癖とスタイル(親指1000字エッセイ)
佐々宝砂
今私は、記憶障害の副作用のある薬を服用した上でこれを書いている。文体の癖が現れやすい状態だ。自覚している癖はいくつかあるが、特に嫌になるのは馬から落ちて落馬しちゃう癖だ。だらだら書くとよくそうなる。レトリックの手法として故意にやるならともかく、ついやっちゃうのはね…いいこととは思えない。直したい癖なので、こうしてケータイ使って字数制限のある文を書いて矯正しようとしている。
なかなか思い通りに直らないのが癖だが、スタイルは自分の思い通りになるよう作り上げるものだ。私が1000字程度の文をきっちり四段落に書くのは、そういう書き方を私の乏しいライター経験において叩き込まれたからだ。
私は時々言葉の体操や練習をする。私の身体が七五をしみつかせているように、琉歌のサンパチロクを身につけたいと思って、無意味でもいいからサンパチロクで喋り続けたりする。これでリズムはかなりものにできる。
私にとってスタイルとは、スポーツ選手が特訓で身につけるようなものと似ている。何度も繰り返して自分のものにして、たとえ意識が飛んでても崩れないほどになったもの、それが私にとってのスタイルというものだ。あなたにとっては違うかもしれないけれど。
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親指1000字エッセイ