哀しいのと忙しいのと
複雑なしおりのつみ重ねで
食べて汗をかき
お腹ゴロゴロの日々
ゆとりなく

ぎゅいいとチュウブをひねり出す哀しみのつぶたち
出てきたり戻ったり
結局は循環を滞 ....
自分の稚拙さに嘆く
今の自分はこの程度のものしか
持ち合わせていない

この厳しい現実を直視しなければならない
直視したところで自分の背中は見えない
合わせ鏡という道具を持ち出すべきか
 ....
電停をおりて橋を渡る
引き潮の時間に
この川を見るのが恐い
川底の石たちが
洗い流されるのを
見るのが恐い

少し濁った
なま暖かいような
満ち潮で
どんよりと凪いでいる
昼 ....
 屈折率がちがうので
 液体があるのだとわかった


 ひんやりとした
 理科室が好きだった


 フラスコやビーカーやアルコールランプの橙色をしたたましいみたいな火
  ....
会社からの帰り道だった
ヨシミは歩道橋から群青を見つめていた
自殺する気などないのに死ぬならいずれこんな場所だと思った
じぶんのカルテ、
群青を見つめているとじぶんのカルテを見つめているようだ ....
長いトンネルを抜けると
また長いトンネルだった

不思議に思って
後ろを振り返ってみても
やっぱりトンネルだった

はるか前方を見ても
やっぱりトンネルが続いていて

入り口まで戻 ....
{引用=
不完全な過去 不確実な現在 無知な未来



カスタネットの赤と青が嫌だったから
いつも校庭のすみっこで地面に円を描いてた
繋ぎ目がゆるんで共鳴しなかったから
いつも答案用 ....
ばあさんが男を一人しか知らないとしても
人生の物足りなさはそこに在るのではなく
今日もやかんの熱湯をポットに注ぐことや
皺だらけの寿命の尽きるのが
再来年でも明日でも変わりはしない
そのこと ....
冷蔵庫ゆっくり冷えていくものが光のような気がしてならない



やっと今一人で立てた足元にいろんなものが這いのぼってくる



ゴミ置き場月光に散る貝殻が泣いてるまぶたに見えなくもない ....
屠殺場の露が光を求めても闇へと落とす太陽の塔

丸眼鏡 カーキ色した執事たち 乙女の道でお出迎えする

ミキサーに入れた私のほうるもん どうぞ召しませお客様方
{引用=
空っぽの水瓶がひび割れる音がする
誇りを失ったその時は殺して
無様に誰かの足元に跪くことのないように

空想の純潔を
手折る薔薇を
遠視する愛を
合わせ鏡に映して

時々 ....
夜遅く、ひとりで湯に浸かっていると 突然、ふぐりにヌメッとしたものが触れたので あれ、おかしいな 何かいるのかなと俯いて湯の中を見ても これが何もいない 気のせいか このところ出張ばかりで俺 .... 女の声は殆どが水で出来ている


舐めとればそれはひどく甘ったるくて
お祭りの屋台で食べた綿菓子みたいに
口がべとべとになってしまうんだ


男の声は殆どが煙で出来ている


吸 ....
下駄ばきにミニシガー


二階屋で蝶を飼うよなおとこなり

というのがあった。僕はこれがとても好きだった。たいへん呆けていて、悲しかった。馬鹿な青年の目に青空と流れて行く白い雲が見えるような ....
帰る度 花がふえてるこの家に 娘はいない(むすめはいない) あのひとのことのはひとつひとつにもあのひとがゐてわれをまどはす

***

からっぽであるということ殻ですらないということそれでも私

眠れないまま待っている夜明け前祟るってえならとっとと ....
ブラウン管に映る天皇裕仁をテンちゃんテンスケと嘲罵するほど軍国少年
であった父は明らかに左翼で、党から除名されても宮本議長(当時)の不
撓不屈や不破書記長(当時)の才気煥発に敬服やまず、一般紙の他 ....
花をふむ人はきよらか春はゆく

おとうさんと正しく発音する練習

夫婦雛三人暮らしテレビ見る

母の家すすきは痩せて羽根に似る

花の散る頃とはいつか母を待つ


(没句)
ど ....
別に空が切り取られた訳じゃない
むしろ高層ビルの群れは空を望んだ形だろう
人が地上に建設した願望の手
その指先に立って手を伸ばしてもまだ届かない
屋上でも地上でも
見上げることしかできない
 ....
着物が冷たい随分遠くに靡く笹舟

壁焼いて嘘はお嫌いでしょうから

吹雪き明けて紙の破れ目に靴底合う

打ち伏して銀の祭りの幅を書く

シャツ山吹内部に柳として背骨

歩く牛の波紋 ....
春の空に近付けたことで

もういいやと思っても
いつだって、いろいろ言われたりして 心が折れる。
気持ちが弱くなる。
心の中で考えれば考えるほど 辛くなる。涙が出てくる
誰も知らない辛さ  ....
頭をなくした こどもの魚が遊泳する
それをお母さん魚は どこかと捜す
綿毛のせんぱいは空の上 雲にうまく混じれただろうか
たんぽぽは そう考えながら自身の旅立ちを予定する


おいおい ....
つけたゆびのあとはうすあお桃いろはなほの不在をつらぬき通し


おだやかな寝息はうみをつれもどしくち元にふるいはなをかざる


つぼみさへかたく締まつてゆめを見る足音とほくはるは逃 ....
すこやかな寝息としろくなめらかな腕 みだれうつぼくの欲求

水を抱くように おもいだしている 髪の毛 指先 かさなるため息
 例えば地に足が着地したとして
 曇り空と背の高い建物の間に
 そっと手を差し入れることもできるし
 湿っぽいから霧を出してもいいし
 花のように丸くなることもできる
 後悔はな ....
うすももいろの{ルビ襦袢=じゅばん}の
冬に{ルビ纏=まと}えば
きぬの{ルビ温=ぬく}さ

衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める

足元に着やすく ....
呼吸していない瞬間死んでいる

あのね、のしたにわたしをうめている

野分して光る死人が立っている

嘘ばかり道理で昼もあかあかと

二階屋で蝶を飼うよなおとこなり
北風が肌をかすめて冷たさを置いていく
そんな季節になりました
お元気ですか

わたしは少し厚手のコートをはおるようになりました
相変わらずのブラウス姿にカーディガンを重ね
冷える手先にはカ ....
「かんちゃんはさぁ」

まどろんでた保健室で突然に話しかけられたんだっけ。
アダムとイブがどうとか、
ノアの箱舟がどうとかこうとか、
新約聖書と旧約聖書の区別もついてない私には
さっぱりわ ....
?
エロティックな関係プラトニックな関係
浮気をされたとしてどちらが辛いだろうと
問われてエロティックな関係と答える

そんな青くさくて即物的な僕は
人の心の機微を分かっていなかったと
 ....
ま のすけさんのおすすめリスト(67)
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