人は誰でも自分の話を
聞いてくれる人を
求めている。
自分の存在を
受け止めて欲しい。
相槌を打って
目を見つめ合って
あーそうなんだと
繰り返してくれる。
聞き上手
相手 ....
ゾウさんの鼻先あたり
あるべきものが無いというか
腰の高さでぐるっとフェンスに囲われていた
ご丁寧にも幼い好奇心を遮るシートまでかぶせてある
わざわざペットを囲いのなかへ入れて
おし ....
ぼくは いつも何よりも 彼女のことが たいせつで
ぼくは 彼女を愛してた
ぼくは 彼女を愛してた
彼女の望む幸せが 叶えば良いと 叶えば良いと...
....
雲ひとつない
晴れやかな笑顔の
青空を
穴の開いたスニーカーで
堂々と歩く
途中
見えない遮蔽物を越え
見えない恐怖心を捨て
先々で
訪れる景色
発生する出来事
すべてが ....
壁をずっと見つめていた/
今年はたくさんの人が消えて
思い出のなかに部屋までが暗くなってしまったから
あのときリャドの大きなシルクスクリーンを売り払って
僕はいま後悔している
....
雪形を探して田を起こし
もみ殻を焼く煙に手を合わせるように
まじめに、まじめに暦と向き合って暮らしている
それでも時として川は溢れ、山は崩れ
食べていくのに難渋する
まじめに、まじめに生 ....
心にできた傷は
直らない
体にできた傷は
跡形もなく直る
暴言を吐かないで
下さい。
暴力も振るわないで
下さい。
人を愛してください。
人を傷つけないでください。
気持ち ....
爪を切る
快い音が響くたびに
日常の縁から否応なく
寸断されていく記憶
苛立ちの16ビートのリズムを
机の上に刻み続けた爪
つまらない照れ隠しに
痒くもない頭を掻いた爪
....
生きてるんだ。ただ、生きてるんだ。
強いとか、弱いとか、運とか、不運とか、
どうでもいいんだ。生きてるんだ。
生きたいんだ。ただ、ただ、生きたいんだ。
あなたと、生きたいん ....
タンポポの花が黄色で
綿は白で
葉は緑
おばあちゃんの
シルバーカー
背中を丸め
休みながら
歩いていた。
話を聞いて
相槌うった。
おばあちゃん
苦労したんだね
....
輝いていた日々が
走馬灯のように
頭をよぎり
闇に消えた
積み上げた積み木が
崩れ去った。
泣いた。泣き明かした。
神様はいないと思った。
天から命の雫が落ちてきた。
もう一 ....
京都市内は天気雨
烏丸通りを東へ進むと うっすらと虹の橋が
鴨川のあたりから 色づいた東山を通り 比叡のほうへと伸びている
消えそうな七色の向こうに
カメオベージュ、アイボリ ....
今季一号の木枯らし吹き荒れた次の日の朝
あれだけ騒々しかったのが嘘みたいに静まり返っていて
近所の児童公園にはこれでもかってぐらい散り積もった落ち葉
これってプラタナスだよね
比べてみ ....
さざなみと待ち合わせの時間だった
薄くなってゆく空とおおいかぶさる雲
淡い紫色とオレンジ色
飛行機の窓から見える雨の気配
寄り添えない事情がある
耳あてに、やわらかい言葉がくっついている ....
東京ドームで
ボン・ジョヴィのコンサートがあった
妻が息子、16歳になった息子と
二人で出かけた
妻は20年間
ボン・ジョヴィが来日するたびに
大喜びではしゃぎ回り
コンサートは欠か ....
地に飢えた哀しみより街に住む孤独の苦しさ
古い映画を観ればすぐに涙ぐむ癖に
アフリカの子供たちから顔を背けるわたしたち
土地を追われた哀しみはすでに絵空事で
ひもじい辛さも ....
あり合わせの野菜と特売の豚ばら肉で作った野菜炒め
ちょっと辛めなのは彼の好みで
できたての熱々をふたりのお皿に取り分ける
彼はと言えば相変わらずのパソコンに熱中していて
彼のお皿にはお ....
何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか
下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな
女のひとだとしたら
無性に巣篭もり ....
青空が恐い
とても綺麗で
大きな青空が
見てると
胸の中で
何か割れそうな気がして
怖い
....
お日様の下
お庭で一人
日向ぼっこ
風がそよぐ
鳥達が鳴き
郵便配達の
お兄さん
雲ひとつない
ケヤキの大木
はだかん坊
洗濯物は
案山子の行進
フェンスの向こうで笑ってる
あの人が好きだった
とても高い所でも見てるような
目をして笑ってたんだ
だから
綺麗な帽子が風に飛ばされないように
祈ってた ....
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