『ブラックアウト』
東雲 李葉

ほんの束の間、意識から手を離したら――――






ブラックアウト。






感覚が届く範囲を越えて掌から零れ堕ちていく。
あの日見た光景が光の速さで僕を擦り抜け、
未来さえも貫いて深くて色濃い影を落とす。


素肌に触れる針の痛みも、
もう何も感じない。
もう何も怖くない。


ほんの束の間、意識から足を浮かせれば、
視界に満ちる深い闇。
意識が何処かへ飛んでいく――――


あの日の声が、匂いが、感触が、
弱い心を支配する。芯から僕を飲み込んでいく。


あの日   突然   ぶつり、と世界が途切れて――――










ブラックアウト――−−−---










あの日あの時、僕らの未来は崩れ始めた。


自由詩 『ブラックアウト』 Copyright 東雲 李葉 2007-10-05 21:14:44
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