ぬるい夏
本木はじめ


水彩の絵の具ま白き画用紙にぜんぶぶちまけようよ六月


自転車の後ろで団扇を仰ぐきみ見ていた海に落っこちるまで


ゆかた着てきみが来るからあの駅を思い出すたび朝顔が咲く


いつのひかかならずかなうことなんてつまんないからゆびはきらない


どうしても今すぐ顔を洗いたいなつなつなつの夏のはじまり


この長い髪の毛きみの髪の毛に似ているきみの髪の毛じゃない?


シリアスにきみとぼくとの関係を考えているかがみみながら


じゃんけんでチョキを出したら飛行機が空を切り裂くように飛んでた


アメリカの国旗じゃなくてフランスの国旗だよねと思うさいきん


水色できみは真夏を透過するもうこれ以上太陽はいらない


急展開しようよ僕ら花火からはかない刹那を教わるよりも


深海に沈む自転車うわついた僕らの夏も重いのだろう







短歌 ぬるい夏 Copyright 本木はじめ 2006-06-12 17:25:04
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