秋空
N.K.

秋になると 空を歌う詩を書きたいと思う。
私たちは皆 秋空の下に定義される
と今年も思う。

淡い水色に澄み切ってどこまでも広がり 
幼い頃 故郷の山へ例えばアケビ取りに出かけた
記憶にまでとどく
あの高い空の下に
幼子の寝顔を見るたびに 胸に静かに広がる未来への小さな
希望から始まる
この窓の外の空の下に

同じ空の下にあるものとして

昔 詩人が歌った孤独として
昔から 川辺で肩を寄せ合う恋人たちとして
世話をした人々のそれぞれの思いで実った
果物刈りへと繰り出した
子ども連れとして
連れられて 成長を喜ばれる 子どもたちとして
今年の 米の出来に一喜一憂する 農夫/農婦として
いままでの 人生の思い出を 拾い集めるように
これから 木の葉狩りへ向かうかもしれない 老夫婦として

孤独も恋人たちも家族も等しく
記憶も思いも願いも等しく
過去も現在も未来も等しく

この空の下に
あの空の下に
同じ秋の空の下に


自由詩 秋空 Copyright N.K. 2008-09-25 20:57:14
notebook Home 戻る  過去 未来