オルゴール
小川 葉

 
いつか聞いた
オルゴールの音が
こんなにも懐かしく
わたしの島にもとどく

音階は等しく
何度でも
誰もいない浜辺に辿り着き
朝には朝の
昼には昼の
夕暮れには夕暮れに
染まる茜色の
ダイヤルを巻き戻す

星が眩しく
私を照らす
体を照らす瞬きと
同じ間合いで
オルゴールは鳴り続ける

いつからこの島にいたのだろう
窓の外
通り過ぎていく
最終列車の残響が
母が見ている
夢の中にも聞こえている
 


自由詩 オルゴール Copyright 小川 葉 2009-11-26 01:08:12
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