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あるひきみは
ねむらないことにした
さみしくなったら
おいでよ
いつでもきみを
なぐさめてあげるから
と、いって
なぐさめられるりゆうなど
そのときぼくにはなかった ....
ちょうむすびも
おりがみもない
とおいところで
そのこはまだ
だれもしらない
てあそびしてる
おかあさんが
だれかもしらずに
つち
などではない
いのちなのだ
ひとすくいの
つちを
すくうために
きみはいのちに
きがづいた
やっとあらわれた
あらわれてくれたのだ
光芒が
父が死んだ時も見た
さぞ悔しかったことだろう
今日までここにいたのだ
まだいくわけにもいかなくて
今やっといけたのだ
....
花言葉が咲いている
まだ形も色も匂いもないのに
言葉が先に咲いている
なんという幸運
すれ違う人々の声も
花言葉のように咲いている
みんなそれぞれ
誰かの花なのかもしれない
....
わたしはしらない
あのひとの
いまを
タイムカードに
しるされる
ときのおとも
異常気象の年の冬
街に米が降った
街と言っても
そこはかつて
田んぼだったから
不思議なことではなかった
スコップで
米を側溝に流しながら
街の人々は言う
この降 ....
 
 
耳にイヤホンして
蛸が八本足で
街を歩いている
目をこすって
もう一度見たけれど
火星人ではなかった
公園の鳩も
イヤホンしてる
進化したのだろ ....
透明な飛行機が
滑走路を走ってる
滑走路も透明だから
そんな景色はないのだが
しかしこの今も
そんな景色が
どこかにあるように思える
離陸すると
飛行機は
もう走 ....
たんぼにたって
まっている
めをとじながら
まっている
いなほをざわめかせて
やってくる
かぜの
れっしゃを
ようじもないのに
ころがっていく
さかみちを
みかんが
さかみちの
はてのはてまで
それが
ようじであるかのように
真夜中の
高層ビルを写真に収めると
ワンフロアだけ
灯りが点いている
残業してる
君がまだ
一人だけそこにいる
+
掌に宇宙
君の掌にも宇宙がある
手をつなぐと ....
朝五時になれば
二階の廊下を軋ませて
起きていた
早起きの父が
祭壇の裏でまだ寝ている
ひさしぶりに
子吉川に
鯉釣りに連れていって
父に話しかけても
眠ったまま
....
もう解約したはずの
父のメールアドレスに
メールを送る
すぐに返事がくる
なんだ
やっぱり生きていたのだ
Delivery Status Notification (Fai ....
真夜中
帰宅すると
家の前に車が停まっていた
父さんだ
と信じて
走っていくと
みじかくパッシングして
行ってしまった
あれが
父だとは思わない
もういないことは
....
スルメイカの
矢印が
空を差している
私は
宇宙から
来たのだと
故郷の星へ
帰りたいのだと
立ちションしてたら
虹がでた
手のひらで
掴もうとした
おしっこが終わるまで
何度も何度も
隣の姉さんが
バス停を降りるのが見えた
高校生になっていた
おしっ ....
 
 
大家族から核家族へ
核家族から核個人へ
人は自由を求めて
分裂を繰り返してきた
原爆のように
大きなものを
小さな核が分裂して壊し
残ったのがこの街だ
....
ある真夏の日
万障繰り合わせの上
故郷の川で
友釣りを始めた
はじめに私を鼻に掛けて
流心に泳がせていく
すると懐かしい
あの顔とあの顔が
あの顔のまま針に掛かって
....
朝めざめると
あなたは哀しい
人の形をしていた
毎朝きまって
そうなのだとしても
本当のことは
けっして言わなかった
言葉にできないことや
したくないことを
たく ....
今日は
金曜日だったね
通りすがりの
人がいう
ふりかえると
そこには
金色の
金曜日が
あるのだった
繁華街が
眩しく
私の背中にも
反射している
....
愛のことばを
ささやきたいのに
君に微笑むこともできなくて
かなしみに暮れていく
そんな星がある
今は三日月になって
わらってる
こどもの服が
床に落ちている
拾うとわたしは
着たくなっている
こんなに小さな服に
おさまっていた
わたしが
詩を書くときは
人間を
あまり書かないほうがいい
どうしても
書かなければならない時は
人間の
うしろ姿を書くほうがいい
そしてその先にある
地平線にまだ
赤く燃 ....
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた
わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから
おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
....
透明な水槽に
きれいな水を満たしていく
やがて現れる一匹の魚を
妻と二人で待っている
数億と言われる精子は
あらかじめ神様が予想した
人の数かもしれない
水槽の向こう ....
高校を卒業して
家を飛び出してから
二十年になる
お盆と正月などには
申しわけなさそうに帰省してきたけれど
それぞれ五日ずつ滞在したとして
二十年かけても
わずか一年にさえ満た ....
いつか聞いた
オルゴールの音が
こんなにも懐かしく
わたしの島にもとどく
音階は等しく
何度でも
誰もいない浜辺に辿り着き
朝には朝の
昼には昼の
夕暮れには夕暮れに
染 ....
だれもいないものおきで
ほんをよむのがすきでした
だれもいないものおきで
わたしもいつかものとなり
おかれるものになるものと
おもってばかりおりました
そのいえで
く ....
海の向こうから
一両編成の
列車がやって来る
線路の上を
走り続けることを
あの日諦めてなければ
というような顔をしてるけど
僕はそのことについて
何一つ触れない
他 ....
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