[無関心≠無言]
東雲 李葉

狭い路地裏、鈍行で走るお婆さん。追い抜かしたら悲しい顔した。
すれ違いざま、当たった肩を謝らない。袖より縁を感じるけど。
朝の10時、制服のまま駆け出そうとも、
誰も止めない、見向きもしない。お巡りさん僕は学校抜け出しました!
大人は何を見ているのですか?子供には何にも分かりません。
先生僕は学校をサボりました。どうして何にも言わないのですか?

アイツは煙草を吸っています!
―――いいよ、刺されたらヤダし。

万引き現場をこの目で見ました!
―――はいはい、あとで叱っておくからね。

大人は子供の何を見ていますか?
数字の上の報告だけであなた方は満足ですか?

テーブルの上の預金通帳。「学費だから使いなさい」って、
もっと他に関わるところがあるでしょう?
ドアの向こう、子供がいたからどうだと争う声。
最近じゃ耳を塞がなくても聞こえない。

干渉されたくはないけれどたまには深入りしてほしい。
誰も入ってこないから誰も入れたくなくなっちゃうんだ。
すれ違ったお婆さん。本当はごめんって言うべきだった。
肩が当たった高校生。顔見て話し掛ければよかった。
声にしたくても言葉が出ないよ。
ああ、だんだん大人に似てきたのかな。必要以上に関わりたくない。

追い抜かしても何も言えない。
悪事を知ってもダメだと言わない。
ぶつかってもごめんと言えない。
知っていたって何にも言わない。

違う、何にも興味が無いんじゃなくて、無関心なんじゃなくて。
もっと言いたいことがあるのに言葉が出ない、何も言えない…。


自由詩 [無関心≠無言] Copyright 東雲 李葉 2007-10-08 23:04:40
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