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ゴルフ場の空に日暈が出ていた
ぼんやりとしたでっかいわっか
それが次第にはっきり虹いろになっていった
日暈に背をむけながらフェアウェイを歩いていた
だれかがオレのために祈ってい ....
きょうお通夜です
あしたの告別式では弔辞を読みます
とりが啼いています
ゆきがななめに降っています
おとがこだましています
車のなかで泣いています
ひとの前では ....
安心できる場所をさがしていたんだ、きっと
安心できる場所をさがしているんだ、きっと
それが戦場であろうと
それが景色であろうと
それが人間であろうと
安心できる場所をさが ....
いつもそこにいる
あたしのこころとおんなじだ
あたしのこころはいつも
あたしのそばにいてくれている
東郷公園よこの坂道
そこをすっとくだってしまうのは
いつも惜 ....
部屋ごねん
ごねん
まるごねんの日は金曜日
ろくねんめの朝
立春のつぎの日
ありがとう
窓辺のみどりたち
ふくらむ鳥たち
空と木々のあわい
月光や ....
女のからだはうつくしかった
うすあかりに溶けだしたのは?
クリムトよ、あれはいったい?
女はおとこにつらぬかれていた
あえかな声やうすく閉じため
くみ敷かれたまま俯瞰 ....
面白いことを言うと部長はわらっていた
目をとじたままわらっていた
腹水がベッドのしたに溜まっていた
なにかの拍子に一部が床にこぼれていた
それはあざやかな黄色だった
ダン ....
進化、それは種の旅のことだ
過程であるのに果てであるかのように
何千万ねんをかけて旅をしている
それは木々に似ている
木々は進化のものまねをする
さきこぼれる花舞い落ちよ ....
みんな宇宙からもらった炭素でできている
みんな炭素の波動にすぎない
わたしは胃をこわしている
わたしは肝臓をこわしている
炭素がなにかの身代わりをしてくれている
炭素はた ....
道を白くさせるていどの雪が
ちいさくすうっと落ちてゆく
あれから16年
あの竹の切り口にも落ちてゆく
それはろうそくの火で瞬くまに乾いた
混乱はやんだ
喪失だけはい ....
オーストラリアに遊びに行っていた恋人に会いに大阪にいった。
そこは他人事のように寒かった。紫色の夜だった。
ストックホルム?大連?どこかでこんないろの夜を見た。冬だった?夏?春か?
店は料亭どく ....
世の中に流れる金を
集金することに長けた金持ちたちに
伊達直人たちはいま精神の下剋上をしている
伊達直人たちのなかに
金持ちなんかいる訳はなかった
ささやかな楽しみやみら ....
伊達直人がホテルをでて朝の商店街を歩いていた
四方に広がるせまい空
雲ひとつない水色をながしていた
まだ冷たい商店街
異国の山麓に広がるバザールのようだ
路地には猫がにら ....
のび太くんに会いたい
ぼくはのび太くんに会いたい
漫画の空のしたでやわらかな描線で
10才の小学生のころのじぶんに
ぼくはのび太くんに会いたい
土管の公園にゆけば会え ....
おじさんの葬式にいった
もう何年も無沙汰していたおじさんが死んだのだった
ぼくは棋士にはならなかった
おじさんはずっと独身だった
泣けてきた
幸せとはなんだろう
ぼくが決めることではな ....
海の森は林道からはじまっている
その入り口にはフクロウがいて
たまに人間に預言めいた案内をする
うえからひかりが射し込んでいる
月のひかりがちぎれ雲みたいになって
道には ....
海にゆく
そいえばふたりでいったことない
ふたりでゆけば
どんなオモシロ見つけるんだろ
そこで焚火したい
おなじ火みつめて
ぬれ新聞紙にくるんだサツマイモ
ア ....
降るゆきは
どれも白いから
踏むまえは
まだ白いままだから
おもちゃを見せてもおとなしくしない子供に
泥棒さんのサンタクロースは・・・・
クリスマス、そんな洞窟 ....
ドライヤーで髪がさらさらになった
ボタンがあって押すとイオンがでるやつだ
見えないイオン
温風だって見えるわけではない
でも現象としては
髪はさらさらに乾いている
....
アイツはこびとのいきのこりだ
おおきななりをしているけれど
アイツは正真正銘のこびとだった
こびとは可愛いことと拗ねることが仕事だ
だからアイツのことは気にしないで
アイ ....
すべて
すべて
揺れている
....
よく泣いていた
眠るまえ泣き
屁理屈に抱かれて眠った
それを繰り返していた
そうしているうちに
かなしみと添い寝できるようになっていた
泣こうとしたらいくらでも ....
起こすとまだ寝ていた
いまなん時かを教えて
四十五分にまた
電話すると言ってきった
それまであと二十二分ある
そばにいてあたためていいか
また動物の話をはじめた
彼女はたまった動物番組を見ながら
いっしょに歩くように話してくれる
自然が好きなの、山登りじゃないよ、そういうんじゃないの、
やわらかな鼻声がかわらしく ....
乗り継ぎの最終電車を待っている
訳もないのに懐かしくなっている
知らない町の明かりたちが
気配をころして僕を見張っている
建物に切られた夜を見つめている
ホームの ....
ロサンジェルスの薄ぐもりの海岸
タクシーをおりるとそこには僕だけだ
なん色かの雲の層がよこに延びている
風が水っぽい匂いをさせてほどけていた
エリスはほんとうにいるのだろう ....
いろいろ伝えたいのに
この言葉しか書けない
それが悲しくて泣いた
十一月の凛とした
午前のひかり、風、匂いのない匂い
カーテン越しでさえ
きみの部屋を充たしている
カーペンターズが流れている
ノンビブラート
体温を超えることの ....
市営住宅を取り囲む塀のなかで
ぼくはひとり能の練習をしていた
隣接の公園でこどもたちの遊ぶ声が
やわらかなガラスみたいになって空を引っ掻いている
能を教えてくれたのはお母さんの ....
なみだに暮れていた
ずうっと眠っていた
赤いパジャマはおとうさんがくれた
おめめが腫れていた
じぶんを責めていた
ぬいぐるみがお母さんに似ていた
だれかに必要とされ ....
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