という窓
壁という壁が
崩れて
途方に暮れる私の喉を
....
リンと
鈴の音鳴るやうな
シャンと
玻璃の砕けるやうな
ピンと
水の凍るやうな
切なく淡き
音に誘はれ
我が魂は迷ひ出で
我が魄は舞ひ出づる
リン
シャン ....
退屈の記号と
幸せの符号と
感動の脱殻が
空中の水際で
じいっと僕を
見つめている
荒れ地に生まれたひとつの風と
荒れ野に生まれた多くの風とが
ひとつの海を奪い合っていた
金の光が
銀に変わるまでの永い間に
水は風に混じり
小さなものたちは生まれた
....
少年
いつかなくした自転車の
へこんだ場所を忘れてた
あの子を見ててブロック塀に
ぶつけたときにできたやつ
そうだったね
そこに貼り付けたシールは
昔からの空色で
覗くと雲が浮かんでた ....
ずっと旅してる
地球が生まれ
銀河系が生まれ
宇宙が生まれた
その瞬間を辿る旅を
言い尽くされた呪文のように
われわれは
どこからきて
どこへ行こうとするのか
などと ....
四角い出窓にひじをついて
わたしは お空をみてました
ときどき 桃色の雪が
紛れこんではちらついたりして
世界は彩られたりしましたが
わたしは お空をみてました
ひじをついたまま
....
鏡に残る真昼の熱が
道のにおいを解いてゆく
光と光がつくる爪痕
左目から空を切りひらく
午後の川の上をゆく
鳥のかたちをした銀河
流れのない流れの色を
照らすものなく ....
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころ ....
駅のベンチで
ひとり晒される風に
カラカラカラカラ
風車が回る
前かがみな夜に
迷い進むタバコの煙りも
なんて遠くへ
風は一瞬に運ぶ
僕の眼の裏で
カラカラカ ....
うたた寝から覚めると
下校時刻のチャイム
開け放った窓から
笹の葉が
通りの向こうを
はしゃぎながら遠ざかる
金銀砂子
はるか頭上を
セスナが横切った
ような気がして
空を ....
ごらん
荊の冠をつけて
干潟を歩いてゆくのが
風だ
鋼板の前に
累々と乾涸びているのは
おれたちだ
ほら
海が苦笑している
権力の
縮図
ふうわり 心地よい うたは
ふと めをつむり 眠くなり
つらぬくような つらい詩は
ぼろぼろ 泣けて 目が霞む
胸のあたり に くすくすと
笑える詩 には 逆らえない
....
ガムを噛みながら
赤いドアから君が入って来た
ガムを膨らませて
青いドアから僕は出ていく
この風船の中に
きっといくつも
理由はあるんだろうけれど
どの道僕らは
....
詩をやっていこうと思う方は、本来「本を読むこと」が好きな人が多いです。それなりの向上心と努力があれば、関わってゆけるでしょう。
ところが私は、本を読むのが大変苦手で、特に詩や小説、文学を読むこと ....
夜道
眠りかけた草木の
濃密な薫りの中
歩く私の瞼は
少し重たい
やがてひとつ
ふたつと
意識の枝は
折れていき
私は一本の
幹となる
望む以外の答え ....
不意に
あたし窓と
繋がってしまう
鉛筆で
描かれた
教室の
窓
田の字のあたし
とても
赤い空が
あたしの中
震えてて
どんな
ちいさな欲望も
残さず
きれ ....
この庭を今
黒猫が横切りました
急ぎ足です
影だったのかもしれません
向日葵は私を追い越して
手探りで空へ
夕暮れの角度を真似して
ちょっと斜めに傾いてみると
向日葵と空が
一緒 ....
光と影が混ざり合うことは
ない
俺の中にも
光と影があるはず
青い空に 両手を広げて
笑う
そんな光があることは
知ってるぜ
心の中に
光が満ち溢れる
部屋があることも ....
ものおとをたてる足の裏は悲しい
きしむ古い木の床と
すこしずつ減りつつある体重の
狭間で
夜の空気は家人に眠りを運び
すりっぱを履くの 忘れた
冷たい
ひとり暗い廊下歩く ....
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