娘はプリキュアが好きだと言う
そんな娘と
「これは?」
「サンシャイン」などと答えて
レトルトカレーの空箱で会話をして 
電子レンジがカレーを温める間だけの信頼を
獲得できるような気がして ....
現在完了で私は部屋が片付けられない
夏休みの宿題は その日のうちに書きとめられずに
お天気欄は空白のままだ
(そしてその結果、いまでも宿題は出せずにいる)

宿題を片付けられないまま思春期に ....
 ことばは、内容(意味されるもの)が空虚になったと詩人たちに判断されて、ことば自体を問題にし始めた。ことばがそれ自体を問題にするのだから、意味されるものは一義的なものではなく、メタレベルのものになる。 .... その後で
脊髄反射が起こったように思った
開いた手を握りしめた
その後で
守らねばと思った
思い及ばぬ人々の尊厳を

「語りえぬものについては人は沈黙しなければならない」

今年7月 ....
軽やかなのか 駆けて行く
何月のウサギか たったか たったか
そうして今年も
平年と同じく たったか
夏から秋へと走り抜けられたのか

ウサギは気まぐれだった
季節の段差を前にしたのか
 ....
若い女性に人気があるクレープを
男子高校生たちは売ろうと決意した

クレープは売る前に
クレープは包むものだ

経営観は強気の攻め一本
結果については勝つか負けるか
の二分法
若気の ....
娘が幼稚園に入るまでに
通園バッグを縫わなければならなくなった 我が家では
まず 寸法を測って キルト地などを裁っては

思わされる 間違って絶ってはいけないと。日本語があまり
得意ではない ....
ひとしきり 遊んだあとに娘は 
本へ目を落としていた私に 突然
これ はこ?と聞く。

本の入っていた段ボールの空き箱を指さして

ロシア・フォルマリズムから日本の
8月の自宅の居間へと ....
百年目の風船が飛んでゆく
百年目の風船は一つではない

それぞれには手紙と花の種が結わえられ
それからヘリウムと
教会の創立百周年なので
天への思いが詰まっている

風船は一つだけでは ....
夜が明けきらぬうちに
息で曇ったメガネを通して
見える街灯の明かりは 屈折して
一つ一つが
完全な円形の虹のようだ。

こんな時 寝床では まだ
おそらく 多くの人がもぐったまま
それ ....
その時
百日紅は花を咲かせて
夏になったことを教えてくれたけれども
夏が終わったかどうかには関心がないらしいので
花を咲かせたままであった

今がその時だと 秋の虫は
ギーギー ギーギー ....
ヒトはトリに憧れるが
トリはヒトのことを相手にすることなど断じてないだろう
ヒトは見上げ トリが舞う空に向けて想うのだ 例えば

 A picture ---この言葉を唇に乗せるヒトは、
  ....
サピア氏とウォーフ氏の眼前で
サピア氏とウォーフ氏が見ている世界と
私の見ている世界は異なる。

サピア氏とウォーフ氏の眼前で
例えば「ザラメ雪」を
常夏の異国の言葉へと訳そうとしているか ....
秋になると 空を歌う詩を書きたいと思う。
私たちは皆 秋空の下に定義される
と今年も思う。

淡い水色に澄み切ってどこまでも広がり 
幼い頃 故郷の山へ例えばアケビ取りに出かけた
記憶にま ....
ここ数年は蒼いのだが
透き通った対流圏では
疲弊した天井から ぼとり

ボルトが
抜け落ちていく

から

鉄道はどっしりと動かず
悲鳴とギザギザの電流の
漏れてくる偽装された天 ....
--- 誰もあなたに助言したり手助けしたりすることはできません、誰も。ただ一つの手段があるきりです。自らの内へお入りなさい。リルケ

 読むにせよ書くにせよ詩には詩固有のわかりにくさがある。わかり ....
家の中では序列が決まっていて
お母さんが最初で次が君 そしてやっとお父さん
君が起きてくると休日でソファーに寝転がっている
父親の顔めがけて猫パンチをお見舞いするのが
挨拶代わり

「こら ....
だいぶ昔に読んだのだけれど
北杜夫はトニオとともに
市民と詩人の問題をそのままに受け止めてしまった
マンは対立命題のつもりだったらしいけど

そんな北杜夫が好きだったと言っていいかな
もち ....
そう コミュニケーションをとるために人は
言葉以外のものに多くを依存していると
大学の頃に聞きかじった

それでも人は詩を書こうとする
言葉を使って
言葉しか使わずに

詩は言葉だ
 ....
父の日は毎年やって来る。
梅雨のこの時期には気分も じめじめとしてしまって
シャツでも送ろうと思っても
淹れたコーヒーをかき混ぜながら
サイズが分からないとひとりごちて
照れくささで熱くなっ ....
夏の盛りの日差しを受けたので
あの家の壁はあの人の肌のように白くなり
日陰がますます地面を焦がして
午後の家並みはきりりと彫が深くなり 
空はじりじりとしてあなたへの思いのように
もどかしい ....
高校生だったとき 詩を書きたいと思った
テストが終わって せいせいしたときに
その割に 「ゆらゆら」とかと
原稿用紙に書き殴った覚えがある。
山のふもとの小さな町で
自分が船に乗っているかの ....
N.K.(52)
タイトル カテゴリ Point 日付
好きなもの(2011年電子レンジでカレーを温める間に)自由詩1*11/7/21 22:38
花を植えるための文法レッスン自由詩7*11/4/1 23:56
「欲望と記憶、死と再生」のためのノート(批評祭乗りおくれ作品 ...散文(批評 ...3*11/3/28 23:43
その後で自由詩1*11/3/21 23:03
たったか駆けるのだったか自由詩4*11/3/8 21:29
クレープは包むものだ自由詩19*10/9/23 0:05
—縫い合わされるもの—自由詩6*10/9/7 21:16
箱入り猫娘自由詩6*10/8/6 2:20
百年目の風船自由詩3*10/7/2 22:05
朝の重量自由詩3*10/7/2 21:59
この世界の片隅のバランス オブ パワー自由詩5*09/10/4 1:14
トリに私は憧れる自由詩5*09/9/26 16:04
サピア氏とウォーフ氏との(間で)立ちすくむ自由詩2*09/3/31 2:26
秋空自由詩4*08/9/25 20:57
A bolt from the blue---「から」のシン ...自由詩1*08/8/23 3:53
「感性の論理」はどこからくるのか---詩の非論理的な領域を読 ...散文(批評 ...1*08/8/16 16:02
家庭内序列自由詩2*08/8/5 15:20
市民と詩人自由詩4*08/7/28 22:49
論争的な自由詩2+*08/7/27 4:32
父の日自由詩0*08/6/1 21:55
夏の恋自由詩4*07/8/15 1:18
At Sea自由詩4*07/8/7 18:08

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