切り絵(題材)
「少女」
ただ真っ白い紙でした 私たち
切り絵師 ....
『遅くに帰ると危ないよ』って
心配してくれて嬉しかったの
『ご飯たべた?』って
誘ってくれて嬉 ....
引き寄せた時の腕のつよさと
髪を撫でる繊細な指の動き
いまも代え難いもののように
夢にまでみる ....
移り行く季節
変わらない君の笑顔
どこかに置き忘れた
金色の鍵一つ
開けられないドアの
....
日は{ルビ翳=かげ}り
見上げた月は幾分か{ルビ朧=おぼろ}で
乳白色の湯船から浮き上がる手は
....
海辺で 少年と 会った
少し 会話をした 少年は はにかんだ
笑顔を 浮かべた
遠く かす ....
ぼくの肩に乗るピパは
足が一本かけている
だが ときおり
大声で泣くほかは
そこ等の蛙と大差 ....
誰とも分からぬ手を取って
淡く土を開いてゆく
群の匂いは 偽って春
繋いだ指先から ....
朝はすべてに平等なのか、という問いに首を横にふる。
世界はひとつなのか、答えられない。
....
互い違いの所謂握手
握り損ねてわきわきと
沈める電気を掠め喰らいて
からてを合わせてヒシと
....
僕の携帯にメールが届くのは珍しい方だ。
今日は知ってまだ間もない後輩から好意の一杯つまったメールを ....
いきなりは そこへ いけない
まよいながら ふみはずしつつ
やりそこなって とおくはずれ
ふん ....
賢い選択は
洗濯機での洗濯
どうせバカなので
賢い人のマネでもしようと
辺りを見回すけれど
....
寒い北風が吹いて
暖かくないことに
少しだけ感謝する
もし暖かいのなら
この気持ちの代理 ....
回転ドアからそとへ
出ようとしたのは
さっきまでの
ためいき
いまにも降りだしそう
き ....
卒業写真には 彼は 左上で
蝋人形みたいな 無垢な顔で
佇んでた。
彼の おとうさんに ....
( あさ )
おきてかおをあらってかがみをみて
「きょうも1にちがんばろう
できのい ....
まんまるな まるで天使みたいな笑顔で
写真なんかに 納まりきれない 歓喜というか
「ありがと ....
「やい、蛸」元宮のこの一声で蛸は目覚めた。
不機嫌そうに目を開き、黄色い眼球をぎょろぎょろと動かし ....
鏡の向こうは不思議な世界
何もかもがアベコベで
何もかもがヘンテコリン
引いても開かない引 ....
帰りのバスの中、隣に座った後輩とこんな話をした。
「いや、やっぱり知り合いと友人の区別ってあります ....
生が静かに奪われる季節は
いつのまにやら飛んでった
透明な幽霊は嘆いたままで
どこへも続か ....
黒をはじいた誘蛾灯のような自販機
寄り添う僕と
きみが唇を寄せる缶コーヒー
....
狭い部屋でずっと暮らしてきました
誰も受け入れないように
皆は僕を傷付けようとしてきます
冷た ....
ミヒャエル・ゾーヴァをご存知であろうか。
彼は私の好きな画家の一人で、絵本の挿絵なども手がけてい ....
光に向かい
深くうなづき
閉じた瞳の匂いを嗅ぐ
降る雪を見つめ 招き入 ....
白日の世界に跪くわたしに
昏々と降り注ぐ言の葉は
もう
何も見なくてすむようにと
眩く光る
....
白い粒が視界を埋める
朱の浸食が終わり
黒の支配が始まる
茶色の世界を白く染めあげ ....
今この瞬間
この世界を壊してしまいたい
明日の自分
今日の自分
昨日の自分
....
(手段より)
ある法師は戒律が欲しかった
ある学者は定律が欲しかった
ある農夫は鍬と鋤とが欲し ....
まだ建って間もないモスに
老婆がひとり
手鏡を片手に
泣いていた
晴れすぎた空に
あな ....
「ショクヨウガエル」という物悲しい名前の蛙がいる
まるで人間に食べられるためだけに生まれてきた ....
わたしが 骨壺に なったとき 全ては 赦される ノデショウカ ちいさな 骨壺の中で 繰り返し おもい ....
ふと気が付き
腕時計を見ると
もう5時
公園で無邪気に遊んでいた子供たちは
....
空はしろでした
捨て場のないしろ 冬の朝
どうも空の手すりに手が届かないのです
時の音は軽 ....
アルコールと 朝が
溶けあって 光って
カーテンです
そこへ向かう ....
月明かりゆらゆらゆれて
シーツの波間に埋もれた私は
うっすら舟をこぎながら
....
学校なんて
クソ食らえと
逃げ出すように飛び出した。
明るい太陽は
俺を
....
(喪失の物語)
毎日 ....
胸を騒がすのは
怖いほど
胸を騒がせるのは
誰?
不安で脳髄が破壊される ....
あおくあおく青く
ひろがるそらのひとすじ
やまないせみのひと鳴き
ころがるみらいを死骸 ....
ごはん、にゃあ
ごはん、るるる、にゃあ
太陽の下、しっぽだらりとなっている、たぶん
春に浮かさ ....
叙情の彼方を探るように この岸辺にて
翼を休めるものよ 優しげな日差しと
聞こえ来る 春の訪れを ....
月の予感に空を見る
私の水が粉と舞う
遠くの人家の吠え声が
空の緑に波を ....
一瞬にして
涙は
凍り ついた
天は好きなだけ
雪を
零す というのに
彼には
涙を
....
聖母のようになり尽くせたなら
もっと楽になれるのだろうか
醜い自分など知りたくはない
なの ....
カカオバターが 溶けて 溶けて
トロトロしてきたら
分離しないように定温でグルグルと混ぜていく
....
幸福のしょーこですね
ご飯たーくさん食べて
ぐすーり眠って
そしたら口 ....
教会の中の懺悔室で一人
夜を明かしたいと思っている
髭が茫々に伸びたオジイサン
右手には小銭を ....
たいようのしずくをあびている
みずいろのかぜ こころをゆらし
ぼくはひとり せかいのはらっぱで
....
目覚まし時計が始めるカウントダウン
止め忘れただけでルームメイトは暴発して
俺に向かって空砲を撃 ....
君は今、どこを歩いているのだろう
僕の「待って」という声も届いていない
君は今、どうして ....
「透明」という色を知っている
真実は色を重ねるほどに
現実へと置き換えられてゆくから ....
スカンクの プー太郎
御飯を頂きまして プー太郎
飼育員の呼びかけにも プー太郎 ....
真昼の月の白さ程
僕の心は精錬ではないのです
真昼の月の朧ほど
僕の仕草は控えめではないの ....
世の中には必ず上と下がある
上を見上げれば限りなく
下を見下ろせば意外に底が近い
空 ....
白い月と二羽の鳥
突風はもう止んだみたい
始終 あの{ルビ娘=こ}を思って日が沈み
....
誰にも見せたくない
自分の正体がある
自分だけが知っている自分
誰からも犯されない ....
真夜中にキスをした3時半
朝焼けはすぐそこまで来ている
痛む左腕で
さよならの合図 ....
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