山が恋しいのは情にほだされただけだと思っていた。見飽きたはずの雪の白を目を細めて慈しむ。
点々まばらな家々にさえ旅愁を覚え駅名にこの地の由来を尋ねる。
懐かしさはどこから来るのか。
山脈がどこま ....
久々に暮らす父と母は私が思っていたよりも老いていて。私が思っているよりも近い位置でカウントダウンを聞く心地だ。
父はもう私を打たないし怒りもしない。ただにこにこにかにか馬鹿みたいに笑ってる。
それ ....
ぬるま湯を飲む時はお湯に水を混ぜる子でした。
横縞のモノクロを縦縞にして着たがる子でした。
今よりもっと冷夏の目で見つめていた昆虫の祈りは、
今ではもっと寒冷の手で乾いた死骸を潰します。

 ....
きっと誰しもの心にねこはいる。
ふ、とそのやわらかい毛並みに触れることがあるだろう。
ふ、とひらがなではなしをしたくなることがあるだろう。

きっと誰しもがねこになりたい。
ねこはあなたを見 ....
梅雨入りが近いそうだと話しながら、
始まりはどうしてか背景から。
君の背には迫る波より漂う波。
人影に空いた真白には今はさみしさを埋めている。


机の荒れた表面が直角に日差しを反射する。 ....
枯れた葉っぱのこすれるおとは雨のおとに似ている
かわいているのにぬれたおと
ざざあざざあ、ざあざあ、ざあざあ
もう袖をのばさないと指先ひえて
じぶんの温度もわかんなくなる

おひるまにも見 ....
肌色の修正液があったなら君の写真に塗りたくるだろう。
思春期を迎えに来てるぽっかり開いた大人への入口。
制服の上でしか知らない君の身体を想像しながら創造するのさ。
知らないでくれよこんな痴態を。 ....
君の寝顔を見ていたら自分の子供を思い出したんだ。
まだ誰も知らない暗がりの奥の奥の底の底。
生まれる日を知らない卵のぶ厚い殻の内の内から。
私を呼ぶ声が聞こえたの。私はあなたにあなたに選ばれたの ....
化石になったら隠れよう 琥珀になったら閉じこもろう
みずみずしい生き方だったね
まるで魚のような鱗はないけど
剥がしても剥がしても人になんてなれないから

何万年経ってもまだ地球の話をしてば ....
ここに今日しかない風景
いつまでも同じじゃないあなたと私
田んぼに張られた水面の見方を少し変えてみれば
流れる雲の切れ間からわずかばかりの青い空
徐々に徐々に赤らんでやがてやがて黒ずんで
一 ....
早朝四時に哲学をする。
窓の外はまだ暗い。
夜と朝の過渡の時間。
現在地。

哲学とは何ぞや。
らいおんがそんなことを考える、
(梢という言葉を初めて聞いた)
そんな話を小学生のとき読 ....
●中二病。

ナイフに憧れた中学時代 刺したい奴は一人だけだった


●今は逆をよくやる。

変の字を何度となく書き損ずる 憂鬱なため息おもいにきび
●都会にて。

星の少なさを嘆くほど私は詩人じゃないですし


●お手軽な「会いたい」理由。

さびしい と いう言葉の贅沢さ 応えてもらえぬ私は浅はか


●マグネシウムの不 ....
●素肌かりかり。

切ったばかりの爪で君の背中をかき抱く


●そういえば糸。

抱き締める 絡む腕は糸か鎖か


●濃いのかしら。恋なのかしら。

アルコール 耳の奥で心 ....
昔のことを思い出しました。

祖母の家の冷たい部屋の片隅で母のお古の絵本を読んでいました。
弟はまだいなかった頃のように思います。
大人たちの愛情は私にだけ注がれていたはずでしたが私はいつも一 ....
君はいつも洗い立てのシャツを着て清潔で柔らかな香りを漂わせて。
君のお家が温かく幸せなことを振り撒いている。
君が僕の家に来ると僕らそれしかないから硬いベッドに眠るばかりで。
何にもない何にもな ....
それは、
自らするものではなく、
自ずと気がつくものであり、
自然と落ちるものである。
そう聞いたことがあった。

