ひっそりとした山の中に
一筋の銀色の水が
きらきらと輝きを放ちながら
そばに開く大きな葉に
花を咲かせるように
静かに脈をうつ

時折り光が流れの中で止まり
うたかたとともに消えてゆく ....
蝉時雨も止んだというのに
真昼の喧騒が
じりりと
耳に焼き付いたのを
両手で塞いだ

鳥の群れが西をめざし
灯火色した空に
消えていくのを
門口に焚いた火とともに
静かに見ている
 ....
ミクシィ

禍々しい神の名前と同じぐらいの強さで
おれたちをモニターに縛りつける呪文

ミクシィ

真夜中の絶望を
たどたどしい口笛で掻き消しながら
ベランダから眺めるランドスケープ ....
押し寄せる人波を
私は独り、逆流する。 
東京駅の地下に蒸す夏。 
目の前の{ルビ陽炎=かげろう}を掻き分けて。 

日常の流れに{ルビ弾=はじ}かれて、立ち止まる。 
重い{ルビ荷物=ト ....
僕らは空気を育てた
空気を育て空気と遊んだ
外を連れて歩くと
人はそれを風と呼んだ
空気は僕らを食べて育った
食べられて僕らは
その大きなお腹のようなところで
何度も生まれかわった
何 ....
人間は汚れている。身も心も。 
人の世のニュースを写すテレビ画面の中で。
私の姿を映す鏡の中で。
全ての日常は、色褪せていた。 

  * 

一人旅の道を歩いていた。 
信濃追分の風 ....
一.

なんだかね
スーパーに行ったんだ
この街は夏でも冷房とかあんまり無くて
でもそのスーパーにはあって
涼しくて
何買うわけでもないけどね
近くの中華料理屋の中国人たちがいつもどお ....
引っ越したアパートは
薬屋の二階だった
辺りには小さな商店しかなかったが
近くに大きな川が流れていて
君の心を支えながら
よく土手を歩いた

神社には大きな桜の樹があって
薄紅の季節を ....
もしも詩が書けなくなったら
家族にも友人にも行き先を告げずに
ひとりで旅にでも出よう

もしも詩が書けなくなったら
滴り落ちるような真っ青な空を眺めて
言葉に置き換えずにそれを受け容れてみ ....
 前回登場したA氏の話を続ける。月日が経ち、ネットの海辺で呆
然としていたA氏も素潜りなどできるようになった。詩論を交わせ
る知り合いも幾人かできた。様々なサイトを足繁く覗くうちに素晴
らしい作 ....
 インターネットが現在の詩の状況に光明をもたらすとは、じつは
露ほどにも思っていない。何らかの状況変化が起きるとは思うが、
それが「光明」であるとは限らない。インターネットほど閉鎖的な
媒体はな ....
お帰りですか、と
聞くとその{ルビ女=ひと}は
ええ、と
小さく頷いて
穏やかな微笑をうかべた

鬱蒼と茂る緑葉の下で
木洩れ日が描くまだら模様が
白い肌をよけいに引き立たせ
蝉しぐ ....
冷たい消毒槽は
三歩で渡ると決めていた
プールサイドの足跡が
しゅわしゅわと、夏にしみこむ

浅黒い肌の散らばる奥に
見え隠れする
白い朝顔
先生の御子だという
なるほど、鼻筋はそっ ....
わたしがサミーラと知り合ったのは
見知らぬ国への好奇心と
ちょっとした向学心
辞書を引き引き書いた拙い手紙を
赤と青の縁飾りも可愛い封筒に入れて
生まれてはじめての海外文通
切手一枚でつな ....
腹に響くエイサーの
どごん どごん
飛び跳ねる常夏リズム
どどごん、かつ、かつ

手踊りが咲き
歯は白く輝き
乾いた{ルビ三線=さんしん}の{ルビ音=ね}が走り出す

空を切り裂く指 ....
女はいつも災いをもたらす 
憂いを含んだ微笑みで 
鏡に向かい髪を梳く 
後ろ姿に見惚れてはいけない 

鏡の中の女と 
視線を合わせてはいけない 

男はいつも災いをもたらす ....
  あなた、アオウミガメの背中を
  匂ったことはあって?



少女は
さして、答えを求めるふうでもなく
空と海の継ぎめを見つめたまま
潮風にふくらんだ髪を
そっと抑える


 ....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
 おれを
 崇めよ
 讃えよ

 おれを!
 おれを!
 このどうしようもないおれを!
 この可愛らしいおれを!
 このほろ苦く甘いおれを!


