今日も朝から
洗濯機が大声で歌っている
オペラのつもりのようだけど
音痴で
しかも、時々声が裏がえる
近所迷惑だからやめてくれと言っても
聞く耳をもたない
ありったけの洗濯物を押 ....
思いっきり身震いしたら
壊れてしまうかと思っていた
田舎町に
今ではすっかり馴染んで仕舞い
若かったゴジラ達も
皆立派な町の世話役となり
ズルズル引きずっている
逞しい尻尾に気づ ....
僕は
静かな夜の海に来ているよ
こわくないよ
僕の足跡は
波が消してくれる
今までの僕を
消して欲しい
絶え間なく寄せる波
生まれたくて
生まれたんじゃない
....
僕は置手紙を残して
出て行くよ
このメールの時代なのにね
せめて
僕の体温を感じるものを残すよ
「さよなら」を書くと
いろんなことを思い出して
涙がこぼれるか ....
*カンチェルスキスさんと連散文をはじめることにいたしました。
序章として
「ラブストーリィと現実」
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=7964
....
黒いカーテンでよかった
遮光カーテンは甘いのだ
まえに
水蜜をくわえて 跳ねた汁をなめたら
甘かったからほんとうだ
ふくらはぎの下で
かりっこりと かりっこりする
彼の爪だ
....
堕ちた孔雀が集まる場所で
ただひとりかがやくものは傷を得たもの
白く織られた光の羽の
かすかなほころびから見える花
光や音の波の向こうに
見えること 見えないことの向こうに ....
俺は子供の頃
星をつかめると思った
手を伸ばして掴もうとした
それから
俺の心には星があった
わくわくするような
にこにこするような
星だった
その星も ....
山へと向かう道の角を
一本の木からあふれた花が埋めてゆく
新月の原
うずくまる獣
高く低くつづく夜
響きのなかに現われる
草色の歌
波うつ獣の背の上に
花 ....
パスタ屋で
蟹スパに憧れていると
ななめ後ろ カップルの男が
こちらを見ている
さっきからわかっていましたよ
こちらを見ているのは
やだ
恋人がいるのに
目の前の彼女を見なきゃ ....
街でついつい男の人を
宝石に
変換する
裾に 白衣ののぞくメガネは
傷のついたオパール石
チャイナ帽 歩きタバコの初老は
家のないラピスラズリ
梯子に登りたそうな ボーダー2 ....
自分の薄皮一枚残して
そっくりそのままの詩である
―何、それ、
少しの秘密?
光る銅製の浴槽から
海はあふれだし
―ほら、膝っこ少年。
匂いを、かいでごらん
時間が ....
ベランダに産まれた雛を祝福します
遠吠えでもいいでしょうか
忙しさに そぞろにかまけます
できないものはできないので
ベランダで空地の雑草が生い茂ります
今なお 石に躓く幼さですから
....
もう眼じゃない
捨てられた宝石だ
母から娘へと大切にされてきた宝石で
職のない娘が売った宝石だよ
罵倒?
わかんないもう
もう母の行末についてしか泣かないし
....
無数の硬い実だ
日陰の広いテラスの横で
落葉したポプラの木に実るのは
黒く枯れた夢だ
初春の陽射しに映る
しろく輝くビル街は
湖水の向こうの蜃気楼
見たことの無い未来だ
二人で ....
伝達
という義務から離れた言葉はいつも
夕闇に泡立ち
朝方に溶けてゆく
闇が私と私を囲う壁と壁を囲う外界を親和している間は
言葉が脳のなかで循環するのではなく
発せられなくても流れ出してい ....
愛情なのか欲望なのか
もうわからない
世で
夢なのか要求なのか
もうわからない
世で
俺も決めかねる
自分で自分のことがわからないぜ
身長とか体重とか服のサイズは
わ ....
解放されたからだで
地面を舐めてから飛ぶんですよ
地面の味を覚えてないと
きっと降りてはこれないからね
鳥は飛ぶ必要があったんですよ
飛ばなきゃ生きてはいけなかった
あなたも飛ぶ必要があれ ....
午前1時の暗闇の中
俺の部屋の窓から
教会が見える
十字架がネオンになっているんだ
あの教会の前の十字路で
俺はあなたに「サヨナラ」と言った
子供が学校の帰りに言う ....
ちょうど朝でも夜でもない
漆黒の闇に
夜の夢が消え
朝の希望はまだ無い
名前も無く
仕事も限定せず
さすらう旅人の
出発の時間
名前も知れず
ただ行ってしまっただけの人
....
ぎゅっと握りしめた
こぶしの隙間から零れ
夜の奥底に染みてゆくもの
去り行く後姿に
聴こえぬ声で
いつまでも叫び続けるもの
(時間の純粋結晶が
悲しみなのだということ)
....
大きな
とても大きな野原に
今 という
それまた大きな川が
流れていました
その川の川辺には
とても絢爛な冠をかぶった
優しい心の人がいました
その人は ....
ここで
てをふることにする
かぜふくにせよ
ゆきつもるにせよ
きみはもう
とまってはいけない
いちにちやふつかは かまわない
けれど
ここで
てをふることにする
蔦は一列二列と ....
デリーさんご指名です
かんかんかんの スッカラカラ
カラッカラッの すっかんかん
男日照りが長いので
名前をデリーにした
彼はあの子とアパート泊
私は客とホテル泊
「愛は ....
眼光鋭き朝 それは失恋後
テレビ画面の渋谷にパンチ
山梨県 息子と一緒にほうとう喰う
その少女の玉手箱は
最上階の右から三番目
上りきるとすでに
玄関のドアは少し開けられて
少女は風に挨拶をしながら
俺を見ている
「きょうはなにしてあそぶ?」
部屋に入るとすぐ ....
その港の海は
溶鉱炉の煙突の火で燃える
月面が見たくなったら
その火柱の傍で
7つの石を 意思を
いっそ一度に海面に放れば
一瞬だけでも見れるのだ
....
散る花と天馬のかたわら舞い踊る
あなたの名前わたしの名前
一日に何度もひとりで水族館
イルカ生きとるクリオネ死んどる
....
夕焼けにむかって
走りつづけ
夜から逃げる逃げる逃げる
ことから逃げてきたぼく
だから
太陽に追い越されちゃって
月にも追い越されちゃって
星だとか人参だとか
スパゲッチイだとか
も ....
夜のバス停は寒い
バスを待つ人は
何を思っている
俺の乗りたいバスは
昨日も
今日も
来なかった
明日は来るのか
俺の乗りたいバスは
なかなか来な ....
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