蒼いバケツ
草野春心



  灰色の老人が
  灰色の部屋に
  冬晴れの空より蒼い
  バケツを忘れていった



  その、つるりとした底面に
  透明な昆虫がうじゃうじゃ蠢き
  透明な手首を噛み千切り喰い
  血液は溜まり続け
  そのすべてに
  時間のつめたい粒子が
  しんしんと積もっていった





自由詩 蒼いバケツ Copyright 草野春心 2012-02-28 12:31:42
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