ピンクの象
Lucy

わたしたち本当に
三十五年も会ってなかったのかしら

ベルギービールの酔いはまわる

芳醇な香り

懐かしいというより
現在形の友情

ゆうじょう?
友情ってなに?
暫く使ったことも信じたこともないコトバ

デリリウムトレメンス

ピンクの象
みたことあるわ
三十五年前のあの夜
あたしたちの頭の上で踊ってた

楽しいね
すっかり酔っぱらっているみたい

三十五年後のことなんて
考えるのも恐ろしかった
きっともうすっかりおばさまで
あら奥さまなんて
言い合ったりして
そんな日が本当にくるかしら?

生きてこんなふうに
集まれるのかな
今みたいに
一緒に飲んだり
笑ったり

できっこないよね
きっとすっかり変わってて
忘れてて・・

ピンクの象のことなんて
思い出しもしないでしょう

だから
みんなして
ちょいと時空をひとっ飛びして
覗きにきたんだわよ
未来を

ついさっきのことなの
あたしたちみんなまだ学生でさ
未来に不安ばっかり抱いて・・

愉しいな
大分酔っぱらってるかしら

このタイムマシンは壊れてるよ
SF作家のナツが言う
もう後戻りできないし

あらナツ本当に作家になってる

こんなに素敵な未来があるとは思わなかった
それなりに年を重ねても
みんなそれぞれ輝いてる

え?壊れてるの?
戻れない?

やだ、嘘でしょー・・





自由詩 ピンクの象 Copyright Lucy 2013-08-21 22:25:36
notebook Home 戻る