  黒い円盤状の ....
#61

 驚異的な安定感と正確さをもって
 一本の真っ直ぐな線を
 真っ白な紙に引く
 その限りなく単純な美しさ
 全く無駄のない澄み切った一瞬

 そんな生き方が欲しいのだ

 ....
夏の涼しい夕暮れに 
恋の病にうつむく友と 
噴水前の石段に腰掛けていた 

( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が 
( 気づかぬうちにかけている 
( 魔法の眼鏡は外せない  ....
 あの子の瞳は遠くの方を見つめていた
 見つめ合ってはいたけれど
 その黒は、星が流れる広大な虚空よりも深く
 氷に閉じ込められたまま、燃え上がるような黒だった…

その炎に触れてしまったら ....
私は言葉だ
私は日々 消費される 切り売りされている
切り花のように美しく 華美でいて
造花のように どこかしら胡散臭い
私は言葉という散財好きな令嬢である
はたまた この世で最も蔑視される ....
せかい、というビンのなかに雨がふります。
あおくとうめいな悲しみが、
ガラスの内がわにすいてきとなって、
したたっていきます。

ビンのなかでも、
そらは、どこまでもはてがないようで、
 ....
A子(主婦39歳)は嘆いていた
価格破壊の世の中を


街を見渡せば
いたるところに100円ショップ
 (なのにレジでは105円取られるのよね)
超ディスカウントショップも蔓延し ....
(でっかいのが、死んだ。)

風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
打ち震える涙が、立ちならぶ
忘れられた街景の片隅に、十代の足音を揺らして、
失われた向日葵は、いまだ声を上げて、
古い風の臭いに浸り、
枯れた夏を首に巻いて、
届かない空の裂け目を編んで ....
照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
最近、雨が降ってばっかりなので憂鬱でしたが、今日は結構良い事があって嬉しかったのでここで、ひそかに綴っておこう。たまには雨にも打たれるべきです。

今日、仕事からの帰り、いきなりもの凄い豪雨が ....
昨日は切なさを
今日は愛おしさを
明後日は狂おしさを
一枚
また一枚
引き剥いだ心から溢れ出る
あかい
あかい溶液は
あなたの眺める空を
あなたの愛でる花を
染めぬいてくれるでしょ ....
伊藤透雪さんのおすすめリスト(280)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
渓流- ぽえむ君自由詩13*06-8-16
灯火- LEO自由詩19*06-8-16
ミクシィ- 大覚アキ ...自由詩406-8-15
東京駅_- 服部 剛自由詩11*06-8-13
朝、後姿- たもつ自由詩1606-8-10
信濃追分の風- 服部 剛自由詩17*06-8-10
LECHE- 水在らあ ...自由詩24*06-8-10
支え続けるもの- 佐野権太自由詩44*06-8-9
もしも詩が書けなくなったら- 大覚アキ ...自由詩1106-8-8
インターネットの閉鎖性_2- いとう散文(批評 ...17+*06-8-7
インターネットの閉鎖性_1- いとう散文(批評 ...13*06-8-7
盂蘭盆- 落合朱美自由詩3006-8-5
淡い夏雲の少女- 佐野権太自由詩17*06-8-4
サミーラ- 恋月 ぴ ...自由詩30*06-8-3
美風(ちゅらかじ)- 佐野権太自由詩18*06-8-3
シンメトリー・パンドラ- 落合朱美自由詩25*06-8-3
回遊する少女_(アオウミガメ)- 佐野権太自由詩30*06-8-1
捨てられない運動靴- 恋月 ぴ ...自由詩47*06-8-1
オレオ- 大覚アキ ...自由詩506-8-1
フラグメンツ(リプライズ)_#61〜70- 大覚アキ ...自由詩906-7-31
呼声- 服部 剛自由詩20*06-7-30
「遠くの方で燃えている」- 麒麟自由詩7*06-7-30
「愛している」- きりえし ...自由詩8*06-7-29
せかいというビンのなかにふる雨- 光冨郁也自由詩20*06-7-27
いちきゅっぱ症候群- 落合朱美自由詩20*06-7-27
パサヤ・ドニバネには道が一本きりしかない- 水在らあ ...自由詩56*06-7-27
沈黙する正午- 前田ふむ ...自由詩18*06-7-26
渇いた夏_- 服部 剛自由詩26*06-7-26
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百日紅- Rin.自由詩24*06-7-26

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