ときめきという言葉は、
例えば生きたものを触ったときとか。
新しい玩 ....
今何歳だっけ。
今は平成何年だっけ。
今日は何月だっけ。
約束は何日だったっけ。

何でもいいか。もういいか。

家族って最後の砦だと思います。
そこに帰れない私は崖っぷちですね。
 ....
君と暮らす。
寝起き髪を梳き。
まどろむ10分。

君と暮らす。
欠伸の数を数えて。
駅まで歩く20分。

君と暮らす。
曇るナイフを引いた。
食事する間の30分。

君と暮ら ....
{引用=小さな風はどうしたの 鈴虫さんに道聞いて 迷子になってしまったの}


お母さんが歌ってくれたその唄にはいつも続きがなかった。
子供の風がどうなってしまったのか誰にも分からない。

 ....
溺れる。
溺れている。

 ペットボトルの海に溺れる。
 水を喉に下す。束の間呼吸を犠牲にしながら。
 口を離して喘ぐように息を吸う。
 酸素を求めるはやい心臓。
 それは君と同じだから ....
この街の駅前
待ちわび続けた冷たい犬

この街の雑踏
白い杖から遠ざかるハイヒール

この街の店頭
量産型の安い文句

この街の食事
薄い酒で流し込むレトルト


プレートが ....
転んだらなかなか立ち上がれない時代のようです。
しかし転んでも立ち上がり歩きだすのが人間です。

そこがアスファルトの上ならばいつまでも横たわっていられない。
だけどそれが草原ならもう少しあと ....
花首が散らばる。二人の間を埋めるよに。

くすんだ紅を熱心に切り取る君の手は、
不気味なほど白く澄んで。
落ちた首たちにぞんざいに指を食い込ませる。
それがまた絞め殺すような手つきにも似て。 ....
多少の不自由こそあれどそれなりに充実して過ごし。
面倒なことは投げ出して、逃げ続けようどこまでも。
平均台でバランス取ったら中心線からよれないようにぶれないように。
そんな風に過ごしていって大体 ....
色とりどりの洗濯物が風にたなびき揺れている。
風の通り道。白い壁に囲まれた路地裏を駆け抜けて。
視界の端の景色を過ぎ去り私は小高い丘へ出る。

そこからの眺めといったら!

空の高さと海の ....
あたしが電脳世界に溺れていって
あなたが現実世界に浮いていって
同じ進数を歩めなくても

構わないよ
ないよ

あたしが積み上げたブロックに
あなたは別の意味を見いだして
同じ遊びを ....
暗い海底に光が射す時間
窓の外、さえずりが近く聞こえる
不愉快な目やにをこすり落として
バイクの音を少し早い目覚まし代わりにでも
同じ歌ばかりを繰り返すコンポ
聞こえていない振りをしなくても ....
どこにでも行けるんだよ
お金はあまりないけれど
どこにでも行けるんだよ
足はちゃんとついてんだ
どこにでも行けるんだよ
あんまりばかにするなよ
なんだって出来るんだよ
お金はあまりないけ ....
芽の出ない種に水をやる
花が咲かない鉢を見下ろす
隣の芝は相変わらず青々茂っているけど
繰り返すことで報われるならどんなにいいだろう
腐らずに走り切れる人はすごいねと
褒められたのはまだ歩み ....
東雲 李葉(183)
タイトル カテゴリ Point 日付
故郷自由詩014/3/22 10:59
[24歳]自由詩1+14/3/3 22:25
[逆さ水]自由詩513/11/26 14:09
地球上のすべてのねこへ自由詩413/11/1 0:25
[Drawing]自由詩113/1/31 21:37
[あきめくら]自由詩212/10/22 19:51
『肌色の修正液』自由詩012/7/25 12:48
[寝顔]自由詩112/6/19 13:39
『アンモナイト』自由詩4*12/5/22 19:01
[今日に馳せる]自由詩3*12/5/10 18:08
[てつがくする]自由詩4*12/3/21 5:37
[中学生]短歌012/3/15 2:27
近況を。短歌012/3/6 15:46
俳句1*12/3/6 15:39
[雪やこんこ]自由詩3*11/12/19 2:40
[君は幸せ]自由詩1*11/12/11 20:09
[初恋の日]自由詩3*11/10/30 17:24
[22歳]自由詩3*11/10/13 11:26
『君と暮らす』自由詩3*11/9/29 11:12
[小さな風]自由詩0*11/8/14 19:00
『ペットボトルの海に溺れる』自由詩2*11/7/20 1:33
[センター街で君と飲んだ日]自由詩1*11/6/19 21:24
[無題]自由詩011/6/7 4:00
『蛇と芍薬』自由詩1*11/5/17 10:58
[さとり世代]自由詩0*11/5/15 1:31
『帆翔』自由詩1*11/5/12 21:29
[二進法]自由詩1*11/4/23 21:22
[不眠の朝に]自由詩3*11/4/13 22:22
『愚か者』自由詩3*11/3/28 23:57
[芽なし種]自由詩0*11/3/28 14:50

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