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花束を車内いっぱい敷き詰めて水没してゆく春の陽とひと
野の花や少年少女の髪揺れる風泥棒が口笛吹けば
集まればいつしかはなれてしまう春むかしどうきゅうせいと来た海
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{引用=始めませふ 安易な位置づけ
椎名林檎『真夜中は純潔』}
{引用=デイストオシオン}
うねりゆく夕空 ....
ハーモニー、櫂のしずくに呼応する空が茶色に透過する午後
目という目、口という口あつまってAの会合ひらく廃村
風の影みつける蝶やカーテンのおおきく呼吸している窓辺
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もう誰も修復できぬ美しい傷痕だけが星空のごと
カラフルな性の模様にいろどられ少年少女の白は泡立つ
いつまでも高原鉄道錆び付いたままの列車を包む真緑
沢 ....
{引用=茶事}
チューリップどくたあすとつぷさへぎられ
永遠に蝉の抜け殻さがす午後
誕生日なずなに今日をうばはれて
一大事つばきの花びらひとは落つ
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かつていた冷凍都市を思い出すような小説書いている初夏
再放送されてる温泉番組を観ているぼくを見ているかか氏
転校生だったあの子は元気かなどおんどおんと胸打つ花火
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木は風に揺られて危機と告げている台風前夜の窓辺のふたり
完璧な雨に降られて澱みゆく河を見ている仔猫とあなた
水田の水面に雲は流れゆき徐々に満ちゆく夏の青空
帰り道 ....
真夜中にせんたくものを干すきみの着ている服も濡れている手も
立ち直りかけてるきみに悪いけど闇を失くしたきみは抜け殻
伸びる影のびないひかりの集う朝みえない牧師が祈りをサボる
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「そっちへは行っちゃだめよ」ときみの声だけが録音されてるテープ
てのひらおもいきりひろげこれはゆび、これはつめだと思い出すまで
足音は、いつもみづから踏 ....
フライングベッドが再度あらわれて深い眠りを焦がしてしまう
4ゆびをテーブル上で交差するあなたの朝が美し過ぎて
アーサーが来てたわよ アーサーってだれ?たぶんお母さんのそうぞうじょう ....
水彩の絵の具ま白き画用紙にぜんぶぶちまけようよ六月
自転車の後ろで団扇を仰ぐきみ見ていた海に落っこちるまで
ゆかた着てきみが来るからあの駅を思い出すたび朝顔が咲く
い ....
燃え上がる巨大な寝台列車から逃げ出すひとのいないやすらぎ
草上にレモンはひとつ落ちていてあなたのいない夜のはじまり
街中にひらく紫陽花5Fから観ている雨の降りしきる朝
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五月の彙報
月光のはしゃぐ五月の階段の途中できみとすれ違うだけ
降り注ぐ色とりどりの花々がきみを優しく包み込む通夜
未熟だと知ればけもののねむりから飛び立つひ ....
粒入りのオレンジジュース飲みながらもうやめようと思う煙草は
目を伏せて下唇を噛み締める航海はまだ始まったばかり
ハンガリー舞曲聴きつつ描く絵の少女はとわに止まったままで
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如月や黒いソファーに横たわるあなたの影も微笑んでいる
ゆく船のゆくえわからぬまま岸でぼくらが録音されていた夏
ケイタイを缶コーヒーのように振るきみはまだまだ宇宙に鳴れる
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太陽は誰が奪った洪水のようにまばゆい詩歌たちいづこ?
ゆうえんち、どうぶつえんにすいぞくかんみんなほろびてしまえきみとか
ぼくはもう崩れてしまう塔の上きみの手首を紫にして
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限界を越えてもしくは臨界を越えてあなたに会いにゆくゆめ
水槽に金魚は泳ぐぼくたちの裏切りさえも刻めよ螺旋
ファルセットヴォイスできみが歌うから胸が鼓動ではじけてしまふ
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手のひらを組んで祈りのかたちなら無人の廃虚に風だけが舞う
街中にひかりあふれてもう星は絵本のなかでまたたくばかり
羽根はもう風にさらわれ剥き出しの骨をひろげるだけの桜木
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どれくらい寒がりかって?靴下は履いてお風呂に入ってるけど
高校生二年の僕とすれ違う冬の深夜のゆめのさかみち
爪はなぜあるのだろうかマニキュアを薬指だけ塗って出かける
薔薇 ....
{引用=まだまだ探す気ですか?
それより僕と踊りませんか?
井上陽水『夢の中へ』}
「明日も全世界の空にオーロラが架かるでしょう」と ....
きみが目を閉じても風は草原を夜空を海を旅してまはる
涸れてゆく泉にきみの瑠璃色の絶唱とわに不滅の予感
雨の駅、雨のバス停、雨の庭。きみが ....
{引用=僕らって何億個もの細胞を失う為の焼却炉だね
ピッピ}
天 ....
{引用=澄んだ光の菜の花 そうしてかざした手のひら
数を数え飽きたらすぐに ここまで走っておいで
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{引用=ことばを生気づける、死でもって。
こもん}
隻眼の雲雀ただよふおおぞらのもとより暗き世界を孕み
やさしさは午後のひかり ....
{引用=さっき見た夕暮れさえもほんものか千年あっても知るすべは無く
ETOILE}
木漏れ日の揺れる街路でまばたきの ....
{引用=光に向かい その光で自分たちの闇を照らす
私たちの音楽だ すべては私たちの音楽だ
by JEAN-LUC-GODARD『NOTREMUSIQUE』}
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いつの日か宇宙の塵となることを夢見るロケット技師と甥っ子
少年は星の名前でしりとりをしている少女は欠伸をしている
フラフープ棄てる少女に土星の輪なくした土星のごときさみしさ
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破裂する宇宙服からこぼれ出すはるかな草原駆けゆく少女
一片の光は遂に熟れ過ぎて落下してゆく宇宙の果実
むらさきの虚無が飛来す青空の上で吐血す宇宙飛行士
太陽のひかりときお ....
冷房のままで空き地に棄てられし軽トラックが消えた秋の日
足首に薔薇のいばらをくくりつけあなたはをどる秋と告げれば
ほとばしる滝の飛沫の花びらを浴びるあなたの背骨が欲しい
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たぶんぼくはぐちゃぐちゃのどろどろのけつえきのかけめぐるたいないのはじけるだろう
傷口を更に深める部屋を出てぐいっとひらく赤い雨傘
ドライヤーで髪を乾かすときに目を閉じる あなたの ....
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