君は本のページをめくって

{引用=ネイティヴ・アメリカンは
母なる大地が子をはらむ春になると
モカシンを脱いで
素足で
そっと大地を歩く}

そう君は読んでくれ
私は誤りがないこと ....
アロエはなかなか枯れない

独りで過ごす夏の朝に
アロエに水をやった瞬間
水玉が肉厚のアロエの葉の上を転がる

里帰りをしたあなたは
この透き通った朝の真珠に気づいているだろうか
戻っ ....
不惑など疾うに過ぎた初老の男にとって
忘れ物に気付いたことは
捜し出すべきものが
茫漠たるサハラやゴビの砂粒の中に埋もれた
小さなダイヤモンドの様に思えた

とりあえず砂漠をイメージしてみ ....
忘れ物をした
こんな歳になって
そう気付いた

忘れてしまった
像は
砂漠の陰影

丘の影

陰に目を凝らして
木も見えず森も見ず

紋切り型さえ形も結ばない

砂漠は砂 ....
栽培キットに水をやる
夏がまた巡る

一昨年は朝顔
去年はミニトマト
今年はホウセンカ

今日三つ花をつけた

鳳仙花
紅い花

今年もそろそろ花が咲くと娘を呼ぶ

鳳仙花 ....
左右

右なのか左なのかと言えば
娘の通信簿の○は 右に寄っている

よくできる できる もう少し
           ○
           ○
           ○
   ....
 今年も春が巡ってくる。年度替わりの時期でもある。一つの区切りではあるので、年度を振り返ろうとしたら、ここ数年の振り返りとなり、出版された詩集を数多く読んできたわけではないと不勉強さに気づく。それでも .... キックオフの笛が鳴って

碧い芝生の中に疾走するペガサスを見た
紺碧の空のフィールドに
雲のディフェンスは道を空ける

ペガサスはボールを携えて空を駆け
インゴールへと舞い降りる
砂の ....
去年は勤労感謝の日だった
今年は勤労感謝の日を土曜に控えた週の
日曜日だったので
特に勤労を意識はしなかったが
去年は競技場に行くまでに迷ったから
今年は入口まで迷わず行けてよかった

 ....
実際に会ったことはないけれど
パソコンの画面の中であなたは
相手をとても思いやる方でした

一年が経ちます
あなたの思いやりに触れらませんでした
自分は思いやりに欠けるようになりました
 ....
バベルの塔の話ばかり考えていた
  {引用=「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされないようにしよう」}

いまでもバベルの塔の話を考える
  {引用=こういう ....
一年が終わる。
一年生が終わる。
二年生が終わる。
三年生が終わる。

ここまで書いたノートを見せてくれたから
詩が書きたいの? と聞いたら
君はこくんと頷いた

そうか それなら  ....
巷にはイルミネーションが輝いて
こぐま座流星群も今夜が見頃で
天体望遠鏡はクリスマスまでの分は完売です
今年のクリスマスには涙するな
あのプラネタリウム番組は東北の子どもたちにも
移動プラネ ....
息が上がる
罰ゲームのように選手になった
中学の時の駅伝大会の思い出が甦る
襷は受け渡されていた
持久走は苦手だったが
途中で放り出すわけにはいかなかった

息が上がる
今日襷は受け渡 ....
妻も娘もついて来ない
今日はラグビー観戦なのだ
  (念のため誘ってはみたけれど
   妻は乗り気ではなく
   娘も妻と過ごすというのだ)

今日は生憎の天気だけれども
霧の香の青い芝 ....
朝、職場の一日の初めに同僚たちが
コーヒーを啜っている一角には
充填しそこなった活力が
辺りに漂い出している

それに与りたいと
自分もカップにコーヒーを注ぐ
一日の仕事をやっつけるため ....
一世代前の良い思い出を追って
家族で映画を見に行った日
子ども向けの映画の中では
キャラクターたちが絵本の世界へ行ったから
ママは世界に行ったと娘が言い出す
帰る途中に買い物をする妻を待って ....
話が尽きたので口を噤んだのではないのです
呼びかけるべきもののために口を閉じたのです
話を中途で止めて口を噤んだのではないのです
これからむしろ新たに始めたいのです
話が取りとめもなくなったの ....
夏と秋の間に線が引かれる
夏の空気と秋の空気が入れ替わったのだと言う

若い頃に
紙に縦線を引いて
左側にはできたことと
右側にはできなかったことを
書き出す男の話に夢中になった

 ....
 ここ1年余り、自分は沈黙について思いを巡らさざるを得なかった。端的に言って震災によって亡くなられた方々を直接の被害が軽微であった場所から安易に話すことに抵抗を覚えたからだ。「語りえぬものについては人 .... 夕食前に
好きなウィンナーでもいい
好きそうで好きではないチョコバナナでもいい
夏だからアイスがいいのか
まず最初に7本 さらに2本食べることになっている

ぜんぶでいくつ?

