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成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊

どこまでも透明な
追憶の彼方

舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉

堆積する秋

深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
平然と響く
アナウンス

「一番線を 列車が 通過します
 ご注意ください」

急流の中に
取り残されてある中洲のように
ホームは心細い

トンネルの出口のように
はずれに開ける ....
空き地を渡ってきた風が
草の匂いを閃かせながら
耳もとで
ささやく
「ただいま・・・」

あっ
帰ってきたの?
君と出会ったのが
いつだったか
どこだったのか
思い出す前に
懐 ....
お昼休みの中庭に
理科部の男子が
窓から放したハムスター

クローバーをむしゃむしゃ食べた

タンポポも食べるよって
誰かがいった
ストローみたいな茎のはじから
食べていって

 ....
王女の名を持って生まれ
運命のいたずら
雑草の間に
根を下ろすことを余儀なくされても
小公女のように気高く
品位を忘れぬ立ち居振る舞い
汚れない肌
たとえ
嵐になぎ倒され
獣に踏みに ....
にぎりしめていたこぶし
ノックすることも許さず
かたくなに
閉じられていた小部屋から

誰にもうちあけたことのないまま
幾重にも折りたたまれていた
願いが
決意のように
ひらく

 ....
大きな雲は
空の広さを証明する

こんなに空が深くて
澄んでいることを

青空だけでは
はかりしれない
秋の午後を脅かして
突然の雨
雷の轟音に
台所から急いで
手をエプロンで拭きながら
昼寝している児のもとへ
布団に起き上がり
今まさに泣きだそうとしていた彼は
私の胸にかじりつく
よ ....
慕情とか
郷愁とか
そんな古めかしい語句を
あてはめてみたくなる
吊り革につかまってみていた
車窓の風景

たくさんの人々の日常が
幾重にも重なり すれ違っているはずの
それでいて私 ....
縮む花びらを
沈め
冷えてゆく水
固まる空に
さらに羽ばたく翼を見ようと
折れ曲がる
言葉の湖に生き延びる
魚の一匹ではなく水面に辛うじて浮かぶ
枯れ葉の一枚でなく
怒涛となって
 ....
その崖のほとりに
一輪咲いているはずの花は
どうしても一目見たくて
見ると 手折りたくなって
手折ると持ち帰りたくなり
持ち帰ると
さて どうしても
挿した花瓶から引き抜き
力任せに叩 ....
夜明け前の
ビルの間の木々を揺らす

薄暗い雫に濡れた窓を叩き
乗り捨てられた自転車の汚れを洗い
ゴミバケツに溜まる闇を濯ぎ

梢をふるわせ
立ちのぼる

人通りも途絶えた路地裏の ....
無表情な父に声をかけると
その霧深い意識のずっと奥の
宇宙のかなたから
帰ってくるのかと思うほど
遠いところから
ゆっくり
微笑みが皮膚の上に戻ってくるのが
見える

「おとうさん」 ....
わたしたち本当に
三十五年も会ってなかったのかしら

ベルギービールの酔いはまわる

芳醇な香り

懐かしいというより
現在形の友情

ゆうじょう?
友情ってなに?
暫く使った ....
住む人の居ない
山の墓地

お盆には賑やかに花々が供えられている
生まれ故郷を訪れた人の形跡が
風に揺れる

たった今まで
誰かがそこにいた証拠
ロウソクの炎が
消え残り
線香の ....
空を滑り落ちた小鳥のように
翼をたたんで
ムクゲが地面に死んでいる

ぽとり
ぽとり
眼をとじ
命を閉じて

どこまでも拡がっていく夏空の下
次々に開く
新しい花達のふもと

 ....
プラヌラスキフラストロビラエフィラ
呪文のように覚えているのは
予備校の先生が絶対にこれだけは
おぼえておいて損はないぞと言った
生物の秘密兵器

必ず出題されると信じて
歩きながら
 ....
足をつけ
渡ってみたら
浅いせせらぎだった
キラキラ
光を浮かべてた


攀じ登ってみたら
低い壁だった
何一つ遮ることなどできないような


飛び越えてみたら
小さな亀裂に ....
   象

ふるさとの草原も夕日も君は知らない。君の母親も父親もふるさとを見たことが無いからその広大さも見事さも話に聞いたことすらない。そこに憧れることもなく、ただ与えられたスペースを歩き与えられ ....
どの道も
少し進んだところでたち消える
草原の三叉路
生い茂る草は風の方角に
倒れては起き上がる波

