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(父、父、父、と泣く声が聞こえるがあれは誰の声か)
(息子か、ならば過去からの声か)
(父か、冥界の声か)
父は失踪をくわだてた
湿地帯の臭気が漂う家族から
父の体臭が漂う家から
父が「赤 ....
SOS、SOS

アローアロー聞こえているかい。
こちらトウキョウ、こちらトウキョウ
アローアロー聞こえているかい
ムラートに見えるかい?
そいつは悪い冗談だ
アローアロー  ....
 ナスがなった
 まだ小さい
 そっと撫でた
 冷たかった
 夏の音
 風が聞こえる
 雨は降る
 土は湿り 葉は大きく広がる

 ナスがなる
 まだ小さい
 重そうに 頭は ....
北陸のある地方では
おたまじゃくしや小魚が空から降ってきたらしい
不思議なこともあるものだ
ありがたいと言いながら年寄りが
空に向かって手を合わせている
そんな姿をテレビでみた
そのひとの ....
駅蕎麦屋さんには
「出汁ロボ」という機械があって
そばつゆボタンと
うどんつゆボタンと
ラーメンスープボタン
それぞれを押せばそれぞれが出てくる

現代詩や、ポエムや、ネット詩も
そん ....
線路の脇に咲いている菜の花の細い列
誰のものだろう止められている自転車
真新しい制服の群れからこぼれる音楽
まだ来ない電車を待っている春の駅の

たゆたう人々の視線の高さを蝶が飛ぶ
過去か ....
昨日と同じ色の朝の
昨日と同じ匂いの時間に
気紛れに買ってしまった
オリーブグリーンの傘を開く
慣れきった慌しさのほとりに
淡い緑色の翳が落ちて
治りきらないささくれの端を ....
お前の東京に連れていってくれ
俺の東京とは明らかに違うはずだ
お前が東北出身なのか九州出身なのか知らないが
地方で生まれ育った人間が一人で出てきた東京が
どんなものなのか味わいたい
俺は東京 ....
頬にぴたりとはりついた水滴は
前歯から離れないふりかけの海苔のようで
「ア、雨」
と代わりに口から言葉がこぼれる


ビニール傘越しの町の風景は
いつもより少しスローモーションで
焦点 ....
                 改090603


宇宙を旅する
きみの悲しみを
微惑星が消し
抑えがたい憂いは
彗星の尾が運ぶ
激情は、爆発誘発溶融
火球を吹き飛ばす勢いの
遊 ....
許さないから
与えない
見捨てるために
置き去りにする
そのために
口を捨てる

老人のように聴衆の中に立つ
彼らと同じ土の中から生え出た
私の体はいったいいつ
老人になるのだ ....
あれは馬だよ
あの、大きな生きものは
教科書にあったとおりだ
はやく駆けるそうだ


背中には、古い古い文字があって
誰も読めないのだけど
そこを撫でると
ぶふふう
と鳴くそうだ
馬とはそういうものな ....
犬は音量がデカい

犬はいつまでも音量がデカい

猫の音量もデカいが

こっちは、しばらくすると「ブツ…」という音と共に消えるのが定番だ

なのに犬はまだ音量がデカいので

飼い主 ....
髪を切る音
霧に落ちる道
羽と火の音
氷の船


高く奇妙な階段の家
ある日消えたあとの空地を
ひとつふたつすぎてゆく声
影のなかをすぎる影


海に沈みか ....
群青がおりてくると
土は冷たくなる
それにふれると
からだじゅうが嘘のように固くなった
すると、ひとりの子が
私はおんなのこです
と言って
すこし笑った
私にはよくわからなかったけど
 ....
大騒ぎしていた隣の部屋の大学生も
煙を撒き散らしていたスポーツカーも
凛と顔を上げていた向日葵も
みんなみんな、眠ってしまった

ベランダから両足を突き出して
ぶらぶらと泳がせて笑ってみる ....
死んではいないのだね
そんな囁きが体中を循環している

いつからか
私の胸にオウムが居座っていました
住ませてあげているのか
住んでもらっているのか
もうよく分からないけれど

生き ....
誰に教わったわけでもないけれど
新しい始まりの予感は
そうやってくる

五月の風は
そんな淡い期待を感じさせる
芽吹きの音が聞こえてきそうな緑色で
あなたは窓から入り込んでくる風を
そ ....
薔薇をあなたに
五月の薔薇をあなたにあげたくて
私はひとり庭をさまよっている

ハーブの花畑を通って
クレマチスの花園へ
キングサリのアーチをくぐったら
そこはもう薔薇迷宮
色とりどり ....
 その頃・・・・







  「 さよなら、えんぴつくん 」  作 (ボク)


   (どこにいっちゃったの?)

   書けば書くほど
  ....
雨が降り続く夜を
遮ってしまおうと
戸袋から雨戸を引き出しかけて
ふと 手を止める

視界の端で
何かが咲いていた

雨戸とガラス戸の隙間
わずか2cmの
薄っぺらな空間の足元 ....
                 090514

良くない
欲が無いから
良くならない

良くない
良くない烏が
良くない男を囓る
囓るのは狸の癖
良くない狸が良くない烏を囓る
 ....
それは傘マーク寝起きに刺さる尖った音階だ、とか

それはキャブドライバーの憂鬱とケミカルな気分だ、とか

それは雲間に見せる僅かな隙に流れる青空と削れるワイヤーの調べだ、とか

それは息し ....
ひざ小僧
どこの小僧か知らないけれど
みんなが知ってるひざ小僧
スカートの下でかくれんぼしてる
いやらしいなぁ

だけどね
転んだときに一番傷つく
ひざ小僧
私を助けてくれるから
 ....
30、29、28、息を切らした
駆け巡るは時か我か
さらにスピード、増して

25、24、23、諦めている
絵札無きポーカーだね
有り金出しても逃げ出す

それは美談さ、我が身振り切り ....
尻が黄緑色の赤いりんご
地球の頬が凹んだ形
よく見ると日本列島のあたりに
小さな傷がある
皮ごとかじると
茶色のしみになっていて
セピア色の記憶がよみがえる

家族で
伊豆の修善寺に ....
君は頭のごくわずかなすきまに
生温かいミルクを注ぎ込んで
僕を騙そうとする

不安な宇宙を満たすそれが
なんなのか分かったとき
君はもういなかった

君は誰?
過去進行に思いをめぐら ....
例えば犬や猫みたいに
せめて小さい頃の姿が
あいくるしいものだったら
愛することを知れたのに
愛されることを知れたのに

子供のころから
ずうっと考えていたこと
あたし本当は
毒なん ....
雨音に紛れ、扉が僅かに軋んだように思えた。
母親がこまめに掃除しているのだろう。
微かな埃と日向の匂いがする。
雨粒。雲を縫うこどもたちの声。坂道を駆ける軽い足音が風に乗り、ガラス戸を揺らす。
 ....
目を凝らせば
ほら
どこにだって
青空は
蝶の羽根のようにひらひらと
舞っているし、
掌にすっぽりと納まる
幸せの尻も
なんだか春めいて
キェルケゴールを足蹴にしている


 ....
松岡宮さんの自由詩おすすめリスト(1199)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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