夕食前 ....
長いこと
夜空を見上げることなど
無くなっていたから
見上げても
夜空に当て嵌める言葉は
浮かばなかった

街が煌めくのだから
夜空は暗闇にしか見えなかった
私には
煌めく街は だ ....
住む街を一つの花に譬えた詩を知っている
それほどに花は愛されて
ましてや桜の花が咲き始めたと聞くならば
それは国の象徴(しるし)だとさえ言われている
ところから
その花弁は舞い風に乗る
淡 ....
例えばさっき君がくしゃくしゃに丸めた書道作品の返却物は
それは確かにいまここに在るのだが
それは一体誰のものなのかと
問いを立ててみようじゃないか

君にとっては持ち帰るのが面倒くさいものと ....
真っすぐに投げ入れられた測錘――
それが判断であるなら
縦であろうと横であろうと
無方向でも
その力積が真っすぐでありさえすれば
縦となり緯は定まる
驚嘆すべきほどの前判断がその位置を得て ....
朝 いつも降りる駅の
一つ前の駅で 
朝急ぐ人たちばかりで
ロータリーの八重桜は 
ほとんど返り見られることがない

駅の跨線橋を
見上げながら歩いてくる顔は
八重桜を背にしながら
 ....
少しだけ昔のこと
日本は鉄腕アトムと手を携えて
まるで一体だった
今ではその肝心の心臓が病んでしまったようだ
科学に憧れた日本のダイナモは
脈打つリズムに変調をきたしている

鉄腕アトム ....
千年の紀憂の後
青天の霹靂
四月--最も残酷な月を経て
「日常」のここかしこにぽっかりと穴が開く
 ....
人の嫌がることはするな
と幼い君に言ってきたつもりだけど

君の大切な髪留めを取って逃げてしまった
君のいとこの困った赤ちゃんを捕まえて
とにかく髪留めを取り戻し
代わりの物をあげて済まそ ....
また空の底が抜けたから
3日間もバケツでぶちまけられるほどの
雨が続いて
大地に龍の輪郭を浮だたせてしまった

輪郭はうねり
橋や田や実りのはずだったところを
凝らされた丹精を
精力剤 ....
N.K.(52)
タイトル カテゴリ Point 日付
君は本のページをめくって自由詩216/8/18 23:18
独りで過ごす夏の朝に自由詩215/8/26 1:40
心まかせに自由詩5*15/5/5 0:30
忘れ物自由詩2*15/5/4 0:16
鳳仙花自由詩4*14/7/29 22:38
左右自由詩4*14/7/23 21:40
【HHM2参加作品】「沈黙」を聞き、「いま」を読む — 縞田 ...散文(批評 ...3*14/3/24 20:56
トライ自由詩7*14/1/4 11:42
ラグビー観戦Ⅱ自由詩1*13/11/25 23:09
標準時自由詩4*13/10/22 22:58
純粋言語自由詩2*13/5/4 21:30
詩が書きたいの?と聞いたら君はこくんと頷いた自由詩11*13/2/28 22:32
今年のクリスマスには自由詩2*12/12/22 21:25
持久走による世界の捕え直しのためのエスキース(習作)自由詩3*12/12/11 23:18
ラグビー観戦による世界の捕え直しのためのエスキース(習作)自由詩2*12/11/25 16:25
コーヒーによる世界の捕え直しのためのエスキース(習作)[group]自由詩8*12/11/13 22:18
世界を問い直すためのエスキース(習作)1自由詩5*12/11/3 19:07
祈りで石が叫び出す前に自由詩2*12/10/31 22:44
バビロン再訪自由詩3*12/10/22 22:25
「沈黙」についてのノート--ヴィトゲンシュタイン、G.スタイ ...散文(批評 ...3*12/8/10 12:32
足し算---a hidden curriculum befo ...自由詩6*12/8/3 2:39
「朧月(おぼろづき)」自由詩5*12/3/30 22:27
一輪の桜の花が咲いた日に自由詩4*12/3/21 21:17
丸めた紙くずの存在論自由詩3*12/3/15 21:40
測錘(おもり)が投げ入れられたならば自由詩9*12/2/11 22:55
八重桜を真理だと仮定して自由詩7*11/11/6 7:30
2011年8月日本ではないアジアにて鉄腕アトムを弔う自由詩7*11/10/26 23:40
キャッチボール自由詩3*11/10/5 20:26
幼い君に教わったこと自由詩4*11/8/17 20:14
2011年の夏に--- An Old Lady And th ...自由詩2*11/7/30 21:50

Home 次へ
1 2 
0.1sec.