恋慕い
探し求めたものを見失い
(つまり触れ得た事のないものの喪失のあげく)

 ....
おいてきたものに
未練はない
きれいさっぱり
忘れるのみ

遠くに
海を見た坂道も
庭に置いてきたつるバラも
咲きかけていたリラも
つぼみだった
ラベンダーも

既に
季節は ....
少し横顔を見せただけで
思わせぶりに去っていく夏

雨が 家々のトタン屋根から
ライラックの葉の一枚一枚から
信号機の黒ずんだカバーから
夏を洗っていく

雨が 夜更け ....
思い出を一番から五十六番まで
USBメモリに移動して
一息
私のディスクは空(から)になる
空(から)になった空(そら)に
星が一粒
もう一粒
繋がって
絵を描く
尺取り虫が
一歩 ....
中庭の芝生の上に
プリーツスカートを
花のように拡げ
背筋を伸ばし、
聖書の言葉を引用する彼女は
修道女みたいで
美しく聡明なその先輩を
私は崇拝していた
(彼女は廃部が既に決定し ....
泥を沈めた水田が
澄んで
さかさまに写す
熊笹
イタドリ

ヒメジョオン
ミズナラ
ブナ
岳樺
胡桃
落葉松

ヤチダモ

山はまだ若い緑で
ふんわりと盛り上がって ....
君が
はじめて私の手を離し
自分の羽根で
よちよちと
はばたいていった日のことを
母は忘れることができない

君はとうに
逞しい翼をひろげ
上空の風に乗り
母には見ることもできない ....
踏切の横の空き地は草ぼうぼう
傾いた陽光が
影と日なたに草はらを分ける

通り抜けるものの風圧と
しつこい音の点滅にせかされ
ひとあし 踏み出そうとする
幼時の一瞬に接続しそうな時間の震 ....
風は雲を押し流す
雲の願いは
移動すること
あるいは変異

低い雲は
厚く
光を遮って

高度を増すにつれ
透けて
かすれて


雲は迷いだろうか
それとも
願い なの ....
わたしはピクニックがしたかった

母にきくと
いいよと言った
ためておいたおやつを
バスケットに入れて
母が貸してくれたゴザを持ち
野原に行った
靴を脱いで
ゴザの上に座った
飴を ....
ねじれ歪みながら
空を指す木々が
何かを言いたがっているのじゃない

何か言いたくなるのは
それを見ている私

そうやって
ねじれ歪みながらも
空をめざすのをやめないで
吹く風の中 ....
壮佑さんのLucyさんおすすめリスト(96)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
赤いスカーフ- Lucy自由詩28*13-10-6
ホーム- Lucy自由詩18*13-9-30
野を渡る風- Lucy自由詩13*13-9-26
ダンデライオン- Lucy自由詩19*13-9-25
孤島の白い髪飾り- Lucy自由詩20+*13-9-23
風の花- Lucy自由詩15*13-9-21
今日の空- Lucy自由詩12*13-9-18
雷雨- Lucy自由詩12*13-9-18
夕暮れ- Lucy自由詩14*13-9-14
秋の祈り- Lucy自由詩9*13-9-8
崖のほとり- Lucy自由詩11*13-9-4
風を見る- Lucy自由詩10*13-9-4
父を見舞う- Lucy自由詩20+*13-9-1
ピンクの象- Lucy自由詩11*13-8-21
お墓参り- Lucy自由詩19*13-8-18
「ムクゲの咲く朝」__(詩人サークル「群青」8月の課題「漠」 ...- Lucy自由詩17*13-8-14
ミズクラゲの一生- Lucy自由詩26*13-8-8
思い切って- Lucy自由詩18*13-8-3
動物園(2)- Lucy自由詩19*13-7-17
旅の終わり____渡らない鳥に- Lucy自由詩23*13-7-13
おいてきた- Lucy自由詩13*13-7-1
夏の横顔- Lucy自由詩22*13-6-25
こぐま座- Lucy自由詩24*13-6-22
わたしが子羊だった時(詩人サークル「群青」6月の課題「慈」よ ...- Lucy自由詩21*13-6-18
夏の稜線- Lucy自由詩18*13-6-10
えんじのベレー帽- Lucy自由詩23+*13-6-3
夏草- Lucy自由詩18*13-5-30
風に・・- Lucy自由詩8*13-5-29
ピクニック_(詩人サークル「群青」五月の課題「緑」から)- Lucy自由詩17*13-5-28
ねじれた木- Lucy自由詩18*13-5-22

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