探し物のように夢のゆくえを手探った。
壊れ物のように僕はそれを大事に握った。

―――自分の弱さも知らない僕を君は黙って見つめていた。

昔の影に捕まった。
影踏み鬼は代わらなかった。
 ....
誰も本当の僕を知らない。
だって僕にも分からない。
仮面の数を数えよう。色とりどりの笑顔の形。
鏡に映る自分さえ誰かの影を真似しているんだ。
開けても開けても同じ中身の人形みたいに、
かぶっ ....
塞がりかけた傷を抉るように不幸は連なりやってくる。
痂の剥がれた傷は更に深く赤くなる。
いっそ殺してと叫んでも呼吸は乱れながらも正常で。
死神の気配は有りもしない。人生を離脱したいのに。
投げ ....
耳に入った雑言をまとめて返す力に長けても
何も無い虚空から世界を創ることは出来ない
ほころびかけた既存の台詞は深い味を出し切って
今は舌を通る音だけで足りたような演技をしている
知らないことを ....
神さまに与えられた特別な権利を持て余しながら、
風に身を任せ流れるままに言葉を紡ぐ。
星の瞬きを数えながら隣にいれた日々を、
今でも僕は忘れちゃいないよ。

あっという間の太陽は子供の時代を ....
誰もいない月の下
息を潜めて
泣きだす声をかみ殺す

遠く聞こえる喧騒を
無関心にやりすごして
夜の街にひとり迷う

君はどこにいる?
僕はどこにいる?
帰る場所が無いんだ

 ....
知らないから触れてみたいと思う。
分からないから知ってみたいとそう思う。
感じたことのない痛みを、まだ知らぬ絶望を、
どうしようもなく味わってみたい時がある。
渦中の自分は肩幅ほどの範 ....
君の目蓋が開く頃、僕は水に還るだろう。
そうして君の喉を潤し生きるための糧となりたい。

君が誰かの名前を呼ぶ頃、僕は雲となって漂うだろう。
そうして厳しい日差しから柔い肌を守りたい。

 ....
孤独だ、と言えるうちは
本当の一人ではないのだと
今更のように 知りました
孤独だ、という認識は
一人ではない時が在る
という前提のもと成り立っていて
今 この部屋に一人分の質量しか
な ....
彼女はカナリア。歌う鳥。
美しい声で森を奏で自由に空を舞うという。
私は歌を忘れた詩人。
情けないがもはや音を紡ぐ声も出ない。

どこから聞こえる旋律に溜息の拍手を送る日々。
 ....
夢のなかでは昨日のつづきが喉を伝い落ちていく。
今日の雫をのみこんであたしは明日へ染まっていく。


朝。しあわせの鐘を鳴らした目ざめ。
まぶしい黄金の光たちがあらたな日づけを告げている。
 ....
強く望むほどの夢でもなく、
むしろその遠さに眩暈がしてしまいそうな、
そんな他人から見たら儚い夢物語。
必死に追いかける僕は浅はかなのかな?

「言葉だけですべてを伝える」

情景を眼前 ....
暗い部屋が淋しくてスイッチ入れれば、光は溢れるし音は流れる。
ボタン1つで沢山のコトが出来るようになったね。
便利な時代なんだと子供の僕でも分かるけど、
失うモノの多さに比べたら小さすぎる進歩だ ....
真昼の空を仰ぐ。星はどこにもないけれど、
見えないだけで本当はそこら中に溢れているんだ。
どんなに視力を上げたって見つからない、
高性能な望遠鏡もどんなレンズも役に立たない。
君には聞こえるか ....
あなたの肌に指を這わせた。
僅かに色の違ったそれらは交わること無く重なった。
私の肌に指を這わせた。
同じ色であるはずなのに私は私と交わらなかった。
薄皮一枚に包まれた今にも零れそうな中身。
 ....
好きだけど、
好きでも、
好きだから、

君には嘘を吐いてしまう。
散らばる千の欠けらには不必要なものなど一つも無くて。
似たような形をしていても同じものなど一つも無い。

散らばる千の僕たちは確かな自分が分からなくて。
似たような姿を見つけては簡単に自分を見 ....
パパ、ママ、あたし、弟。どこにでもありそうな構成。
それぞれの役割を演じながら赤い繋がりを営む。
大人の真似をしたがる友達の中で、あたしだけが、そのまま子供でいたがった。
好き放題に我儘言ってあ ....
人の角度から自分を見る。可笑しくって少し直す。
鏡よりも他人を見ている。必要なのは真実さえも覆う表皮。
日記を書く日が減った。飛び飛びになる記憶と言葉。
手を繋ぐことが無くなった。今は離れ ....
ほんの少し口元緩めて、気を抜いて、喋っていたら、

