花束
たもつ
僕は男だから
産む痛みを知らない
同じくらいに
産まない痛みを知らない
痛みなんて知らない
ここは戦地ではないから
僕はあなたではないから
幸せになる方法を知らない
幸せにする方法も知らない
だから何が不幸せなのかなんて知らない
詩を書けば許される
自分を責めれば許される
そんなことばかり覚え続けた
他に覚えなければいけないこともあったのに
知らない、という言葉を
覚えてしまった
小さな花束を買って帰る
その花束についていくつか話をした
僕はあなたに触り
あなたが僕に触る
本当は知ってる
触らなければいけないこと
触ってはいけないことも
知ってる
そのことでまた
僕は僕を許す