すべてのおすすめ
すべてを失ったはずだった

あれから家に辿りつくまで幾度と無く転んでしまい
死装束にと亡き父に誂えてもらったリクルートスーツ着てきたのに
あちこちに鍵裂きを作ってしまった

死への船出がこ ....
マッチ売りの少女にでもなった気分で
その鍵穴を覗くのがわたしの日課となってしまった

この街へ引っ越してきた当時はタバコ屋さんだったトタン屋根の並び
ちょっとしたお屋敷風の黒塀に
その鍵穴は ....
筆を持つ腕の無い僕は
口で絵筆をくわえ
カンバスに向かって
朱色を引いた

引いた朱色は次第に濃くなり
カンバスの中央で丸くなった
カンバスの下には申し訳無さそうな
地平線があり
空 ....
ジュリアーノ・ジェンマって俳優が好きだった
目深にカウボーイハット被り腰のコルトに手をやる刹那
呼ばれてもないくせしてサボテンの根元に転がる根無し蓬がわたしだった

ベッドのなかでもブーツ脱が ....
傷つきやすいこころがあるならば

ひとを傷つけるようなことをしてはならない

喜びを感じるこころがあるならば

ひとに喜んでもらえる自分でなければならない

キンモクセイは夜のどこにあ ....
朝目覚めて口のなか乾いているのは
どうやら鼻の具合悪いかららしい
それとも流行の風邪でも引いてしまったのかな

人知れず鼾とかかいていたりして

人知れずってのはいかにも寂しいな
鼾うる ....
なあ、はじめ。
知ってるか。


お前がずいぶん毛嫌いしている、チンピラの田口は
将来お前なんかより良い父親になるんだ
それはもう驚くほど家族思いの良い父親だ
だが相変わらずお前は彼と ....
瞳をひからせるものの
やってきた さそい 

ちいさくて人肌ほどに、
もたらされる快適な乗り心地は 羽もうのよう
やさしくて

     ☆

厚誼にかしぐ 昔ながらの従順さがあ ....
 
 
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる

その帰 ....
「ドッジボール」



ドッジボールで一番最初に当てられる
外野に行ってボールを掴んでもボールを奪われて投げさせて貰えない
外野にいても何故かボールを当てられる
教室に戻ってもボールを当 ....
「鉄棒」



無理強いされた逆上がりでヘマをして背中から落ちて
立ち上がったら黒い虫が潰れていたのが分かって
潰れた脚を引っ張ってなんとか元に戻そうとして
無理強いした
“熱が冷めた”らしい。

きっと、時の流れが君の心に入り込んで、少しずつ熱を奪っていった結果なのだろう。
幸福や悲しみ、怒り。
時間には、様々な熱を冷ます効果があるって聞いた事がある。
 ....
あなたによく似たひとだった

人違いと戸惑うわたしの顔を覗き込み
どうかしたのと気遣ってくれた

これを落としたひとをずっと探しているのと
あなたの落しものを目の前に差し出した

その ....
                090915



5のつぎは6
指が足りない
いっぽんかしてくださいねと
お祖父さん
お墓の中で指を折る
ガラガラと
意志が崩れて
明日は休む
 ....
鳶が蒼空に浮いている
巧みに風を孕み
見えない凧糸に操られるように
蒼空に浮いている

瞬間、バランスを崩して墜落する
そして上昇気流
寸分違わず元の位置に戻り
また風を孕む

狩 ....
ここに一脚の椅子があって

それは懐かしいにおいのする木製の小さな椅子
小学校の教室にあるような椅子
揺らすとかたかた音がした

そんな椅子にあなたは腰かけている
手には一冊の詩集
マ ....
無知な人たち、と
父の生家に唾を吐き
母が消えた
時の区分は夏、そして
秋にも依然、消えていた

秋の再来
消えている母
九月は母の誕生月
父はきちんと知っていた
本日、九月の二十 ....

私の本当の名前はスマコというらしいです
だけど父も母も兄弟もみんなスマと呼ぶので
いつの間にか私はスマになってしまいました
ときどき本当の名前について考えます
コというのはどういう漢字な ....
あんなに耳障りだった蝉の声も
虫眼鏡で集めたみたいな痛い陽射しも
まるで色あせ始めた遠い物語


なだらかな坂道を自転車でおりると
向かい風がほんのわずかの後れ毛を揺らす
時折小石が顔を ....

幼いころ
妹はお風呂が嫌いで
兄は爪を切られるのが嫌いで
わたしは歯を磨くのが嫌いだった
だからそのころのわたしたち三兄弟ときたら
妹は髪から極彩色のきのこを生やし
わたしはのどの奥 ....
「始」


新たな枝の方へ折目正しく曲ろう

幼い葉っぱにいちいち名前をつけよう

選んできたのはいつも自分だから

勇気を転がしながら歩き始めよう




「発」
 ....
区切りがいいって思ったりする。特に何もしないけど。
いろいろ考えなきゃなって悩んだりする。結局朝には忘れるけど。
もう何にも変わらないなってそんな性格を指で遊んで。
頑固だったり軟派だったり未だ ....
頬がストロベリィジャムの女の子が生まれた日にはたしか
僕は君とあたらしい世界について話していた


その日が何曜日かなんてのは僕たちにはどうでも良くて
クリィムを混ぜている水車を見るとそ ....
暑い夜には
海鳴りがきこえるので
眠れない

枕の歪みを直し
蒲団の端を折りたたんで
細心の注意をはらって
寝床をととのえても
それはきこえてくる

そうして眠れないまま
目醒め ....
うすく流れる明け空に
寝返りをひとつ

隕石とか堕ちてこないだろうか
僕は僕の人生を
いいかげん
供養してあげたい

逃れようのない角度で
刺し込む朝は
強制ですか
それとも、任 ....
きみをわかつ
やんわりとつつみこむ
きみをこきゅうする
きみでこきゅうする

よるをわかつ
あぁかいほのおでわかつ
こきゅうをりかいする
かんかくでりかいする

まんじゅしゃげはて ....
わたしがひねくれたようにナツの腕を引いても、
なんの音沙汰もなしに日常が会話するので、
ほんの少しだけでも触れてほしくて、
わたしは罪深い唇をカッターで、すこしだけ切り落とします
それは、最近 ....
お皿の上の
丸く盛った海老ピラフに妹は
グリンピースと人参をのっけて顔を描いた
半分食べて欠けた顔の
真一文字の口は悲しげに傾いている

幼い妹
どうか最後まで食べてやって
姉さんは風 ....
   {引用=ぼくたちの未来は いつも、さよならで終わっていくの?}


地球儀をまわしすぎたせいで
透きとおっていたものが
濁っていく 
あの日、
チョークで描いた線路が滲んで
二十 ....
  
水槽を抱えて
列車を待ってる
水槽の中には
やはり駅とホームがあって
幼いわたしがひとり
帽子を被って立っている
ある長い夏の休みの間
ずっと被っていた帽子だった
水の中もやは ....
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