心を傷付けそうな凶器をあなたに向かって放っていました。
あたしが死んで50年経ったら、


あたしの言葉を勝手に使ってくれる人がいたらいいと思う。
もしも貴方の気持ちをつなぎとめることが出来るなら、
粘着テープでもチューイングガムにでもなってやる。
もしも貴方の見えない世界に連れて行かれるなら、
何万年でも根を張って、てこでも絶対動かない。 ....
息まで凍りそうな冷たい冬。
赤が覗くささくれ。傷付けるのは楽しいですか?
突き刺さるような冷たさが温もりあるものすべてを苛む。
真っ白な雪がきれいなのだと人は言うけど、
あたしは怖いの ....
狭い路地裏、鈍行で走るお婆さん。追い抜かしたら悲しい顔した。
すれ違いざま、当たった肩を謝らない。袖より縁を感じるけど。
朝の10時、制服のまま駆け出そうとも、
誰も止めない、見向きもしな ....
ほんの束の間、意識から手を離したら――――






ブラックアウト。






感覚が届く範囲を越えて掌から零れ堕ちていく。
あの日見た光景が光の速さで僕を擦り抜け ....
誰も居ない街、ひとりきりで。
闇に呑まれる影を見ている。
冷たい瓦礫の底に埋もれて、
太陽は今日もどこかに沈んでゆく。

閉じれぬ目蓋は孤影を映す。
絡まるような細い糸を、かわし ....
君は 跳んでく 月の向こう側
僕は 見上げる 届かぬ星を
歌を忘れて迷い込んだ
音のない森 僕はひとりで
うやむやな影した 木々は眠って
湖に映る 三日月は 君の影を映さない
 ....
真っ黒くて大きな影。
じっとこっちを見ている。
零れる涙。
君の瞳が濡れていく。
広いくさはらの真ん中で、
幼い影は二人ぼっち。
木々が擦れるざわめきが、
獣の呻き声に聞こえてきて、
 ....
追い詰められているのは分かっている。
足りない機転をきかしてそれをどう切り抜けるか。
気付いているのは皮をめくって最初に見える虚実だけだから。
分かった振りをしてみたって理解には到底程遠い。
 ....
磔みたいに動かぬ石は自分の形を忘れていない。
射殺すような光と熱が身体を焼く。
焦げ付く髪と汗ばむ手の平。遠くに見える蜃気楼。
僕から伸びる黒い影は夜にも似ている闇のようで。
呑み込ま ....
東雲 李葉(183)
タイトル カテゴリ Point 日付
『鏡』自由詩1*08/3/5 14:58
『マトリョーシカ』自由詩0*08/3/5 14:57
[生命線]自由詩008/2/25 23:49
[砂嵐]自由詩1*08/1/20 3:16
『かくれんぼ』自由詩1*08/1/10 3:02
『冷たい夜』自由詩008/1/10 2:59
[いたみ]自由詩008/1/10 2:40
『蘇生』自由詩1*08/1/4 12:05
[孤独の算式]自由詩008/1/4 0:04
[カナリア]自由詩1*07/12/17 0:44
『Purgatory』自由詩007/12/10 0:17
『Lighter Righter Writer』自由詩007/12/9 3:15
『スイッチ』自由詩1*07/12/9 2:58
『真昼の星』自由詩007/12/5 23:09
『肌色』自由詩007/12/3 13:24
[嘘]自由詩007/12/3 13:19
[piece]自由詩007/12/3 13:13
『ままごと』自由詩007/10/26 15:14
[18歳]自由詩1*07/10/23 15:23
[会話]自由詩007/10/23 15:17
[著作権]自由詩1*07/10/23 15:15
[カメレオン]自由詩2*07/10/9 21:20
『氷点』自由詩007/10/8 23:08
[無関心≠無言]自由詩1*07/10/8 23:04
『ブラックアウト』自由詩007/10/5 21:14
『深海魚』自由詩2*07/10/1 0:04
『夜想曲』自由詩2*07/9/30 23:56
『小夜曲』自由詩3*07/9/27 10:17
『ピノキオ』自由詩007/9/10 14:24
『盆』自由詩1*07/9/7 10:08

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