すべてのおすすめ
冬木の芽頑固親父の如き顔
初富士を背に巨大広告そびえけり
二回目の結婚前夜ライラック
鯔を釣る水平線へ投げた針
燃え上がり産毛をこがすオイルのにおい風のZippo
物質の夜を満たすネオンサインの転がる路上で
ルーティーンなぞった指がタールにそまる
いつも通りのカーゴパンツでひそかに運ぶ日々の転 ....
咲き乱れあかと白との秋桜
板塀に数多咲きける朝顔や
みぎ見れば三四輪の芙蓉花
菊枕嘘をついてる味がする
犬用のコーヒーガムや囮籠
俳句の日五七五でする会話
どのメールも返信がない轡虫
秋の草指切りしたる姉妹かな
無医村で新蕎麦を打つ整体師
名月や肩に乗りたる兄の声
壇蜜の唾液に漬けた梅酒かな
ナパーム弾志茂田景樹のバタフライ
百人のアリスが落ちる坂の夏
蓮の花硯の丘の上の水
踏切の警報音や青田波
青田波仕事帰りの消防車
釣り銭の切れた自販機夏深し
祖母と母と私と娘蛍の夜
連休に伸ばした髭や植田澄む
籐椅子に風を殺して組んだ脚
田楽や屋台の隅に伊賀忍者
伊予柑を望遠鏡で覗く夜
馬の子の鬣撫でる手に指輪
春耕や躊躇い傷か輪ゴム痕
熊楠忌裸で覗く顕微鏡
源氏名を呼ばれ遊女の絵踏かな
ほほなぜる風のささやき春浅し
手のむこう雲は流れる二月かな
ふりかえる 映すあおぞら春の道
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